ミモザ 3-8


 庭に生えている、背の低いミモザの木。


 本当はここから逃げたいのに……。

 風に乗ってやってくる甘い香が、私を押し留めた。


 ある日、ひと枝を手折って気付く。

 大振りな花に見えてもひと粒ずつ独立していて、それだけでも美しいことに。


 私は決意した。

 母や妻という皮を脱いで、本当の「私」になろう、と。


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