第3話『うっかりがぶ飲みカルーアミルク』
「「「「「「乾杯〜〜!!」」」」」」
せっかくの生ビールがぬるくなってはいけない感じで、簡潔に……しかしながらしっかりとした挨拶で幕を開け。
「そういや、式もだけど披露宴はどこでするか決まったの〜?」
既にジョッキの半分近くを減らした
「あ、はい。チャペルも考えましたが……
「いいねいいね〜!」
「あら? わざわざうちじゃなくてもいいのよ?」
「くっつん〜……」
「だって、一生ものよ? 職場だからって遠慮してない?」
「いえ。そこはきちんとふたりで話し合いました」
本当だ。
これからも勤務していく、『ヴィラン』で挙式と披露宴をしたい。
たくさんの人々に支えられてきたからこそ、感謝の気持ちも込めて……ホテルで結婚の催し物をきちんと迎えたい。
それを皆の前で告げると……紫藤もだが、他の上司らも涙ぐんでいた。
「うぉお!? 俺は猛烈に感動した!!」
「しどたんは泣き過ぎ」
「だって……バイト時代からの部下が成長したんだって!!」
「分からなくもないけど、鼻は拭きなさい」
「ぐず」
そこからは、個別に乾杯をしたいと代わる代わる怜のジョッキに自分のジョッキを軽くかち合わせて……が続き。
全員が終わった頃には、流石にビールも少しぬるくなったが……真尋ら店員が持ってきた料理でテンションが高くなった。
「はぁい! サザエの壺焼きとミックスフライ盛り合わせ!!」
それと……と、真尋が何故か怜の前に覚えのないカクテル……多分カルーアミルクのグラスを置いたのだ。
「まーちゃん?」
「前に好きって言ってたでしょ〜? 結婚決まったんなら、あたしからのささやかなサービスプレゼント!!」
「あ、聞いてた?」
「ゆーちゃんから教えてもらったのよん」
なるほど、と会話はそこまでだったが次々と来る料理の量に……ひと口ずつ食べれるか自信がなかった。
とりあえず……唐揚げとフライドポテトを食べてから、せっかくのカルーアミルクをいただくと……驚くほど飲みやすく、
「そんなに美味しいんですか?」
「うんうん。カフェオレと勘違いしちゃうくらい」
「んー。私も次はそうしちゃおうかなあ」
「甘いの好きならオススメだねぇ?」
流石にサービスではないだろうが、作ってはくれるだろう。
酒はいくらかセーブしたけれど、胃袋ははち切れんばかりに大量に詰め込んだ怜だった。
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