#019 学院内対抗戦:開始
翌日の午前10時。学院内対抗戦前の準備として演習場には多くの出場するクラス代表たちが自身の腕前を自慢するかのように集まり
そんな彼らをあざ笑うかのように現れたのは魔法学院の最上級生である3年生の先輩達だった、彼らは下級クラスを嘲笑いながら日頃から肩をいからせては割り込みや難癖をつけて喧嘩を売ったりしていた。
「オラオラ、そんな弱火じゃ。 戦場で死ぬぞ? アハハ!」
「フレデリック様の火炎を見せ付けてあげましょうよ!」
「お、そうだな。 フッフッフ!括目かつもくせよ、【ファイアボール】!」
フレデリックと呼ばれた男子生徒は無差別に魔法を放ち、周囲で練習していた生徒達にお構いなしで当て始めた。
「そうら、そうら。――けへへ!」
その様子を遠巻きから観察していたのは捕捉機能付属双眼鏡――通称ソフラムを持ったアルトリア・ラーミスだった。彼の背には背負うようにして、対人狙撃銃のM24が装備されていた。
今回、アルトリアが持っているM24は少し異なる。弾薬を.338Lapua-Magnum弾に変更しているので装填弾薬数が5発だけとなって居る。さらに、豆知識として.338Lapua-Magnum弾は8,58×70ミリ弾と表記されることが有る。
また、作動稈ボルトを軽くしたことにより従来の射撃速度よりも早くなった事で誤差修正が瞬時に行えるようになった。さらに銃床ストックも木材質に変更した事で重量が若干軽くなり移動時に伴う速度減少が無くなった。
「こちらビスマルク、416分隊と164分隊の合計4部隊は今すぐ射撃訓練を行え。417分隊は訓練が終わり次第、俺と監視作業を代わってくれ」
『『――了解』』
『了解』
416分隊の総隊長はカトリーナ・メルフォンで417分隊は2年生のアルヴェニア・マハートが指揮しているのだが、164分隊だけはアルトリア・ラーミス直属の分隊となって居る。
そしてとうとう、学院内対抗戦が開催された。
++++++++
初戦は、416分隊の中でも精鋭の分隊である416-0と新入部員を含めた魔弓部との闘いだったが苦戦した。魔弓は通常の弓と違いジグザグに軌道を修正できる利点があるため、翻弄ほんろうと撹乱かくらんを余儀よぎなくされた。
よって、戦闘開始時はカトリーナが指揮していたが途中から全分隊に装備させている骨伝導式の無線越しに俺アルトリアが指揮を執っていた。おかげで戦線が劣勢から均等に変化しそのまま決着がついたが、あのままカトリーナが指揮を執っていたら初戦敗退になっていたかもしれないから恐ろしい。
魔弓部に勝ち2回戦目に勝ち上がった特別傭兵作戦分隊は、まさかの相手になった。それは、試合が始まる前に他の部員たちに魔法を当てていた魔法学院の最上級生である3年生の先輩達だった。
「けへへ! この僕たち、エリートと貴様のような試験を金で解決した卑怯者アルトリア・ラーミスとどちらが格上なのかを今ここで思いしらせてやるよ!」
ほぼ早口で言われても、彼らの事は眼中になかった。
瞼まぶたを閉じて、ただ目の前の勝負に焦点を当てる。それだけだ・・・。
「――417-0分隊。単連射セミオート、目の前の敵脚部を重点的に撃ち抜け」
『了解コピー』
消音器サプレッサーを装備したM417を主武器メインウェポンとした417-0分隊はアルトリア・ラーミスからの指示を受けると審判が手を振り下げる試合開始の合図までに方陣陣形を築き上げた。
++++++++
「――初め!」
審判の声とほぼ同時に先輩たちは「――【フラッシュ】!」と叫び、死角を造ろうと魔法を放ったがほぼ無意味だった。なぜなら、同様の物を――いや、上位互換の非致死性投擲物フラッシュバンを携帯しているからだ。
「フラッシュバン、投げた! 視界を切れ!」
417-0分隊員の1人が非致死性投擲物フラッシュバンの栓を抜いて即座に相手側に投げ込んだ。その後、強烈な光と音が鳴り響き渡った。
「――バン!キイィィィン・・・!」
417-0分隊員4人は特別な耳栓とサングラスを装備していたので、それらを無効し射撃体勢を維持していた。一方、ほぼ至近距離で非致死性投擲物フラッシュバンを受けた最上級生エリート3年生20人は両目を両手で覆い「目が、目がアァァァァ!」とのた打ち回っていた。
417-0分隊長の2年生、アルヴェニア・マハートは骨伝導無線から聞こえてくるアルトリア・ラーミスの指示に「――了解コピー」と短く答えると、チャンネルを変えて分隊員に「総隊長から指示だ。全隊攻撃開始、単連射セミオート。照準、敵脚部!」と指示されたことを伝えた。
アルヴェニアの指示を聞いた分隊員達は安全装置セレクターレバーを
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