ドラクエ「あるある」漫才

夢美瑠瑠

ドラクエ「あるある」漫才

      


       「勇者と魔王」編


「えーこんにちは。勇者の「ああああ」です。」

「キミ、なんやその名前は!えらい手を抜いてるやないか!」

「プレーヤーが創意工夫の才能のないぼんくらでして」

「まあええわ。魔王のギガガドン・デスガレイオです。どうや、これくらいでないと名前とは言わんで」

「えらいたいそな名前やな。名前だけやのうて色もけばけばしいし格好もおどろおどろしいな。どういう進化したらそんないきもんできんねやろな。

 ホンマ悪魔の所業やな。あくまでもフィクションですってか?

 ”魔王はまあ大きい”かいな。そうそ、キミはいつもおんなじこと言ってるけどはように「ニンゲンどもに本当の恐怖」を教えてくれよ。教えてくれる前にキミやられてまうやないか。HPやたら多いくせになんで負けてまうんや。セリフだけいっちょ前でよ」

「やかましい!徒党組まんとなんもでけへんやつらが。パーティーやと?遊んでるんちゃうぞ。それにいっつもおんなじ顔ぶれで雁首並べ腐って、勇者に戦士に魔法使い、僧侶?もう見飽きたわ。人間いうんは友情だの愛だの戦いだのきれいごとばっかりならべてすぐメロドラマ始めるから嫌いや。もっとクールに非情に孤独に冷徹に生きてみろよ。ゲーマーいうんは少年ジャンプの読みすぎみたいなやつばっかりか?

偽善的な勧善懲悪っていう建前のドラマツルギーがなかったらお前たちなんかすぐおれにギタギタにやられちまうんやぞ。ほんまにロープレちうのは嘘くさいな」

「お前みたいなんが権力もったらプーチンだかプッチンプリンみたいになるのや。最低の野郎やな。人間は不完全な生き物で、長所も短所もあって、それでも助け合って、補い合って、大きな目標を達する、そこが尊いいうんがロープレのテーマやないか。ちっともわかっとらんな。強いものが弱いものをやっつける、弱肉強食、それでは話にならん。そうはいかんところが人間の尊さやというんがロープレの肝心なとこなんやで」

「名前は出来合いでもずいぶん立派なこと言うなあ。だけどゲームやるやつはそないに高尚なこと考えとらへんで。レベル上げの快感に酔っているだけでなんやったら魔王が勝つというシナリオでも「これは新しい」「斬新」とか感心するだけでそういうモラルとかはゲームの面白さの本質とは別と違うか?漫才と同じでおもろかったらブラックなギャグでも許されるんや。みんなで渡れば怖くないってほんまにはできへんからおもろいんやろが。ゲームやったら勇者が魔王に勝つっていう単純なシナリオより、現実並みに複雑な駆け引きとかがあったほうがおもろいかもなあ。魔王の弱みの美女としてパーティーの女の子を犠牲にするとか、金に弱い魔王にカジノで稼いだ賄賂つかませるとか…」

「悪魔だけあって、あくまでもダーティーに考えたいんやな。そんな身につまされるような悪辣なゲームばっかりやっとったらひねこびた子供になって教育に悪いやないか!そんなゲーム胸糞わるうなるだけや!やっとれんわ!もう帰らせてもらうわ!」

「ま、待て…」「なんや」

「テイクイットイージー!」

「なんのこっちゃ」

「テイクイットイージー!」

「?」

「”落ち着けよ!”…”オチツケヨ!”……”オチ、つけよう”……」


ーかなりクルシイ「オチツケ」でございました。


<了>

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