第2話『テスト期間中のお好み焼き定食』①

 麺類はカップ麺を昼間に食べたので、気分ではない。麺でもパスタやうどんも同じ理由で却下。


 米……はレトルトのものがあったので採用。


 レンチンで五分くらいのタイプだから、先におかずになるようなものを探すことにした。


 あった野菜は。


 長芋。


 キャベツ。


 太めのネギ。


 小松菜。


 椎茸。



 ひとり暮らしだからまあまあ用意してある方だが、一部はれいとの共同買い出しで買ったあまりもある。特に、キャベツとかは表面の皮は傷みやすいが、内側はまあまあ大丈夫なものだ。


 次に肉類をと、上の段を見てみれば。



 卵数個。


 豚バラ肉、中途半端。


 スライスチーズ数枚。


 ピザ用チーズ、袋半分。



 肉は豚バラ肉だけで、あとは怜の好みで買った食材が多い。


 冷蔵庫は一旦閉めて、粉類を探せば……小麦粉以外にも、『お好み焼き粉』があった。これなら、腹に溜まるものも作れる。



「……米はいるか?」



 作るのをお好み焼きに決めたが、それに米をセットするかしないか。


 そこそこ食べる裕司ゆうじではあるが……一応関西圏にも加わる三重県出身でも大阪の『お好み焼き定食』は、あまり一般的ではなかった。


 そもそも、炭水化物に炭水化物を合わせるのもいかがなものかと思っている。怜にも話した、よさこいソーラン節とかの踊りも……テスト期間中の今は、少しサボり気味だった。課題に追われて、少し不摂生気味な食事をしていたから……割れている腹筋が少しつまめるようになっている。今触っても、もにゅっと少々。



「…………いいや」



 これを機に挑戦と言う建前にして、次第に腹の虫が落ち着かなくなってきたため、レトルトの米も食べることに決めた。


 レンジにはすぐに入れずに、まずは野菜とタネ作り。バイトのまかないで鍛えた千切り技術を惜しみなく使い、キャベツを千切りの後はみじん切り。ネギも同様に切る。


 作るのは大阪風なので、この作り方だ。ホットプレートがないから、広島風は作れない。そもそも、作ったことも食べたこともないので。


 生地には、お好み焼き粉に擦った長芋、卵に水を入れてざっくりと混ぜる。お好み焼き粉に、既に山芋粉が入っていても……父親に昔教わったが、芋を入れるとさらにふんわりした仕上がりになるとか。


 実際、裕司も一度無しで作った時は実家のとは違って物足りなく感じた。



「……あ〜……普段買わないから、天かすも紅しょうがもない」



 味のアクセントになるふたつの薬味的な材料がなかった。


 なくても良いが、天かすは生地にコクを。紅生姜はあの甘塩っぱさが良いアクセントになるのだ。昔はたこ焼きのも苦手だったが、二十歳を越えた今は好んでいる。


 しかし、無いものは仕様がないから、どんどん作っていく。焼く時に、レンジに米のパックを入れて……電気ケトルでお湯を沸かす。フリーズドライの味噌汁も見つけたので、お好み焼き定食ぽく作るためだ。

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