第2話 岡山駅前のケルベロス
鬼刑事は今日も岡山駅前の桃太郎像前に来て何かただならぬ事が起きる気がして、後輩の青山くんを連れて桃太郎像前を巡回していた。
そうしたところに岡山県警から青山くんに電話が。
青山くんはおむすびを飲み込みながら電話に出た。電話の内容は殺人事件だった。青山くんは鬼刑事に事件を報せた。
しかし! 鬼刑事はぶらり、ぶらぶら…と桃太郎像前ぶらつき旅を続けていた。
鬼刑事は到着したパトカーに青山くんによって連れ込まれ、パトカーは事件現場に発車していった。
事件現場は学校側の川のほとり。一軒家で起きた謎の殺人事件。
鬼刑事は無理やり連れてこられたので、青山くんに疑心暗鬼になりながら仕事を始めた。
青山くんはジャケットのポケットからおむすびを取り出して、おかかおむすびだったため心の中で小さくYes!と叫んだ。そして鬼刑事の近くで事件のメモを取り始めた。
調査開始から数十分。現場に残っていた謎の首輪。ネームプレートにはケルベロスと書かれていた。
「青山くん。ケルベロスとは何だね」
「たしか犬の化物だったと思います」
「そうか…なるほど、もしかしたら犯人は」
「犬とか言うんじゃないでしょうね…先輩」
「真犯人は桃太郎さんだ…!」
「けっ、刑事!?」
鬼刑事は高らかに笑い真犯人を逮捕するため、岡山駅にパトカーを向かわせた。
パトカーの中で自信満満の鬼刑事と、鬼刑事に疑心暗鬼の青山くん。
と、そこで青山くんが叫んだ。
「あ、そこの駅前のカレー屋で降ろして!」
「どうした青山くん」
「腹が減ったのでカレーがいいなぁと」
「カレーでは酒は飲めんぞ」
「勤務中ですよ。先輩」
「カレーはいいのか」
「腹ごしらえです」
鬼刑事と青山くんはカレー屋の前で下車して、カレー屋に入って行った。
「いらっしゃいませ。本日はお二人さまですね。好きな席にお座り下さい」
鬼刑事はボックス席に腰掛けて、青山くんはトイレのあと席についた。
「お座り下さいか…犬ならばおすわり!だなっ」
「何をぼやいているんですか鬼刑事」
「青山くん。何g食べるんだ。俺は300gだなぁ」
「そうですねぇ。500gですね。1辛の」
「若い奴はよく食うなあ」
「ホウレンソウ乗せて下さい」
「かしこまりました。こちらスプーンと福神漬けになります」
鬼刑事と青山くんは昼飯を食べ終わると早速桃太郎像前に向かった。すると……一匹の犬を連れたロックシンガーみたいな男が桃太郎像前で奇声をあげていた!
「あれが犬使い桃太郎さんだな!!」
「けっ、刑事!?」
鬼刑事は奇声をあげながら奇声をあげるロックシンガーに向かい踊りかかった。
ロックシンガーは奇声をあげながら、犬に命令した!
「ゆけ!ぼくのケルベロスぅうううっ!!」
ケルベロスは鬼刑事に噛みつこうとしたが、青山くんが差し出したおむすびに釣られて攻撃失敗。
駅前がほどほどに騒然とするなか、鬼刑事がロックシンガーにつかみかかり、襟を持ち、投げ飛ばしねじ伏せた!
「犯人逮捕ですね!刑事!」
青山くんは内心刑事に対して疑心暗鬼だったが勢いから犯人逮捕ですねと言ってしまった。
しかし、鬼刑事はロックシンガーの襟元を緩め手を放し青山くんに言った。
「いいや、真犯人は桃太郎さんが知っている…。桃太郎さんはこいつの方を向いていない。こいつは犯人じゃない」
「そっ、そっすか〜。誰が犯人なんすかね〜…」
「桃太郎さんはあっちの方角を向いている! あっちに犯人がいるぞ! 青山!」
「は、はい」
青山くんはそういえば鬼刑事はこんな人だったなあと思いだしていた。
真犯人のロックシンガーを放置して、二人はあちらの方角に走り出した。
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