34ページ目.尋ね人の時間
「今日は何にしようかな〜♪」
オレと
豊富なメニューを見て、三人とも何を食べるか決めあぐねている。
「ゆらっち、何にする?」
オレはこの間とは違うものが食べたい。
「じゃあオレは……、てりやきスネークバーガーで。ふわりちゃんは何にする?」
ふわりちゃんはじっとメニューを見つめている。
「わたし、決断力ないので……、先輩と同じてりやきにします」
ふわりちゃんはオレと同じものを選択した。
「じゃあ、アタシは今日はフィレオクロコダイルで♪」
阿舞野さんが食べたいものを選んだところで、カウンターに並び購入した。
比較的、店内は空いていて、4人掛けのテーブルが空いていたので、それぞれトレーを置いて座った。
オレの隣にふわりちゃんが座り、向かい側に阿舞野さんが座った。
「いただきまーす♪」
阿舞野さんが早速、笑顔でハンバーガーをパクつく。
「いただきます」
緊張気味のふわりちゃんも、もそもそと食べ始めた。
「うっま! これもマジ最高!」
阿舞野さんが感嘆の声を上げる。
「うん、てりやきも美味しい」
オレも賛同した。
メニューは変だが、ここのハンバーガーはどれも美味しい。
「ところでさ、ふわりちゃんだっけ? アタシに取材したいことって何?」
口をモグモグ動かしながら、阿舞野さんが聞く。
「あっ、はい。えっと、阿舞野さんはどんな配信をされてるんですか?」
「んー、歌にダンスにトークに、ま、そのときによりいろいろだね」
「配信やっててつらいことってなんですか?」
「やっぱりリスナーが少ないときと、反応が薄いときかな。アタシ、みんなを楽しませられてないんじゃないかなって、モチベ下がるよねー」
阿舞野さんはコーラをストローで吸った。
それから、次第にふわりちゃんは興味の方が勝ってきたのか、次々に阿舞野さんに質問をしていった。
もともと阿舞野さんは人当たりが良い為、ふわりちゃんと打ち解けるのも、時間がかからなかった。
そんな二人のやりとりを、オレはホッとしながら見ていた。
もし二人の相性が悪かったらどうしようなんてのは余計な心配だったようだ。
「そういや、ふわりちゃんってさ、前髪長いよね? 上げてみて?」
阿舞野さんが話の途中で前髪の件に切り込んできた。
「えっ、いえこれは……」
「どれどれ、ちょっと拝見」
阿舞野さんはテーブルに身を乗り出し、ふわりちゃんの額に手を当て、前髪を上げた。
「きゃっ!」
「うっわ、可愛さエグい!」
ふわりちゃんの素顔を見た阿舞野さんが驚きの声を上げる。
「そっ、そんなことないです……!」
ふわりちゃんはどぎまぎして前髪を押さえていた。
阿舞野さんはそんなふわりちゃんを見て、少し考え込むようなポーズをすると、
「そうだ! 良いこと思いついた!」
と言った。
「ふわりちゃんさ、アタシの配信に出てみない?」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます