第2話 電脳少女(22)

家に着く。まだ同居人は帰ってきてないようだ。

 テレビを付けて、米をとぐ。キャベツと、米があれば十分だろう。キャベツが足りなかったら買ってくればいいし。



 炊飯器を動かして、のんびりとテレビを見ていると、机の上に置いてあるパソコンがバチバチっと音を立てた。そのまま電気が溢れ出し、二進法で人の形を作っていく。

 僕の身長よりちょっと低いぐらいに人の形を作ると、電気が強い光を放ち、何も無い空間から全裸ぜんらの女性が現れる。

「先帰ってたんすか」

 豊満な体、特に胸が大きい。自身の裸体を隠す素振りを見せずに、平然と話しかけてくる女性。同居人の後輩ちゃんである。

「服を着ろって」

 何度も見た光景なので見慣れてるが、何度でも思う、体つきがエロい。

「そう言いながらしっかりと胸をガン見するのは流石としか言いようがないですね」

 近くにあった僕の服を肌の上から直に着ながら僕に文句を言う。

「全裸で現れるのが悪い」

「仕方ないんですって、私の能力の都合上、電脳空間から出ると服が脱げるんですよ。この能力がエッチなのが悪いんです」



 そもそも能力とは?と、疑問に思った皆さんも多いだろうから簡単な説明をしよう。

 ダンジョンが現れ、その中からはモンスターが発生したので、地球の人々は、ダンジョンに原因があると考え、原因を探るべく探索を行った。政府が探索隊を組んで、屈強なモンスター達と戦いぬき、ダンジョンの奥へと向かった。だが、奥に進むにつれ既存の銃火器が効かなくなる始末。かなり深くまで潜ったのだが、命が一番大事なので帰ってきた。原因が解明できずに帰還した

 しかし、探索をした人間。具体的にダンジョンに入った人間に不思議な力が芽生えた。不思議な能力が現れた。あるものは火を放つ能力だったり、あるものは、体を変形させる能力だったり、人によって変わり、十人十色。そう、ダンジョンに入ると能力に目覚めるのだ。

 なので【探索者】である僕の能力は強いもので、後輩ちゃんは電脳空間やら、電波やらなんやらの能力だ。

 説明終了、本編続行。



「先輩が予定より早く帰ってるってことは、もう仕事は終わったんすか?」

「今回のチームは中々優秀な人ばっかりだったからな、逆にすぐ終わったよ」

 すぐ終わった。

 まぁ追放されること前提ぜんていの仕事なのだが、追放されること前提ぜんていの仕事であっても、そう何度も追放されるのは心にくる。慣れちまったけど。

「まぁ、私は早く終わった方がいいっすけどね。こうやって先輩とイチャコラ出来ますし」

 そう言いながら、胸を背中に押し付けて抱きついてくる。なかなかいいπの感触だ。

「次の仕事が入ってるから無理だな、時間が無い」

「えぇ〜、そんな!」

「ほら、明日も早いから飯食って寝ろ」

「無慈悲っす〜」

「そして、胸を揉ませろ」

「ギャァ、変態です!!」

「嘘だ」

「安心しました〜」

 抱きついてる後輩ちゃんを引きずりながら、ほら、と机の上に置いてあるキャベツを差し出す。

 ご飯は、もうそろそろ炊ける。

「うげぇ、またキャベツじゃないですか、私もいい加減飽きてきましたよ。先輩って結構稼いでいるんですから肉買いましょうよ、肉!」

 駄々を捏ねる子供のように肉をせがむ後輩ちゃん。残念ながら肉を買うつもりはない。駄々を捏ねてる後輩ちゃんをよそに、炊飯器からピーピーと音が鳴った。

 ご飯が炊けたようだ。抱きついてる後輩を振りほどき、炊飯器へ向かう。

「うぎゃぁ、先輩が愛しの私のことを無視するっすー!先輩!肉を食わせるっす!!」

「駄目だ」

「この鬼!悪魔!サディスト!!先輩!!!」

「家から追い出すぞ」

 この一言で、後輩ちゃんは静かになる。某ゲーム風に言うと、効果は抜群だ。現状僕の家に住み着いてる後輩ちゃんは、家主である僕の命令に忠実だ。

 ご飯を2人分次ついで、テーブルの上に置く。邪魔なので、パソコンは、別のところに置く。

「ほら、いっぱい食って育つんだぞ」

「先輩ってどの立場なんすか」

「家主」

「私22歳なんですけど、これ以上どう成長するんですか」

「尻」

「先輩がセクハラをしてきたったす!逮捕!逮捕!!」

「うるせぇ露出狂」

「ぐうの音も出せないっす」

「ぐう」

「ぐうと鳴かないでください!」

 渋々といった様子でキャベツをご飯に乗せて食う後輩ちゃん。僕も、キャベツと一緒にご飯を食った。

「やっぱり肉食べましょうよ」

「駄目だ」

 ケチ、と軽く罵ってきながら黙々とご飯を食べた。

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