ダイグ王子は危機に瀕する
ダイグは魔物狩りの前線に送られ苛立っていた。
「くそくそくそ!なぜカシト兄さんは俺を罪人にした!」
前線での戦いで少しずつ死者が増えていく。
カシト兄さんは俺を殺す気か!
なぜ俺が罪人にならなければいけない!
俺は王子だ!
多少の事なら握りつぶせばよかったはずだ!
「次死ぬのは俺かもしれないんだぞ!」
ダイグは何度も剣を振り魔物を倒し、毎日毎日前線で戦った。
文句を言い、怒鳴りながら戦った。
◇
ダイグは生き残った。
ダイグは元々戦いの才能はあった。
ダイグの気質の荒さや強引さは剣士としてプラスに働く。
カシトもダイグが死ぬとは思っていない。
貴族の粛清が終わるまでダイグを前線送りにする予定だったが、カシトの粛清が終わらないのはダイグのせいでもあった。
ダイグがまともなら前線送りになる事も無かっただろうが、ダイグが前線から戻れないのは自分で蒔いた種でもある。
もっと言えばカシトはダイグに罰を与えなければ他の貴族から協力を得られないほど追い詰められ、苦肉の策としてダイグに罰を与えたが、ダイグはその事を理解していない。
「くそ!いつまで俺はこうしていればいい」
その時、周りが騒がしくなった。
「ゴブリンだ!ゴブリンの群れが襲撃を仕掛けてきた!」
周りの仲間が後退していく。
こちらの兵数の5倍以上のゴブリンが襲い掛かってくる。
ゴブリンは緑色の体の子供ほどの背丈の人と体のつくりが似た魔物である。
全員で立ち向かえば対処できたかもしれないが、すでにこちらの戦意は無く、皆逃げ始め負け戦が確定していた。
ダイグもあわてて後退するがゴブリンに追いつかれる。
「来るな雑魚どもがあああああ!!!」
ダイグは大声で威嚇し後退しつつゴブリンを斬り倒していく。
死にたくない死にたくない!
絶対に逃げる!
必死で逃げ必死で剣を振る。
ゴブリンの短剣サイズの刃がダイグを少しずつ傷つける。
手の感覚が無くなる。
息が続かない。
死の恐怖で痛みがマヒし、苦しさを感じなくなってくる。
ダイグが動けなくなり、限界を迎えた時、増援が到着する。
「ダイグ王子を救出しろ!」
だれ、だ?
俺は死ななくていいのか?
ダイグは意識を失った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます