無力 9-18


 ずっと触れたいと思ってた。


 遠くから見つめるだけじゃ物足りなくて。

 でも手をのばすと、きみは遠くへ逃げてしまう。


 だけど今日は違った。

 僕の手をはねのけず、触れさせてくれて……。


 あたたかなぬくもり、きみの体温。

 浅い呼吸は最後の輝き。


 手の平に残るあたたかさに、僕は「無力だ」と肩を落とした。


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