#006 コルト・パイソン(4インチモデル)

 レズベリーが嬉々として火焔かえん魔法を練習場に撃ち込み、「ほら!ほらぁ! 逃げて隠れてばかりだとぉ、みっともないわよぉ?」と嘲笑あざわらいながらさらに特大魔法を詠唱し始めている頃、岩陰に隠れてとある物を作っていた。


「――よっしゃ、出来た!」


 コルト・パイソン(2,5インチモデル)の2,5インチバレルを4インチに上げたコルト・パイソン(4インチモデル)のシリンダーにスピード・ローダーで一気に6発の9×33ミリレミントン弾.357マグナム弾を装填し、岩陰から少しだけ出して照準を絞り始めた。


「キャハハハ! どこ行くのぉ? 楽しませてよぉ?」


 俺を見失ったのか、様々な場所に火焔魔法を撃ち込み始めたレズベリーの羽根を何かが貫通した。


「――あ?」


++++++++


 岩陰から銃口マズルと自分の右目だけをのぞかせた状態で、レズベリーの羽根に開いた1つの風穴を見つめ続けていた。そして目と目があった時、レズベリーが「みぃつけぇたぁ!」と狂喜きょうきして特大魔法を撃ち込んできた。


「――危なッ!」


 咄嗟とっさに岩陰から飛び出て地面に転がり避けると隠れていた岩事、破壊されて巨大なクレーターを形成した。


「キャハハハ!もっとぉ、踊ってよぉ・・・!無様な踊りを披露してよぉ・・・‼」


 好き勝手しているよな、アイツ。仕方が無い・・・、もうあの手しかない。


++++++++


 立ち上がり、自身の身体に刻まれたスキルを展開させた。


死滅デッド・エンド・・・!」


 途端に周囲に濃密な闇の妖気オーラが広がり始めて、やがてそれはゆっくりと冷酷な空気へと変換されていった。


「ハァ・・・⁈ なんで、人種族が魔王様ウェルダート様と同じ魔王覇気を使えるのさ!」


「さぁ? なんで、だろうね」


「弱小種族のくせに、生意気な‼」


「さぁ、お前の血は何色だ?」


 4インチモデルと2,5インチモデルを両手に握り、「最後に俺に、聞かせておきたい遺言ゆいごんはあるか?」と問いかけると、「お前は、一体・・・⁉」と聞いて来たので「俺はJACKALジャッカル、暗殺者と書いて掃除屋と読む。 冥府に行っても、覚えておけよ」と告げて逃げ出そうとしているレズベリーの胸に12発の9×33ミリレミントン弾.357マグナム弾を味わわせた。


「――クソがッ! クソがッ! クソがぁッ‼」


 完全に呼吸がなくなるまで、撃ち込んでいると魔族の瞳の色が薄くなり口数も減った。


「本物のエフォート・リスタ、お前の身体を操っていた魔族は俺が殺した。 今からお前を甦らす手助けだけをする。俺に感謝を言いたいなら、鎖で封印された心から這い出て来い」


 静かに告げた後、4インチモデルのシリンダーに蘇生リヴァイヴァルを装填して撃鉄を親指で押し下げた。


「これが俺の2つ目のスキル、蘇生リヴァイヴァルだ」


 照準をエフォート・リスタの身体に向けて、引金を引いた。

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