わがままレストラン~料理は人を幸せにする~

山岡咲美

1品目[おっきい海鮮チャーハンとおっきいエビチリ]

 ここはお客様のどのようなご注文にもこたえるレストラン[わがままレストラン]、今日も夢のメニューを求めてお客様がやってくる。



「海鮮チャーハンって出来ますか?」



 お客様の女性、七海乙姫ななみおとひめはシーフードが大好きだった。


「もちろんでございます、どのようなご注文もおうけいたします」


 [わがままレストラン]のウェイターは決して注文を断らない。


「じゃ、あの、パエリアみたいにおっきい具のカニとかホタテとかイカとかがごろごろいっぱい入ってて、でもチャーハンみたいに混ざってて、あとカニと味が喧嘩しないようにエビも入ってると嬉しいです」


 七海乙姫の注文ははっきりしていた、きっとこんなメニューが欲しいとずっと想っていただろう注文の仕方だった。


「かしこまりました」


[わがままレストラン]ウェイターは一礼するとなんの躊躇ちゅうちょもなくキッチンに注文を伝える。



***



「お待たせいたしました、[おっきい海鮮チャーハンとおっきいエビチリ]でございます」


「わあ~~おいしそう♪」


 まず七海乙姫の感じたのは溢れんばかりのカニの香りだった、そして八角形の中華な深皿にはごろごろと大きなカニやホタテやイカがチャーハンからはみ出すようにあり、皿の端にはまたごろごろと大きなエビのエビチリが添えられていた。


「いただきます♪♪」


 七海乙姫はウェイターがそれを置くやいなやウェイターの事など忘れてしまい、目の前の[おっきい海鮮チャーハンとおっきいエビチリ]に夢中になった。


「はうん、おいしい、具材が溢れててお米に味を染みだしてる、カニもホタテもイカもチャーハンにすることでとってもおいしく成ってる」


 七海乙姫はレンゲから溢れそうな大きな具のチャーハンを大きな口を開けて食べ、その味を噛み締めた。


「じゃー次はエビチリね♪」


 注文通りカニとエビの味が喧嘩しないようにエビチリとして添えられたエビは通常エビチリに使うエビより一回り大きく、でも食べやすいように半分にカットされていた。


「これもおいしい、カットされてるけど元がおっきいエビだから噛むと味が染みでてくる、甘辛いソースもいいわ……、じゃ、チャーハンと一緒に食べたらどうかしらね?」


 これが本メニューの醍醐味、おっきい海鮮チャーハンとおっきいエビチリを一緒にほおばる。



 チャーハンの味が変わった。



「ごろごろおっきい海鮮チャーハン×かける甘辛おっきいエビチリ最強すぎる~~~~~~~~~~~~~~~~~~♪♪♪♪♪♪♪♪」



***



はふん♡


「なんだか夢が叶ったようなお食事だったわ」

 七海乙姫は夢心地な顔をして満足そうにお会計を済ました。


「ありがとうございます、またのご来店お待ちしております」

 [わがままレストラン]ウェイターは深々と頭を下げる。



 ここはお客様のどのようなご注文にもこたえるレストラン[わがままレストラン]、今日も夢のメニューを求めてお客様がやってくる。

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