第10話 壁の外に、沢山の難民らしき姿が
僕はじっと周りを見渡します。
門には沢山の人が並んで、通行しています。
何かを見せてますね。
たぶん僕はその何かを持っていません。
そんな中、門から離れた壁が目に付き辿っていくと、ある一角に目が行きます。
壁沿いに沢山の人がいるようです。
座っていたり、立っていたり寝ていたりと。
ただ、正直見た目が良くありません。
着の身着のままのようで、ようやくここに辿り着いた、そんな印象です。
数百人がその場に留まっているようです。
ここ街の外ですよね。
一体何をしているのでしょうか?まさか街に入れないで壁沿いで過ごしているとか?
疑問に思いながら見ていると女性が集まっている場所が目に付いたのですが、炊き出し?をしています。
パンを食べているのでお腹は空いてませんし水はあるので、特に何とも思いませんが。
それよりも寝床をどうしよう?
手持ちの金ではどうにもならなさそうなので、あの集団?と一緒に寝るか、森に戻り寝るかしないと駄目な予感がしますね。
森は正直危険な臭いがします。だからと言って知らない人の所では安心できません。
そんな事を考えていた僕は、油断してたのでしょう。背後の気配に全く気が付いてませんでした。
僕は何かぱきっと音がしたので振り返ると、目の前にこん棒が見えました。
あっ!と思いますが、僕は逃げる事も出来ず、咄嗟に腕で頭を守るように上げ、その腕にこん棒が当たります。
ドゴッ!
う・・・・凄い衝撃が伝わってきます。
そして腕に少し痛みがありますが・・・・あれ?何ともない?
見ると目の前には、先ほどのゴブリンではなく違う生き物がいます。
オーク?オークが!
でかい・・・・僕の2倍はあるんじゃない?
僕は考える前に咄嗟にオーク目がけてナイフを投げます。
オークは僕の目の前。オークは避ける事もせず、そのナイフはオークの頭に命中。そのままナイフはオークを貫通し後ろに飛んでいきます。。
倒れるオーク。
ですが、まだ他のオークがやってきます。
これは・・・・何で街の近くにオークが?僕が招いてしまった?
だけど、それは違うとすぐに気が付きます。
誰かがオークと戦っているようです。
「くそ!何でこんなに居やがるんだ!」
「数が多すぎます!このままでは街に!」
「そこ!子供が襲われてる!」
「まじか!何とかならないのか?」
「なんてこった!この辺は薬草が採れるからな!!小さな子供が居てもおかしくはないか。運がないなあの子も。」
え?この辺りは薬草が生えているんですか?まあまだ街の壁との距離は200メートルほどあるようですがこんな場所に薬草って生えているんですかね??
そんな事を考えながら周囲を見ていくと、目の前には数人の男女の冒険者が戦っているようです。
と言うかそう言う冒険者が幾組もいるようです。
しかしながら冒険者達は完全にオークに囲まれてますね。
オークの数が多すぎます。
これはどうすべきでしょうか?
ここで逃げる、という選択肢もありますが、果たして僕の足で逃げ切れるでしょうか?先ほどの道具を使えばあるいは逃げ切れるかもしれませんが。
ですがそんな事を考えている余裕はありません。
何せ僕の方にも別のオークが何体かやってきましたから。
このまま後手に回れば囲まれてしまいます。
僕はナイフを必死に投げます。
念の為冒険者が射線上に来ないように位置を移動しながら投げていきます。
何故かナイフは全てオークの頭に当たります。
そして絶命するオーク達。
オークは魔石もそうですが、肉が食べられるんですよね。
だけど素材の確保は難しそう?
倒したオークを一応カバンに仕舞います。後で解体すればいいだけの事。
そして、やってくるオークを片っ端からナイフを投げて仕留めていきます。
ただ・・・・僕は自分の体力が無くなっていくのが分かります。そして喉もかわきます。
僕は自分の周りのオークがいなくなったのを確認し、コップを取り出し水を飲みます。
これ飲んで疲れが回復したらいいのに・・・・
そう思って飲んだのですが・・・・
あれ?なんだか急に元気が出てきたような気がします。
疲れが吹っ飛んだ?なんだか俺はまだやれる!みたいな気持ちになってきました。
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