17.とんかつのお肉は厚けりゃいいってもんじゃ無さそう

で、前回のコロッケのお話からの続きみたいになります。


甘くない、私が大好きなコロッケを売ってた『花田精肉店』さん。ここで売ってた『とんかつ』も実は大好きだったんですよ。どんなものかと言うと、衣がザクザクでクリスピーで香ばしくて、衣だけでも美味しかったんですが、お肉が薄い、物凄く薄い。たぶん2mくらいしかなかったんじゃないかな、いやもっと薄かったかも。ミルフィーユカツってあるじゃないですか、あれは薄いお肉を何層か重ねて衣でくるんであげるんですが、そのお肉を重ねないで一枚で作った、そんな感じのとんかつでした。


香ばしくあげられてたのはたぶん、このお肉の薄さにあるんでしょうね。揚げる時間が短くて済みそうだから、その分余分な脂が染み込まないで脂っこくならなくて軽い食感を表現することができたんでしょうね。でも、どうしてこんなに薄いお肉でとんかつを作ることを思いついたんですかねぇ、ネットで調べてもこういうのが名物と言うお店も地域も見つかりませんでしたので、おそらく花田精肉店さんオリジナルの作り方というか発想だったんだ無いかと思います。


お肉はたぶんロースで豚肉の旨味がしっかり感じられてとんでもない薄さなのにジューシーで、私の両親も分厚い脂っこいお肉を使ったとんかつよりも、この薄いお肉のとんかつの方が好きだって言ってました。とんかつソースとの相性が抜群でしたよ、ただ、私の父はこれを辛子醬油で食べるの好きでしたね。辛子はまぁ、とんかつにはつきものかとも思うんですが、私はお醤油はちょっと合わないなっともいました。ちょっと父の味覚を疑ったりなんかしましたね。


肉厚ならとんかつは闇雲に美味しいというのははっきり言って間違ってます、こういう作り方も有るんだって言うことを広く知っていただければと思います。


このとんかつ、ファンの方も多かったようで売れ行き好調だったらしく、お昼過ぎには売り切れてることも有って、お使いで買いに行って無かったりしたら、結構がっくり来ましたよ。その分、コロッケ買い込んで凌ぎましたけど。そうそう、コロッケも売れてたみたいですが、とんかつよりは数が揃ってたみたいで売り切れに当たったことはなかったです。


花田精肉店さんは残念ながら閉店してしまって、コロッケもとんかつも幻と化してしまいました。でも、私の思い出の中ではしっかり輝いています、でも、どこかの誰かが復活させてくれないかな、もう一度だけでいいから食べてみたいなぁ。極薄肉のとんかつ。あの幸せをもう一度噛み締めてみたいです。

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