第77話 コルシカ島のナポレオン アメリカ帰りの軍人ラファイエット アンシャンレジーム(古い制度)と啓蒙思想

コルシカ島に戻ったナポレオン

「コルシカ島で生まれたが 此処は私達を必要としていない」ナポレオンは呟く

「ジャコバン派の仲間との約束があったか カフェに行って来る」


今なお独立運動の機運が高いコルシカ島 フランス領となった 

激しい内部闘争中フランス側についたナポレオンの今は亡き父


ナポレオンは9歳で士官学校に入り、フランス軍の士官となったナポレオン 

コルシカ島、フランスでも少し浮いた存在となっていた

やがてはコルシカ島から去る事になるナポレオン一家



長年、イタリアのジェノバの支配下にあったが 

内部闘争により手を焼いたイタリアのジェノバに仏蘭西に売り渡されたコルシカ島


そうして

パリのカフェなどでは 仏蘭西の現状を憂い 議論する者達がたむろしている

そんな様子を見ている カフェの奥にいる者 

アメリカから戻った軍人のラファイエット 自由の息吹に触れた者


ブルジョアと呼ばれる者 

あるいはそれなりの職を得て すこしばかりの余裕がある者達 


「首飾り事件もだが 罷免されたネッケル長官 彼の話した 

税金の話は本当だろうが?」

「もし 英国のように政権が動くとしても

ジャコバン派の言うように 国王を完全に排斥するのは それでもどうかと‥」

穏健派とされるジロンド派の者のようだ

カフェのミルク入りのコーヒーを手にして 彼等の会話は進んでゆく

「国と契約している私設の徴税請負人に立ちの悪い者達も多い 

彼等は私腹を肥やしているから」


「第一身分、第二身分の聖職者に貴族ども 税金を納めずに豪華で派手な暮らしだ」

「そうだな」会話中も甘い蜂蜜がコーヒーに注がれてゆく


「貧民は街にあふれ、パンも変えずに 同じく小麦を作る農民たち」



彼等は最新の情報でもある新聞に

身分に問わない啓蒙思想の本を愛読してして、身分という呪縛からは

解き放たれている 


ブルジョア 濃度と同じ第三身分に含まれるが 

保障された職業に商業部門などでそれなりに成功を修めた者達 



フランスの身分制度 アンシャンレジーム

王侯、聖職者などの第一身分  貴族などの第二身分 

彼等は税金の対象ではなく

冷害に戦争などの重い負担がかかっている恩恵から外れた貧しい者達が苦しみ 

パンもなく飢えていて


「三部会の開催が必要だ」

彼等の会話を聞きながら アメリカ帰りの軍人ラファイエットから 

そんな言葉が漏れた


どちらかと言えば温和なルイ16世の器量では 残念ながらそうした不満も大きな課題も解決する事は出来ずにいるのだ


時代は巡りやがては革命の嵐がやってくる




初稿 2024年8月6日19:03

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