幕章
会いたくて
目の前のパソコンから映し出される画面を見つめるのは私こと四ノ宮真冬。
小学校の新学期、景は突然、私の前から消えてしまった。その理由は、私は知らない。知りたくても、どうすればいいのか分からないまま、高校生になりネットである記事を見つけた。
それは、政府が更新している地下街で死んだ者のリスト。
昔、景が地下街に行ってみたい。そう言っていたのを今になって思い出し調べてみた。
そこで目にしたのは……。
「景……」
嘘よね……。
嘘だって言ってっ……。
ねえ、景……!
「そ、そんなことっ……」
頭の中が真っ白になる。思考が停止してしまいそうに。
見たものを受け入れられず、呼吸が荒くなっていく。ずっと、会いたくて。でも、会えなくて。それでも、いつかきっと会えると信じて……。
「なのに……」
どうしてっ……! どういうことよ! 景!
好きで、大好きで……。ずっとそばにいたくて、約束だってしたのに……。
視界が歪む。頬を伝う涙。声を押し殺して、私は泣き続けた。もう、この世にはいない私の愛おしい景。
景の両親の名前、東三番街の大樹がある場所で心中を図った家族。
名前、性別、年齢、そして死因は屍人に喰われたことが死亡者リストにて発表されていた。
――それから、三年後の今。
私は親に内緒で通行パスを取り、景が死んだあの場所へ。
でも、通行パスの存在をしった両親と、そこで初めて話した。景が亡くなった東三番街へ行くと。両親は、そんな私を止めようと反対。
私は、諦めることも断念することもせず口喧嘩に。結果、親子関係は最悪。それでも、向かうと決めた以上、私は行くわ。
親不孝者だとしても、景がもういない世界でただ一人生きていくなんて無理。景に依存していることも、歪んだ感情を持って向けていることも分かってる。
そして、バカで愚かな選択を私は選んだ。景が死んだあの場所で、私も死にたいという選択を。
明日、地下街へ行くと決めた。
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