第19話 愛の揺り籠
おたるんの手術の日程が決まったとお祖父様から連絡があった。精子の確認と保存は問題無いとの事だった。
一週間後……。おたるんは女の子になってしまう。
おたるんに小さいままでいて欲しいというのは、私の願いで……おたるんはその私の願いを叶えてくれようとしている。
女の子を選ぶ事によって……。
おたるんに精通が来た日……私は……おたるんのを見る事が出来なかった……。
あの夜……夢の中でおたるんの男の子に触ったような気がしたけど……あれは何だったんだろう?
私はまだ一度も……おたるんの成長した姿を見ていない。
◇◇
あの事件があってから、僕はまだ学校には行っていなかった。
一応先生から連絡があって……保健室でもいいから登校するように言われた。
所謂、保健室登校。
保健室で最低限の勉強を見てくれるとの事で僕としてはそれでもいいかなって思う。
また……襲われたりしたら……と思うと引き篭もりたくもなる。
「おはようございます」
「おはよう。おたるちゃん?」
保健室には看護婦さんみたいな保険の先生と、特に勉強を補佐してくれる養護の先生がいる。今日は養護の御上先生が僕の担当みたいだ。
御上先生は、長い髪をアップにしていて胸の大きい可愛い先生だった。
「聞いたわよ?手術……もう5日後?になるのかしら?」
「はい、でも入院はその前なので……あと4日で入院になります」
「早いわね……もう猶予も無いのね?」
「ご家族は納得しているの?」
「どうなんでしょう……」
雪ちゃんは、僕に精通が来た日から様子がおかしいし……あ……でもまさか……雪ちゃんが……あんなエッチな子だったなんて……。
実は雪ちゃんは……子供が欲しいとか言って……杏子に隠れて毎日のように僕の……その……アレを求めてくるようになってしまったんだ。
「どうしたの?顔が耳まで赤いわよ?」
「え?あ?だ……大丈夫です……はい」
はぁ……僕は本当に女の子になってもいいのかなぁ……?
◇◇
あ〜あ……なんか杏子ちゃんにバレちゃったみたい。
おたくんの入院まであと2日……手術まであと3日となった日、杏子ちゃんに私の行いがバレてしまった。
杏子ちゃんに内緒でおたくんとエッチな事をしていたのが遂にバレたの。
杏子ちゃんに呼び出されたのは学校の屋上。
あの事件のあった場所だ。
「良く来たわね裏切り者!」
杏子ちゃんは怒り心頭と言ったところみたい。
「裏切り?私は、私のやり方でおたくんを愛しているの。それだけだよ?」
「ッく……でも!私に内緒で!一言、言ってくれてもいいじゃん!」
「言ったら杏子ちゃんは……やらせてくれるの?」
「そんなの!許可する訳ないじゃん!」
「だよね?……だから黙ってたの……」
「な……」
「杏子ちゃんには、出来ないもんね?見たことも無いんだから……」
「それは……」
「知ってる?おたくんの男の子……成長しても可愛いんだよ?小さくて……本当に可愛いの♡杏子ちゃんだって……見たら絶対気にいると思うの……」
「小さい?……可愛い?……そんな……」
「杏子ちゃん?私はね?……おたくんの子供が欲しいの!」
「ゆきよん……」
「もう時間がないの!おたくんが女の子になったら……もう出来ないんだよ?」
「そんな事分かってる……でもおたるんは女の子を選んだんだ!私のために!」
「私のために?それって杏子ちゃんの我儘だよね?」
「私のわがまま?」
「そうよ?そこにおたくんの意志はあるの?杏子ちゃんが望むから……おたくんは貴方のためだけに女の子を選んでしまったのよ!……杏子ちゃんはそれで本当にいいの?」
「……杏子ちゃんはトラウマを治すだけでいい……でも、おたくんには一生治らない傷が残るんだよ?」
「…………」
杏子ちゃんは唇を噛みしめて……俯いて何か我慢している表情だった。
「……杏子ちゃんは……それで本当に責任取れるの?」
「ぐっ……」
「いい?私はおたくんの子供を残してあげるの……それがおたくんのために……私に出来る事だと思ってる」
「……ゆきよん」
「本当に時間が無いの……だから……私の邪魔はしないで」
「くぅぅ……もう、知らない!ゆきよんのバカぁ!勝手にしろ!」
走り去った杏子ちゃんの目には涙が溜まっていた。
……私は杏子ちゃんと喧嘩した。
あれから杏子ちゃんは家に帰って来なくなった。
キングサイズのベッドは……おたくんと私の……ひと時の愛の揺り籠となった。
その後杏子ちゃんは、実家に帰ったのか相変わらず姿を見せず……おたくんは入院した。
そして手術の日が来てしまった……。
読者様へ
ここまでお読みいただきありがとうございます。
短いですがここで切りました。 もう待ったなしです?
もっと続きを読みたいと感じて下さいましたら
☆☆☆、♡を頂けたら嬉しいです。
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