#012 NEW MY NAME,BISMARCK
実技試験1位であり魔力量も12万という化物級の新入学院生が現れたという噂が一瞬で広まった次の日、俺は試験監督から告げられた特別教室スペシャルクラスにいた。・・・だが、クラスメイトが俺だけらしい。
「おいおい、マジかよ・・・。 これだと、教育方針に異常をもたらすから別クラスでとか言われているような物じゃン――あんまりだぜ」
深いため息を吐き近くにある椅子に腰を下ろすと、扉が開いて何人かの女子先輩がやって来た。
「アルトリア・ラーミスという化物は、貴男でして?」
「あ、ああ。 アルトリア・ラーミスというのは俺だが、上級クラスのペーペーな魔力しか持たない先輩がなんでしょうか?」
事実だ、俺はいつの間にか相手の魔力総量を視認出来るようになっていた。ちなみに、目の前の先輩の魔力量は1000だ。
「な、何を根拠に・・・!」
「貴様、侮辱する気か⁉ かのご令嬢、レム様に対して!」
「――事実を言っただけですが、何か癪しゃくに触るような事を言いましたかね?」
「ムッキィィィ! 親衛隊、あの者に恐怖を与えなさい‼」
分かりやすいように怒り、俺に喧嘩を売って来た。 全く、女という生物はどうしてこう沸点が低いのだろうか?
「「はい!」」
相手は3人だが俺は
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親衛隊Aが俺の視界を遮るために「煙幕、展開!」と杖を掲げて詠唱し視覚を妨害してきたが、俺には完全個人オリジナル魔法がある。ちゃちな煙幕で視界を奪えると考えているのは、実に笑止だ。
「完全個人オリジナル魔法、電探レーダー展開」
そう唱えると同時に
「――能力向上アビリティー・アップ! 脚力強化! 身体強化ボディー・バフ!」
「援護します。 全能力向上オール・アビリティー・アップ」
「なるほど、良い考えだ。 しかし、それだけでは俺は倒せられない」
俺は意地悪く微笑むと同時に杖を持って煙幕を展開してきた親衛隊Aに破砕型炸裂手榴弾グレネードのピンを抜いて投げ渡した。
「――ドゴォン!」
地面に弧を描いて落ちた破砕型炸裂手榴弾グレネードが2秒ほど時間を空けて炸裂し、内蔵されていたマキビシが時速45キロメートルで周囲に飛び散った。
「――なっ⁉」
「俺の事を今からBISMARCKと呼べ、それが俺の――いやこの学院内での“あだ名”だ」
親衛隊Aが仰向けで倒れているのを見た親衛隊Bは同じ目を見るのを恐れたのか、「ヒッ・・・!」と怖がって介入してこなくなった。それを好機と見た俺は慈悲などないかのようにM16を取り出して銃床ストックに頬を当ててリア・サイトを覗きフロント・サイトが重なるようにレム様と呼ばれた先輩に照準を向けた。
「警告する、今すぐにこの教室から出て行け。 この警告を無視して居続けた場合、止むを得ず射撃する」
セレクターを
「――ダンッ!」「「ヒイィッ!」」
射撃音と同時にすっかり怯え切った声色で反応した残りの2人の先輩がそそくさと、倒れている先輩を担ぎ上げて教室から出て行った。
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翌日、学院内ではBISMARCKと名乗り学院最強の先輩達を打ち負かした新入学院生の噂話で持ちきりだった。
「ねえ、聞いた? 学院最強の三人衆トリプターが、化物クラスに配属になった新学院生に完敗だってさ!」
「ところでさ、ビスマルクってどういう意味だろうね? 変質者って事かなぁ?」
「えぇ~⁈ 違うでしょ、多分・・・先輩殺しじゃない?」
女子生徒達が楽しく会話している横を俺は気配を殺して通過する、そして扉を開いて教室に入り教師を待つ。
・・・いや、俺に教えてくれる教師は居ない。俺は放課後まで孤独だ、まるで戦場で引退した戦士の様だ。
チャイムである鐘が鳴り響き1限目が始まっても誰も来ないから、何をしていても自由だ。
昨日は先輩達との戦闘の後、M16の手入れとM16A1の制作を行っていた。
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弾倉マガジン弾数を20発から30発に引き上げてさらに、泥水や砂の混入による動作不良問題を何とか解消したM16A1を今日は完成させることにした。
追加で射撃方法に三点射撃トリプル・バーストだけでは心許ないので、単連射射撃セミオートを追加する事にした。三点射撃トリプル・バーストは引金トリガーを一度引くと3発だけ撃って止まるのだが、反動リコイルが凄まじいため遠距離の敵を狙う時に向いていない。単連射射撃セミオートは1発だけを発射出来るようになるので遠距離の敵でも難なく狙撃できる。
「――完成だ、M16A1・・・。 君の初陣は、いつになるのかな?」
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