第33話 結果

「ありがとー、たすかった〜」

 齧ってるゴキブリを潰しながら、やってくるキララ。流石にその体だからといって、噛みちぎられると、どうなるかがわかったもんじゃない。ゴキブリからの緑の液体が沢山かかってる姿は、とても魔法少女とは言い難いが、そんなことはキララにとって些細なことだ。

 キララが新しく生み出したキャンディを舐めると、噛みちぎられ、肉が見えていた肌が逆再生したかのように治っていった。体についている埃や、液体も綺麗さっぱりなくなり、先程までゴキブリの群衆に飛び込んでいたとは思えない姿に。

 便利だよなぁ、こういう時。

 峨々はキララの後ろの方からの援護だったので液体しかついてない。カバンの中からタオルを取り出して拭いている。

 ゴキブリしか襲いかかってこなかったようで、キララが戦っていた虫は来ない。

「キララは何と戦っていたんだ?」

「2かいのとき?」

「そうそう、僕たちがゴキブリと戦っていた時」

 近くに階段があったはずだが。スマホのライトで周りの探索。

「しろいーくわがたさんがおそってきたの〜」

「クワガタか、後輩ちゃんに報告したか?」

「もうしてるよ〜、ほうこくしょかいてもらった〜」

 スマホを見ると親指を立てている後輩ちゃんが。仕事が早いな。

「峨々は大丈夫か?」

「大丈夫だ、問題ない。これと言った怪我をしていない」

 バックを背負いながら言うと、なんとなく頼もしく感じる(頼もしいのは事実だが)。

「不審者はどこに行ったんだ、黒宮」

「知らんわからん、消えた」

「周囲にはいなさそうだな」

 あたりを確認している峨々。文字通り綺麗さっぱりと姿が消えた名前もわからなかった野郎。最後によくわからない言葉を言って去るのはどことなく不気味でたまらない。

「後輩ちゃん、最後にあいつが言ったセリフを聞いてたか?」

「聞いてましたし、あいつとの会話は全て録音しておきました」

 優秀。

「……探すか、どうする?」

「どちらでも良いが、また黒宮の能力が使えなくなると本当に全滅の可能性がある」

 リスクを冒してまで探す必要性はないはずだ。と、峨々。

「探さなくていいと思いますよ。消えたとなるとあいつの能力が関係してくるじゃないかと思うのですが、結局はダンジョンの外に出てくるはずなので、捜索願いを出せば後々見つかるんじゃないんですかね」

 ほら、特徴的な性格でしょ。と、後輩ちゃん。

 特に話に加わらずにキャンディを食べているキララ。

 後輩ちゃんの言う通り、ここで無理に探す意味なんてないし、また僕の能力が無効化される可能性だって十分ある。確かにリスクを冒してまで探す必要はない。

「……探さなくていいか」

 と言うことで遺骨を拾い、2階に降りる階段を見つけて、そのまま3階を後にした。

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