続5話 3人で温泉デート



 杏子とは家族になったけど、そういえばまともにデートしていない事に気が付いた。


 よく考えたら、雪ちゃんとも、まともなデートしたことが無いような気がする。


 流石にこれは無いよね?と思って、杏子に相談したらデートしましょうと誘われることになった。

 最初は杏子と二人で計画を立てていたんだけど、雪ちゃんがそれは狡いって言って来たので3人でデートする事になったんだ。


 計画を立ててやってきたのは、熱海っていう温泉街だ。


 一泊の予定でホテルを予約して、移動には電車を使った。新幹線を使って熱海駅で降りて改札を出ると、いきなり足湯があった。

 

「おたくん足湯だよ?」

「本当だ……入ってく?」

「まだ駅前よ?ほかに行きましょう?」


 熱海駅を出ると、新しくなったらしい駅ビルがあって、右側には商店街が見えていた。

 

「すっごい……急な坂道に商店街があるよ?」

「お土産屋さんもいっぱいあるね?」


 これは帰りにお土産を買うのに寄った方が良いかな?でも……メインの一つはここらしいから、見て行こう。


 よく見ると干物屋さんが多くて干物が有名なのかもしれない。金目鯛の干物とか見た事が無いし。


 商店街をぶらつくと、温泉饅頭屋さんが多くて、練り物を売ってるお店や、お魚を使ったハンバーガーとか、四角いシュークリーム屋さん、今はやりのフルーツサンドなどが売っている店があった。


「プリン並んでるよ?行こう!」


 何でも行列の出来るプリン屋さんがあるとかで、あらかじめチェックしていたようだ。

「すごい列だね?」

「そうね……ここのプリンはいつも並ぶみたいよ?」


「そうなんだ」


 3人で列に並ぶと結構後ろで、なんか買うのが楽しみになって来た。


 暫くして順番が来たのでプリンを選ぼうとすると、何種類かあるようだった。


「僕は普通のでいいかな」

「私はえっと、イチゴがいいな杏子ちゃんは?」

「私は、抹茶味で」


 三人でそれぞれ違うものを頼んで購入したけど、食べる場所がなかったのであとで食べることにした。


 近くにまるごといちごが乗ったイチゴアイス屋さんがあったのでそっちを買って食べてみたらすっごく美味しかった。


「いちご美味しい!」


「ちょっとまず写真を撮りなさいよ、勿体ない」


 杏子は写真を撮っていたけど、雪ちゃんは真っ先にイチゴを食べてしまった。


 僕も、最初にイチゴを食べたんで、美味しかったよ?


 ついでに温泉饅頭を買って、ホテルにチェックインするためにタクシーに乗った。

 送迎バスもあるみたいだけど時間制なので、3人でタクシーに乗り込んだ。真ん中に僕が乗ったんだけど、左右から腕を組まれて胸が当たってるんだよ?


 僕が指摘すると、二人から、当ててるのって言われた。どうすればいいの?


 ドキドキしながら乗っていたタクシーは、目的のホテルに着いた。


 タクシーの運転手さんには、ニヤニヤされながら、ごゆっくりとか言ってくれたけど、何がごゆっくりなのか良く分からなかった。


 言われなくてもゆっくりする予定だよ?


「さて着いたわよ?ここは、温泉がオーシャンビューで入れるらしいわ」


「へぇ……海が見えるって事?」


「早く!みたい入ろうよ!」


 雪ちゃんが急かすので、フロントでチェックインを済ませたら、ホテルの人に部屋に案内された。部屋は一部屋で、四人部屋を三人で使う感じになっていた。


 洋室と和室があって、洋室にはベッド二つ、和室には布団が二組。三人で寝るにはどうするのか迷いどころではあった。


「ねぇ、どうやって寝る?私はベッドがいいなぁ」

「私もベッドよ?」

「え?僕は?和室なの?」


 何か僕一人で和室で寝ることになりそう。仕方ないよね?


「ねぇ見て!露天風呂があるよ?すごい!」


「本当だ、露天風呂だね?」 


 え?部屋に露天風呂?しかもシースルー?壁がガラス張りなので丸見えだよ?


「露天風呂付きを予約したのよ?少し高かったけど」


「そうなんだ」


「おたるん?あとで一緒に入りましょ♡」


「う……うん」


 取り合えずこのホテルの看板であるオーシャンビューの露天風呂に入りに行こうという事になったんだけど、ちょっとまって。僕はどっちに入ればいいの?


 男湯?女湯?


 相談した結果、胸はあるので下を隠して、胸を見せれば女湯に一緒に入れると言うので一緒に女湯に入ることになった。いいのかな?


