今日の鍋 1-19


 欠けた土鍋を火にかける。

 コトコトという音が聞こえてきたら頃合いだ。


 ワクワクしながら蓋を開けると、白い湯気が煙幕みたいに広がっていく。

「さて、どれから食べようか?」

 箸を持ち、僕は鍋のなかを覗き込んだ。


 十円の豆腐を八等分。

 わびしいけど、頬張ると身体がポカポカ心地いい。


 そんな給料日前。

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