中編2



「これは、ローラ(私の名前)が家を捨てても仕方がないわ」


と、皆々様が納得してました。


でもね、別に家を捨てた訳では無いのですが……。

もしかして、長期休暇でも実家に帰らずに寮生活を送っていたせいでしょうか?

要らぬ誤解を与えてしまいましたが、訂正するもの面倒です。もうそれでいいのかも?とも思ってもいるのです。私は空気が読める人間なので。


女子生徒の情報網というのはバカに出来ません。

あっという間に、学年、クラスを問わずにローズマリーの所業は知れ渡ったのです。

まあ、あれだけの事をして問題にならないはずありませんしね。


そして何気に憐れまれ、同情される私。




あれ義妹と一緒に暮らしていた時は、さぞかし大変だった事でしょう」


何故か、Aクラスの侯爵令嬢から言われました。

相手は高位貴族。

幾ら同じクラスといえども、おいそれと話す事など出来ない雲の上のお人でした。

あまりにも目に余るローズマリーの態度に対して、私へ同情が寄せられた模様。



「少し話す機会がありましたけど、あれは酷かったですわ。数分でも耐えられません。なんですか?あの子。何でも自分、自分と主張なさって。自己中心的というか、自己愛が高いと言いますか……おかしな人と家族になってしまったローラ嬢に同情いたしますわ。もし、親と縁切りを考えていらっしゃるようなら、私、協力致しますわよ」


今度は伯爵令嬢から同情と共感と理解を得ました。と、言うか話す機会とは?クラスも学年も違いますし、身分違いもいいところ。クラスメイトの私ですら伯爵令嬢と会話するのはこれが初めてなのですが……。

不思議に思っているのが顔にも出ていたのでしょう。

伯爵令嬢は丁寧に教えてくれました。


なんでも、伯爵令嬢にはBクラスに婚約者がいるらしく、その婚約者がお茶会にローズマリーを勝手に連れて来たというのです。招待もしていない女子生徒が、何故か自分の婚約者と親密な間柄のようで。不審に思った伯爵令嬢が探りを入れてみたら、まあ、酷い事といったら。生粋の御令嬢には理解しがたい存在だったようです。


「何故、彼女を私たちが気遣わなくてはならないのかしら?招待客でもありませんのに。それを婚約者にも伝えましたが……理解してくださらなかったわ。婚約者も貴族の子息だといいますのに……いつの間にか愚かな考え方をするようになってしまわれて。

ローズマリー嬢は終始、御自分の事ばかり話されて、会話らしい会話が成立しませんでした。

優先順位がまず御自分、といった態度を崩す事がありませんでした。最後には訳の分からない主張をなさって出て行かれましたわ。彼女、『お茶会』の意味を理解なさっていないのではないかしら?ローズマリー嬢の場合、男爵令嬢でもあるのでしょう?淑女教育はどうなさっているのかしら?とてもではありませんが、まともな教育を施されていないように感じましたわ。貴族令嬢としての当たり前の事が何一つ知らないなど考えられません。下位貴族といえども感情のコントロールが全く出来ていませんでしたわ。平民出身でもあそこまで素を出しているなど珍しいのではないかしら?ローズマリー嬢の性分では我慢が出来ないようでしたし……もしかして気狂いのやまいなのではありませんか?」


……行動力が家にいた頃よりもパワーアップしているようです。

まあ、あの両親と一緒にいたのでは無理ないかもしれません。

本物の淑女から見ても、やはり義妹は狂っているように見えるのかと、悩んでしまいました。

私の気のせいではないようです。

一度、精神鑑定にかけるべきでしょうか?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る