導火線もない 【?】

喉の奥 かたまり おちこみ 凝る澱

溜まり溜まりて井戸の底

つるりとまるい球一つ


正体を知っている

名前を知っている

それでもぼくは知らんぷり


だって正体知っても使えない

だって名前明かせどでくのぼう


ぼくは火の付け方も知りやしない

それでも井戸の底にはごろごろり

ドカンと一発できたなら、少しは生きやすくなったかい

見下ろすおまえ

見上げるぼく


導火線がない感情は 世間様には見えやしない

それでも弾けさせたらたえきれない

自分の心にたえられない

ぼくもおまえも知っているから井戸の底にごろごろり

今日も球が増えていく

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