第27話 銭洗弁天
小学生の頃、鎌倉にある「銭洗弁天」という場所へ遠足に行った。詳しく言うなれば、鎌倉へ遠足に行く中で「銭洗弁天」へと寄った感じだ。
「銭洗弁天」とは、神奈川県鎌倉市にある「銭洗弁財天本宮」の「奥宮」にある「銭洗い水」で、ザルに入れたお金を洗って金運アップを願うという「金運スポット」だ。当時、遠足ではお決まりの「おやつは500円まで」みたいな決まりがあった(今は分かりません)。しかし、今回の遠足は鎌倉までという、いつもよりも遠出だったので、おやつの「500円まで」とはまた違った、「何かの時のために、2000円持って来るように」という学校からのお願いが出た。
「銭洗弁天」では小銭ではなく「お札」を洗ってる人もいた。子供ながらに「バカじゃねぇの」と思っていた事は内緒。今はお札の方が好き。そんな事は置いといて、僕は途中で自販機で三◯矢サイダーを買った(本来はダメ。悪ぶりたかった)ので小銭の「500円玉」を洗った。特に金運アップとかやましい事を考えてたわけでもなく、ただ「小銭の中で一番高いのが500円玉だった」、それだけで「500円玉」をチョイスして洗った。
帰り、まだICカードがない時代だったので、駅で切符を買った。そこでもうお気付きだろう。小銭が「10円玉」3枚と50円玉2枚、そして「500円玉」1枚しかなかったのだ。両親に「お金の貸し借りはしない事」と教育を受けていた僕は
(どうする……この500円玉……使うべきか……でも使わないと帰れない……クソッタレ!!)
指を振るわせながら「500円玉」を摘み、投入口へ入れた。最寄りの駅へのボタンを押し、体を震わせながら、虚しくお釣りが出てくる音だけを聞いた。
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