第壹譚
俺は、ノートを押し入れの奥へと隠した。なるべく視界に入れたくなかったからだ。
しかし、朝起きるとノートは必ずリビングにあるテーブルの上に置かれていた。毎晩、誰かが部屋の中を歩き回る音も聞こえる。
俺の精神は徐々に崩壊していった。精神病院にも行き、処方された薬を飲んだがまるで効果がない。
神社仏閣にも行ったが、塩を掛けられたり突然念仏を唱えられたりした。
そんなある日の事、俺は街中で一人の托鉢僧に出会ったんだ。彼は俺と目が合うと酷く驚いた顔をして、それから一心不乱にお経を唱え始めた。
<……また、か>
そう思い俺は元来た道を戻ろうとした……すると、托鉢僧は俺に声をかけてきたんだ。
「……お待ちなさい」
「 ! ……なんですか ? 」
俺は訝し気な顔で托鉢僧を見た。
「貴方は、何か恐ろしい呪いに付き纏われていますね。……残念ですが、私の力ではどうする事も出来ません」
予想していた通りの言葉ではあったが、面と向かって言われるとショックは大きかった。だが、彼は言葉を続ける。
「だが、助かる方法がない訳ではありません」
「 ! ほ、本当ですか ! ? 」
「その呪いの元凶を何処か遠くの山……出来れば呪いの【主】に縁のある土地に埋めて来なさい。線香を持ち供養をして差し上げるのです。
……後ろの御仁だけならば、私の師が祓って下さる筈です」
もう手の打ち様が無いと諦めていた俺にとって、それはまるで……
真っ暗闇の中、天から
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます