女人伝楚漢戦争~項羽ちゃんと劉邦ちゃん~
感 嘆詩
第一章『韓信の股くぐり!?編』
死んで劉邦に転生したんだが、なんとここ、現実世界と異なるいわゆる貞操逆転世界だったらしい。
別に男だてら成り上がることに興味は無いんだけど、後々乱世になるんだから今から人材集めとけば美味しい思いが出来るんじゃないかと思って男1匹、徐州から南下してはるばるこの淮陰まで来たわけだ。
路銀はたんまり美女達から貰えたので困難なく悠々としたもんだった。さすが、人徳と運だけで上り詰めた男。天が味方してるとしか思えんね。
この淮陰で狙うは韓信。初期の頃から厚遇しとけば裏切らんだろ。しかもここは貞操逆転世界。国士無双も寝技で即落ちって寸法よ。夜のレスリング無敗だぜこちとら。
「おら、張りぼて女郎!俺様の股をくぐりな!」
え、嘘やん。あのエピソード?あのエピソード見れちゃうの?奇跡やん?まるでゲームのイベントみたいだな。
「ううー、わ、わかりましたぁ」
韓信?この子が!?
なんか気弱そうな目隠れ美少女が、これまた荒々しい美少女たちに脅されている。
「なんだあっさり。臆病者め」
「あ、あなたが潜れって言ったんじゃないですかぁ」
しかし、デカイ。いや、タッパじゃなくて、タップンタップンというか、デカイ。ノッポ設定がこう変換されているのか。高身長知的美女を想像していたんだが。いや、これはこれで凄く良いんだがな。この世界、女の子たちは美女美少女ばかりだし服装は露出過多だし最高である。肌色が眩しいぜ。
民衆に溶け込み見物してたらいじめっ子の1人と目があった。高身長に切れ長の目で、服装整えたらこっちのが韓信っぽい出で立ちである。
「ちょうど良い。旅の男!こっちへ来い」
「へ、お、僕っすか?」
強引に肩を掴まれ、良い匂いとか首筋にムニュっとした感触とか感じながら韓信の前に引っ立てられる。いや、この目隠れっ子が本当に韓信かわからんが。
「男の1人旅かぁ?親も連れずその年で?よっぽど平和ボケした土地から来たのか。ここがお前の運の尽きだ」
いや、むしろラッキー続きです。
「そりゃあ!」
下裳を捲られ下半身が丸出しに!
「なあ!大蛇!?
「ひゃあー。孫子曰く、得物は長ければ長いほど善きぃ~」
孫子本当にそんな事言った!?この目隠れちゃん本当に韓信か?偉人の引用で賢さアピールしてるけど……いや、出来てねぇよアピール。天才タイプなんだろうな。そりゃ重用されないよ。
「さあ、これなら腰抜けのお前でも屈辱だろう。この男の股を潜りな!」
野次馬からは気の毒そうに見られているが、俺にはご褒美です。え、潜られるの今から?この気弱そうな子に?うっひょい!
「む、無理ですぅ~。伏儀様が長すぎるからぁ~。伏儀様の頭とわたしの頭が
やめろさっきから神様を卑猥な表現に!興奮するだろ背徳感で!
「あぁ?ムッツリが!見え張りやがって!本当は干戈を交えたくてしかたないんだろ!この!正直に言え!」
「い、いいませぇん~。ムッツリじゃないですぅ~」
切れ長美少女の取り巻きっぽいたぬ顔美少女が恫喝するが、タレ目でのほほんとしたタヌキ顔美少女なので全然怖くない。なんか癒される。
「じゃあ這いつくばれば良いだろ!這って潜れよ!」
「わ、わたしおっぱいが大きいから這うの苦手だし、頭が地面に付かないから結局
な!やっぱりそんだけデカイとそんな支障が出るんだ。ゴクリ。
「何かトロい喋り方のはずなのに字面見てたらだんだん煽ってる様に聴こえてくるんだよお前!いい加減にしろ!」
「それってあなたの感想ですぅ~」
「コロス!」
ちょっと想像してみる。ぱいず、這いずりが上手く出来なくていつまでも頭同士がぶつかり合い、あうぅ~あうぅ~と喘ぐ美少女。不意に前髪が上がるのだが伏儀様がガードになって目隠れのままで、ふおおおおお!
「なっ!」
「ああ!
「こ、これは女媧様の大満足も納得の大器ですぅぅぅ!」
良いリアクションだぜたぬ顔と目隠れ!
「あ、今なら通れるです~」
見事股潜りをせいこうした目隠れちゃん。伏儀様とは戦車戦しなかったが二つの神農様にはかすめていったのでビクンッてなった。いゃあ、これはバチが当たるぜいつか。
「御見逸れしやした。自分の凡暗さに恥じ入るばかりです。ぜひ、兄貴と呼ばせてくだせえ」
切れ長美少女が急に平伏した!伏儀様伏儀したままだからスゴイ!背徳感!
「公衆の面前で普通はビンビンに伏儀なんて出来ねぇ。男って生き物は心を許した相手にしか伏儀出来ねぇようになってんだ」
お、おう。そ、そうかな?文化の違いがあるのかも?
「兄貴はこの見ず知らずの女の、男に恥はかかせられない、という意地を守ってやるために敢えて伏儀してみせた。その懐の広さと胆の太さ、そして気高さに惚れ込みました」
「何てこった!完敗だ!私もアニキと呼ばせてください!」
たぬ顔美少女まで!やめて!すげぇ罪悪感が!勘違いした良い子達に平伏させてんだけど!!
「そ、そんなぁ~わたしのためにそこまでぇ~。感激ですぅ。お兄ちゃんって呼んでも良いですかぁ」
目隠れ妹が出来ちゃった!ひゃっほい!最高だぜ!
「旅人なんてとんでもない。さぞ名のある方とお見受けしやした俺は樊噲。こいつは幼なじみの盧綰と言います。俺たちを食客、いや、人足にでも何にでも使ってくだせえ」
「よろしくっすアニキ!」
はぇ?
いや、何でここにおんねん。劉邦の親友二人が。え?そういえばいねぇな性別違うからかなとか思ってたけど、ここで出会うのかよ。
「わ、わたしだって!女の意地を救われて何も返さない恩知らずじゃないです!!私も仕えます」
興奮とともにタプンと揺れる!これが韓信。国士無双は伊達じゃねぇ!
「劉邦ですぅ~。よ、よろしくねお兄ちゃん!」
はぇ?
へ、
は、
ほぇあ?
「……どうも。僕も劉邦です」
「えぇ~!?同じ名前!運命ですぅ」
目隠れちゃん、いやさ劉邦ちゃんが感激で跳び跳ねる。前髪が絶妙に揺れるもその奥は難攻不落の鉄壁で、逆にミニスカートは即落ちな砂上の楼閣だ。防備の配置おかしくない?
跳び跳ねにあわせて国士無双、ではなく将の将たる大器がタプンタプンと揺れに揺れ、正気に戻してくれた。試しに聞いてみよう。
「り、劉邦ちゃんは、あれかな?太ももにほくろが72個あったりするのかな」
「ふぇぇ!?な、何で知ってるんですかぁ…お兄ちゃんのエッチ」
あ、これあれだわ。この子が劉邦だわ。僕、多分同姓同名の別人。いや確実に別人。何で住んでるとこ違うんだよ!
「72。吉兆だな。兄貴は卜占の類いにも精通してらっしゃるんですね?」
ははは。ソウデスヨー。未来のことだいたいワカルー。
「なるほど。劉邦アニキは、この女劉邦に天命を見いだし、こうして拾い上げに来たってわけですかい」
「じゃあ、劉邦が長女、俺が次女、盧綰が三女で義姉妹の契りを交わそうかい」
「ふぇ!?そ、それは竿」
「やっぱりムッツリじゃねぇか!お前!」
三國志要素入ってる?なんでだよ。だとしたら俺含めて四人だからおかしいじゃん。
「オールフォーワンワンフォーオール!我ら生まれは違えど死するときみんな一緒だ!」
三銃士!?なぜにその要素!?それなら四人でもオッケーだけども!だとしたら僕ダルタニャンなの?やったね!わかった!これゲームか何かの世界に転生したパターンだわ!つくったやつこれ史実よく知らなくて書いただろ!もしくはわざとパロディ混ぜまくったか!面白ければ正解だもんね!勘弁して!どうする?多分知識チート出来ないぞこれ!
「えへへ。わたし、お兄ちゃんに見出だされちゃったからには、全力で頑張るね!」
お、おう。劉邦ちゃんの顔が近づいて、うっすらとその前髪の向こうからキラキラした瞳が見えた。眩しい笑顔である。
「よぉーし!天下、とったるぞぉー」
「「おおー!」」
物語の主人公かと思ったら突然の脇役判明でトホホなんだが、まあ、可愛い義理の妹が三人出来たのでやっぱり僕はラッキーですわ。義理の妹か。うっひょい!
次回、『婦人の仁?ヒップの勇?あたりまえじゃん!女の子なんだもん!』ウソ。続かない。
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