第18話 知らぬが兵士
ヘリウズは頭を抱えていた
王妃様との関係は聞いた、魔王が抱えていた罪についても聞いた
今日ほど見張りと言う仕事に気合いが入った日は無い
城の皆が祝福の言葉を口々に言っていたが、王妃はあまり嬉しそうにしていない
「……大丈夫、俺が守りますから」
「うん」
「ものすごく失礼だけど質問するぜ?あんた、好きな人とくっつけるのに浮かない顔だな」
「好きなのは確か」
「なら何でそんな暗いんだよ?」
「せめて、妾になりたかった」
クローンは価値観が違う、旧世界の人物かこの世界で産まれたかでも大きく違う
状況は聞いたのだが自分からすれば好き者同士でくっついてバンザイにしか見えない
城の連中もそうだと思って祝福している
「結婚を断れば良かっただろう?」
「街中で人が大勢いる中、妻にするって言われたんだ」
「それスゲェ断り辛いのは分かるけども!」
人が大勢いる中で、それも相手は王族では自分でも言いよどむかもしれない
「すぐに否定出来れば良かったかもしれない、だけど毒を喰らってしまって……気絶しなければ、こんな事させずに済んだのに」
「嫌な思いをさせたとでも?魔王はお前の事溺愛してるんだろ?いいじゃねぇか」
「ヘリウズさん、僕の事抱ける?」
何てこと聞くんだと眉毛をこれでもかと困惑の表情に動かした
「出来る訳ないだろ、アンタ王妃だぞ!?妾でさえ手をだすのは渋るのに」
「魔王様って呼ばれたのはさ、色んな国でその強さをしめしていたからなんでしょう?」
「ああ強いぞ、どんな国でも問題があればその足で向かって解決していった、だからこうして支持を集めて国を造れたんだ」
凄いとも言わずに王妃は渋い顔
「一体何が不満なんだよ?」
「隣国で最短、何日だっけ?」
「五日もあればつくぞ」
「遠い国でも駆けつけていたんだよね?」
「ここからだとたどり着くまで20日はかかる国もあるぜ!だとしても行っちまうのがアイツの凄い所で……」
「僕は14日、抱かれなければ死ぬ」
「あーその、そんくらい魔王はしてくれ……14日?」
ようやくヘリウズにも問題が見えて来た
「ただの妾ならその間だって誰かに抱かれていればよかった」
「一緒に旅するとか……」
「1358を信じてくれるなら、僕も信じてくれる?」
「当然だろ」
「初めて抱かれた夜に知った、彼は―――――僕を抱いたあと、しばらく魔法が使えないから」
「マジで!?」
「皆そうなんでしょう?どうして驚いてるの?」
その指摘は最もだ、魔法使いなら多分皆そうなのだろう
「俺は魔族だけど、魔法が使えないんだ」
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