長野観光 一日目
甘々な食べさせ合いっこ
中央自動車道を経由。
長野県に位置する、広大な湖を前に圧倒されていた。
「ここまで二時間半、ずっと走りっぱなしで疲れたよ~」
「お疲れ様、お兄ちゃん。歩花もお尻が痛い……」
ほぼ休憩なしで高速道路を突っ走った。夏休みなだけあり、そこそこ混雑していたけど、長野方面ともなるとそれほどではなかった。世間は山よりも海なのかな。
駐車場から降りると綺麗なサービスエリアが出迎えてくれた。レストランはもちろん、お土産屋が入っていた。
「広くて綺麗だな~。うーん、山だから空気も美味い」
「ねえねえ、お兄ちゃん。諏訪湖だよー! 恋人の聖地だって」
少し視線をそらすと【恋人の聖地】という看板が立っていた。どうやら、ロマンティックな夜景スポットとして有名らしく、プロポーズする場所に選ばれているとか何とか。
確かに、恋人同士らしき人たちが歩いているな。
「写真を撮っておくか」
「うん! 一緒に撮ろー」
歩花がスマホを器用に操作して俺を含めて自撮りしていく。なんだか、本当に恋人同士のようなそんな写真をたくさん撮った。
しかし、暑い。
活動限界を迎えていた。
「汗が噴き出るな、そろそろ戻るか」
「そうだねー。あ、お兄ちゃん、かき氷買おうよ~」
「ああ、あの出店か。いいね」
夏と言えば、かき氷だ。もう少し休憩したいし、疲労を癒す為にも買おう。
出店へ向かうと、少し並んだ。みんなかき氷を求めているらしい。……それにしても、なんだか周囲からジロジロ見られているような。
若い男の視線が歩花を見ている気がした。……いや、これは確実に見られているな。
今の歩花は、麦わら帽子をかぶり、白のワンピースを着ていた。ノースリーブだから、肩を大胆に露出している。更に、ショルダーバッグを斜めに掛けているせいで奇跡のパイスラを起こしていた。
薄い生地のワンピースにパイスラ。胸の強調が凄まじかった。
歩花のヤツ、わざとなのか天然なのか分からんな。
なるほど。しかし、
「歩花、カバン重いだろう。俺が持つよ」
「? これくらい平気だよ~?」
だめだ、気づかない。ここは少々強引にいくしかない。そもそも、俺と歩花は兄妹。周りから見たら恋人にしか見えないだろうし、触れ合うのは問題ない。
俺は手を伸ばして、歩花のカバンを奪う。
「いいから持ってやるよ」
「わ、分かった~、ありがとね」
ほっ、これで少しは歩花に対するエロい視線も減るだろう。それを証拠に周囲の男共が舌打ちしていた。貴様ら!
それから、出店でかき氷を購入。俺はメロン味を。歩花はいちご味となった。
「どうせなら、諏訪湖を見ながら食べようか」
「うんうんっ」
ベンチに座り、湖を見ながら食べる。おぉ、キンキンに冷えてやがるっ! 運転の疲れが吹き飛ぶようだった。
「うまっ! しゃりしゃりだなあ」
「美味しいねえ! 夏って感じ。あ、そうだ、お兄ちゃん。はい、あ~ん♪」
歩花がイチゴ味のかき氷をスプーンで
遠慮なく口をつけ、イチゴ味を噛みしめた。
「う~ん、めちゃくちゃ美味しいよ」
「間接キスだね♡」
「そ、そうだな……そうだ、俺のメロン味も食べさせてやる。ほれ、歩花。あ~ん」
「……は、恥ずかしいよ」
「馬鹿。俺も恥ずかしかったってーの。お返しだ」
周囲には恋人しかいないし――いや、さっきのエロ視線を送っていた男共も陰から見ているけど、気にする必要はない。俺は半ば強引に歩花の口元へ運ぶ。
恥ずかしがって食べようとしなかったけど、歩花は勇気を出した。
「……はぐっ。んん! 美味しい!」
「そうだろう。メロン味も馬鹿にできないぞ」
「うん! 食べさせ合いっこもいいね」
幸せそうな顔を浮かべる歩花は、油断していたのかスプーンからかき氷を落とす。それが胸の中へ落ちていく。
あああああああああ!!
「ちょ、こぼしたぞ」
「つ、冷たーい! お兄ちゃん、取ってぇ……」
真夏日の高温のせいか練乳が溶けていく。それがますます、それっぽい色へと変化して……これはまずい。練乳なのに!
「俺が歩花の胸に手を突っ込めってか!? 無理だ。自分でやれって、ほれ、ウェットティッシュ」
「こ、ここでなんて恥ずかしいよぉ! お兄ちゃん、舐めてくれる?」
「な、舐める!? その方が恥ずかしいだろ! 無理無理! 我慢しなさいっ!」
さすがに公共の場で歩花の胸をペロペロしたら、ヘンタイすぎる。もれなく、おまわりさんがすっ飛んでくるってーの。
「ちょっとベタベタするけど、キャンピングカーに戻ってからにするね」
「そ、そうか。じゃあ、もうちょいゆっくり食べるか」
食べさせ合いっこを続け、幸せな時間を過ごした。それから、キャンピングカーへ戻ったのだが……ここで一本の電話が掛かってきた。
「……な、なんだって!?」
***おねがい***
続きが読みたいと思ったらでいいので『★×3』をしていただけると非常に助かります。
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