のはらを探して

３

　妖精さんと出会ったことでわくわくする冒険心をいつも以上に膨らませていたさなぎは、毎日探索している家の近くの森の中をいつもよりもずっと、奥に、奥に向かって歩いて冒険をしていた。

（いつも泣いてばかりいる、臆病な性格をしたさなぎにそんな大胆な行動ができたのは、妖精さんが一緒にいてくれたからだった）

　そのせいでさなぎはやがて（妖精さんと出会った）森を抜けて、その反対側にある見知らぬ土地にまでやってきていた。

　途中に見たこともない（とても綺麗な）小川があったりしたので、もう随分と歩いて移動をしたはずだった。

（帰り道がわからなくなる可能性もあったのだけど妖精さんが『大丈夫ですよ。帰り道は私がしっかりと覚えておきますから』と言ってくれたので、さなぎは安心して森の中を歩き続けていた）

「ここは私の家のお花畑なのよ！　勝手に入ってもらっては困る！」とむっと怒った顔をした女の子はその両手を腰に当てて仁王立ちをしてさなぎを見ながらそう言った。

「あ、えっと、ご、ごめんなさい。あなたのお家のお花畑だなんて知らなかったから、……」と怯えた顔をしてさなぎは女の子にそう言った。

　確かによく見るとその綺麗なお花畑は自然とそうなった、としてはあまりにも綺麗に咲きすぎていた。（いろんな色をした花がきちんと並んで咲いているのも不自然だった）

　誰かがこのお花畑を管理して育てている、と考えたほうがようさそうな風景だった。

　……妖精さん、どうしよう？　と小さな声でさなぎは言った。

『ふふ。さあ、どうしましょう』とさなぎの耳の後ろあたりにさっきからずっと隠れている妖精さんが、面白そうな声でさなぎに向かってそう言った。