逆転バレンタイン 2-14


 

 我が家のバレンタインは、辛党の夫が甘党の私にチョコを贈る。

 何十年も繰り返されたイベントだ。


 夫はいつも、色んなチョコの詰まった箱詰めを私にくれた。

 そして、美味しそうに頬張る顔を見つめて、微笑むのだ。


「今年からは、逆なのね……」


 私は墓前にチョコをそっと置いて、手を合わせながら呟いた。

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