“出会ったら即死”と呼ばれた男は、異世界に転生しても兵士を続ける!【3,279PV】

@12{アイニ}

序 章

#000 JACKAL

 20××年。中東――砂風が吹き荒れる街の中でM24に電子制御キットを付けた改良型であるM24SWSを構えたまま、角からゲリラが出てくると読んで待ち伏せているのは日本国奈良県出身で在日米軍と陸上自衛隊に所属する予備自衛官を合わせて出来た間に合わせの特殊作戦部隊SPECIAL OPERATIONS FORCES所属の“出会ったら即死DEAD END”という“あだ名”を持つ俺だ。名前は秘密だが、部隊内でのコールネームはJACKAL――意味は暗殺者ジャッカルだ。


 一筋の汗が頬を伝う中、スコープから目を離さない。たとえ、眉毛にアブが止まろうが瞬き一つせずに角を見つめ続けていた。


 M24SWSはボルトアクション式の狙撃銃だ、使用弾薬は.3007,62×66ミリWin-Mag弾を5発。ちなみにWin-Mag弾とは略語で、略さずに言えばウィンチェスター・マグナムとなる。


 銃床ストックに頬を付けて右目でレンズを覗き込み右手はいつでも撃てるように中指だけが引鉄トリガーにかかっていた。


++++++++


「・・・」


 見つめている先の角に人影が現れたので慌てずに待ち続け、やがてAK-47の銃口マズルが見え始めた。息を5秒ほど吐き改めて8秒ほどかけてゆっくりと鼻から吸い込み2秒ぐらい息を止めて照準が定まった時、俺は躊躇ためらいもなく引き金を引いた。すると、スコープ越しに真っ赤な鮮血が敵の頭部から迸った。


『――お見事だな、ジャッカル』


 こつ伝導スピーカーから、同僚である狙撃手ASSASINの声が聞こえて来た。


「アサシン、その呼び名は出来れば――」

『辞めて欲しい――だろ? 分かっているが、お前のコールネームだぞ?』


「・・・」


 返事を返さずにいると、『あー・・・、悪かったよ』と仲間が謝って来た。


「これから撤退する、今なら許すぞ?」

『いや。 こっちが終わらないから撤退できないさ、・・・ん。あれは・・・』


 すると『て、敵襲! ガフッ――!』という仲間の声と共に、銃声が聞こえて来た。


「くそっ、やられたのか。 ・・・許すよ、“コールネーム”で呼んだことを」


 次の瞬間には、意識が無くなっていた。最後に覚えているのは、頭が焼けるような痛みだったことだけだ。

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