3月

春の香り 3-1

 

 ふわりと香る沈丁花。

 いったいどこから?


 辺りを見回してみると、まだ固い椿の蕾。

 反対側には、盛りを過ぎた梅の花。

 向こうには芽を出し始めたチューリップ。


 肝心の沈丁花は見当たらなくて、がっかりだ。

 蝶や鳥なら、すぐ見つけられるのに……。


 羽ばたけない肩甲骨を動かすと、冷えた身体に春が訪れた。

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