 今日は薄着なのでちゃんとブラもして来たし、服も女物のブラウスを着てきているので問題ないとか。


 でもタオルで前は隠すよ?もちろんバスタオルで胸から下まで。


 大浴場に入ると、凄い湯気でとても広かった。なんかスパみたい。


 まず体を髪の毛と体を洗ってから湯船に入ると、とても気持ち良かった。ちょっとみんな胸が見えていたり、色々と目のやりどころに困るけど、……もう慣れた。うん慣れたよ?


「おたるん、内風呂じゃなくて外行こう!」


 杏子が裸で僕を露天風呂に誘いに来たから、僕は杏子に手を引かれてオーシャンビューと言う露天風呂へ行ってみた。


「すごい……海と温泉の境目が無い……」


「ん~気持ちいいね?」


「……うん」


「来て良かったよ」


「私ね?おたるんが、デートに誘ってくれた時、本当に嬉しかったんだよ?」


「杏子……今までお家デートしかして無かったし、気づかなくってごめんね?」


「今日のでチャラにしてあげる……けど足りないなぁ?もっとデートしようよ?」

「うん……分かったよ」


「うわぁ……きれい!ねぇおたくん!見て見て!」


 後から雪ちゃんが露天風呂に出て来た。


「見てるよ?ホントキレイだね?」


「八時になると、ここから花火が見えるんだって!」


「へぇ……ここから見えるんだ?」


「それなら部屋からも見えるはずよ?」


 部屋から見れるならその方がゆっくり出来そうだけど?温泉だとその時間人が多そうだしね?


「花火の時間は、ここ混むんじゃないかしら?」


「そうかも」


「部屋でゆっくり見ようか?ほら部屋にも露天があるでしょ?」


「そうね、そうしましょう」


 大浴場から出て、食事の時間まで部屋でのんびりと過ごした。


 携帯用の人生ゲームを持ってきていたので、またリベンジするんだと言っていたけど、あれって結局は家族で優勝になって、ぐだぐだになったような気がするんだけど?

 人生ゲームの結果は、前回と一緒だった。車にいっぱい乗せようとしたら携帯用の車は4人乗りだったので、子供が一人までしか載せられず、もう一台チャーターして2連の車となった。本当にそれでいいの?


 夕食はバイキングかと思ったら、部屋食で部屋まで配膳してくれた。


「おいしそう!」

「お魚が美味しいよ?」

「これ金目じゃない?煮付けも美味しい!」


 熱海ということで干物や海産物が多かった。伊豆のワサビや海苔が美味しくてご飯をお代わりしちゃったよ?


 最後は火をつけてすき焼きだった。すき焼きを食べるのは初めてだったので、とてもおいしかったよ?牛肉を卵に付けて食べるんだ?


 うちでも出来るかな?今度お願いしてみようかな。すき焼きは僕のお気に入りの一つになった。


「ふぅ……ご馳走様ぁ!」


「美味しかったぁ!」


「もう……お腹いっぱい。ちょっと休憩」


 まだお風呂に入るんだからね?


 食後の歯磨きを済ませて、部屋風呂に入る準備をする。準備と言っても着ている浴衣を脱ぐだけだ。


「おたるん……見て♡」


「うん……杏子綺麗だよ?」


「おたくん……私も見て♡」


「雪ちゃんも綺麗だよ?」


 僕は左右から頬にキスをされて、順番に口にキスをされた。


「おたるん大好きだよ♡」

「おたくん大好き♡」


「杏子♡、雪ちゃん♡二人とも大好きだよ♡?」


「ん♡……ちゅ♡」

「うん♡……ちゅちゅ♡」


 部屋の電気は暗くしてある。外の花火を見るために。

 三人で一緒に部屋の露天風呂につかると、熱海の夜景がとても綺麗に見えた。


「綺麗……」

「うん」

「夜景ってこんなに綺麗だったんだね?」

「おたるんは、今幸せ?」

「うん、杏子のお陰で僕は幸せだよ」

「私も、おたるんがいたから今は幸せ♡」

「おたくん……私も幸せだよ?大好きなおたくんと、こうして一緒に居られるから」

「雪ちゃん、杏子、僕は二人がいて良かったよ。二人とも大好きだよ♡」


 僕は杏子と雪ちゃんに順番にキスをした。


 熱海の海の上では、綺麗な花火が上がっていた。






読者様へ


ここまでお読みいただきありがとうございます。


レビュー☆☆☆にコメント、応援♡を頂けたらとても嬉しいです。


デート温泉回でした。


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