第23話 バレンタインデー
僕は小学4年の時に、生涯に一度だけ「バレンタインチョコ」を貰ったことがある。(今はあるかは分からないですが)教室と廊下の間に中廊下というものがあった。そこに授業で必要なものや被ってきた帽子、そしてランドセルを置くのである。
バレンタインデーの日、僕のランドセル入れにケーキの箱のようなものが置いてあった。
「誰だよ、邪魔」と隣に退けてランドセルを仕舞い、友達と遊んだ。段々とクラスメイトが登校し始め、
「きょうは誰がバレンタインを貰うのか」
と発見したくしてきた学校に来たような人が増えてきた時、この箱を発見した。
「この箱はなんだ!!」
ということで、誰かが教壇に置いて、みんな輪になってそれを見つめていた。一人の男子が
「とりあえず開けてみようぜ!!」
と開けようとした瞬間、女子のとび膝蹴りがモロに入った。そして女子達が男子達からその箱から守るようにガードした。
「いってーな!」
蹴られた男の子がやり返そうとした時、とび膝蹴りを喰らわした女子だけでなく他の女子が後ろについた……それもすごい数笑
「アンタが触っていい物じゃないの!!男子達も!いい!!!!」
教室は女子達にあっという間に支配されてしまった。少しすると先生(女性の先生)が来て女子達が説明すると
「これは先生が預かっときます!」
と言って職員へ持っていってしまった。昼休み、小学生人生初のスピーカーでの呼び出し。
「四年○組の森君。四年○組の森君。至急職員室の篠○先生の所へ」
ドッジボールで遊んでいる時ではしゃぎまくっていたテンションが地に落ちた。
(何か悪い事したかな?なんだろう、怖い……)
恐る恐る職員室にいる篠○先生のところへ行った。すると先程の箱を渡された。
「開けてみて」
そう言われたので開けると、そこには手作りとわかる星形やハート型のチョコレートが入っており、周りには鳥の巣みたいな感じで細長い紙でクッションが造られていて凝っていた。篠○先生は
「手紙も入ってて勝手に読ませてもらったけど、誰が森君に渡したのか、最初に『Yより』というキーワード以外は分からなかった。けど最後見てみて。森〇〇○君へって。だから間違いなく君に送った物なんだよ。本当は食べ物系はダメだけど今日だけ特別。帰りにまた職員室に来な」
僕はそう言われてドッジボールへと戻っていった。もちろん集中できる訳がない。
帰り、誰にもみられないように素早く職員室に寄りランドセルの中に入れた。家の中でお母さんにこのことを伝えるとなんだかニヤついていた。
誰がくれたか分からないが、とにかく人生で初めてのバレンタインだ!じっくり味わいたいから
「手洗いうがいトイレを済ませてくる」
と普段は適当に済ませることも丁寧にやった。
そして全てを終わり、いざバレンタインチョコを……………ってない!!!何故だ!?
ソファーで寝っ転がってる兄の口がモグモグ動いている。まさか……
「おい、何喰っとる!」
「ん?あぁ、チョコレートが置いてあったから食べた。まあまあだな。俺はホワイトチョコの方が良かった」
こうして僕は「バレンタインチョコ」を貰った事はあるが、「バレンタインチョコ」を食べたことがないのである。
チクショぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます