強盗の対応は警察に行け⑧

 どれだけの時間、殴り合いでもしてきたのか。時間をかけて破滅をさせていくだけのこと。対象をだ。そうやってでも、そこまでもやれることがあると信じているのなら、例えば虐殺に遭ってしまうのはどれだけ苦労をしてしまうことなのか。

 苦労では済まない。それは虐殺と呼ぶのだ。激痛が走るところから、必死になってでも生き延びてでも、それを探し続けていくだけのこと。死なないようにと続けていけば、どうせここから立ってでもいられると感じるそれ。

「終幕なんていうのは誰かも考慮せずに火力でぶっパしてくるような怪物だとしてもだが」

 それがどうした。世界が爆発でもして一瞬で火砲で焼き焦げてしまうことなのなんて誰も望むはずもないというのに。砕かれてしまっていても、遠くにまで存在とするべきことだと信じていくしかない。

 誰かしらを相手にしてでも、世界の終焉というのが破滅と同義だとしても気に入らない。どうせ、ここから手に入れられるようにと我々の探すべき希望の命を手元からグラグラと手元から失われてしまおうとする。

 そんな奴でも、命の危険を相手にしてしまえばどれだけの責任を感じてしまっているのか。物騒この上ない。

 こんな真っ暗な暗がりにて剣を突き込んでいくような通り魔を相手にしてしまえば戦闘員でもない自分としては何ができるのか。知ったことではない。

 どうせこの首を狙いすましてくるようなニンゲンなんて明らかに猟奇殺人でもしている奴でしかない。自分がやってきたことを思い出してしまえば他人の事は言えたもんでもないが。

 逃げるわけにもいかない。というか逃げられない。今現在暗い街中を逃げ惑っている最中ではあるのだが、それでしっかりと追いかけてきているのだ。こちらを見失うことがなく回り込んでくることも多いのですが。

 長いバーベルでも振り回してくるのであれば逃げ惑っていくしかない。いくらこちらは非道な実験を片隅で行うような奴だとしても所詮はただの人間である。頭蓋を割られてしまえば非常に辛いのですよ。………………いや、普通にぐじゃりと鳴って潰れますね。

「なんでこんな逃げ惑うようなことをしなければッ」

「それは多分きっと君が悪いんだよ。明確にでも正しくここにいることも当然ながら………………脆弱なそれだよ。本当に君らみたいな踊らされる間抜けの処理をボランティアでもやっているだけ社会貢献だと誰もが感謝して欲しいよねぇ。ただそんな風にでも感謝も求めるような性格でもないのは僕だって自己分析は出来ていますからさぁ」

 そして振るわれてくる一撃。剣閃であるのか。腕を差し出してでも全力で防いでいこうとしたが咄嗟にでもその腕というのは出てこなかっただけまだ怖いという感情があるのか。感情というのは、この時代にしてこの行動をしている理由にもなるのかな。

 そこで飛んできた斬撃の一つは気安く防がれてしまった。たった一枚の大楯によるものでだ。

「ッ⁉あぁそういう――どこのラインなのか。大魔神帝の方か、それともどこか何とかグレムリンとかいう秘密結社からの方なのかなぁ」


 あぁ、ガイアールにとってはどちらでもいい。どちらでも。そんな情報などそもそもとして完全にでも一切確保なんていていられるわけもない。色々と遺跡探索でもしていれば危険な組織ともかち合う場合というも散々にある。

 そのために今現在に至るまでの尖塔の経験というのを多くしていたわけなんだ。

 遠すぎる。剣を振り回していれば、もう一度大きく振りかぶってしまえば、こんな大楯など砕いてしまうことなど容易いことだ。それが可能だとされてくれたらの話ではあるが。

 何せ普通に相手が中ててこないということを選ばれてしまえばどう足搔いても砕ける気がしない。だが、突破が難しいのであれば圧力で以て全力でねじ伏せるしかないのか。

 ここまでの時間をかけてでも気になることは多すぎる。

(大魔神帝ボルソナロフスとかいう奴を直接なんて眺めていたことは、いいや精々が近づいてきただけのこと。それでも圧力で気の遠くなることばかりなんだが)

 それに………………また別の組織とそこで祀られている怪物というのが僕の記憶が正しければディメンショングレムリンとかいう………………いいやそれはデフォルトとして強く知られている一つか。様々な属性に変化するとかなんとか噂程度に聴くのが精々なので詳しくは知らないのだが。

 だが、今のガイアールにとってはそれがなんだとなるわけだ。こいつらをしてどうにか目の前の相手をして倒していくしかない。限界値でも求めて覆面野郎でもして強すぎること。唐突にでも現れてきた野郎で既に強すぎるのが非常に面倒だ。

 ただシンプルに剣技で圧倒し続けるのも問題が生じてしまいそうになる。ようやく戻ってきた最恐の剣でも使っていけばいいと手を伸ばしそうになる。だがダメだ。

 どうにか心でその熱情を抑え込んでいく。このなまくら一本で相手するのもいいが難しい。それはそれとして自分の主力としている剣を使ってしまうのは、それまた危険であるのだ。差がありすぎる。強すぎる警戒をさせてしまうのは違う。

 取り敢えずはなまくらな一本の剣で強い業を繰り広げていくだけのこと。大真面目にでも勝てる技術をしていくしかない。

(キリがないッって)

 だが………………、それはそれとしてこの黒ずくめの野郎が振り上げていく剣が強すぎるのだが。なんですかこいつは。いきなり現れてきたかと思えば、大楯を空にまでぶん投げて腰に凪いでいた剣で争ってくるのだが。

 強く火力をして相手をしなければいけない時点で貧弱なこの身体であれば、手が痺れてしまって困るというもんだよ。まぁ前世の事を思い出せば大体同じくらいのことなので慣れているのだが。それでもどちらも大きくない背丈からして想像もつかないような頑強さを誇ってはいるのだ。だが勝てる気がしてならない。

「そっちがねぇ‼」

 拳を握ってでもこのふざけた野郎に叩きつけていくだけ。そこまでしなければいけないだけの価値がある。

 パシッとでもその拳が掌で受け止められてしまうのが気になる。なんでここまで重たいのか。

『加減もなく、そちらが仕事をしてくれないことを望んではいる。んだよ。そこまでしなければ、迷惑なんだよなぁさぁ』

 何だろうかこの不気味な強さは。この野郎を倒すだけの強さは充分にあるが、それを出し惜しみするだけの勘は働いているのだ。

 そして闘気を纏った剣閃が横薙ぎにも飛んでくる。

「チョッ⁉」

 それを剣一本で受け止められただけ奇跡に近いのか。そして逃げられてしまったらしい。既にこの場所には彼らの姿など存在していなかった。

「………………そうなるわけもないのが僕の強さですから」

 雷撃をしてその飛行をする怪人を叩き落としてしまう。その落下地点というのは正確に把握している。その落下地点にでも到着してしまえば既に焼き焦げている薬局襲撃の犯人がそこにいた。

「悪いね。名前も知らない相手を殺してしまうのはつまらないのだけど。この怪物をしてここまで手間を掛けさせてくれただけ褒めてあげてもいいよね」

 剣でも振り回してこの野郎を殺害してしまおうとしたのだが。残念ながらこの野郎は息をしなくなってしまったのだ。これはただのご臨終である。

「あぁお笑い種だ」

 これは不味い。死者と正者が平和な現代日本の街中で顔を突き合わせているのはどういう意味となるのか。それはつまり、死んでいれば誰かが殺したと受け取られてしまって、そこに死者に当てて血の付いた剣があるとする。それは普通に正者がそこにある死者をそういう風にしたとなるのだろう。

 ここまで気づいてしまえば怖くなる。なので逃げ出すべきか。だがそれも危険なんだ。現場から逃げればどうなるか。ただ犯人扱いされて終わりなんだ。だというのにガイアールはそれをしてしまったのだ。

 目撃者もしっかりいたらしいことに気づかずに。誰が気づいてくれたかも知れないのにしっかりと周囲の把握に努めていなかっただけガイアールが間抜けなだけ。

「あぁ大変なことになったなぁ」

 この場所にでも現れてしまえば一安心もする。自分の隠れ家に引っ込むことが出来るというのなら嬉しい限りなんだが。やれる時にはやるしかないという熱意があり、それを出し惜しみしないようにする。それが僕が僕としている目的なんだが。

(快楽殺人者でもないつもりなんだが。僕は精々辻斬りくらいのっッと、それは大した差でもないか)

 どれだけの時間をかけてでも、僕は見落としてはいけない事件をしっかりと見つけなければいけない。その事件というのがどこにあるのかさえも。

(………………だったら僕も独自に動いて調査でもするしかないのか。会社がそこまで熱心に動いてくれる様子もない。であれば僕が、いつも通りにでもするしかないのか。………………いつも通りに大虐殺の計画でも練ってそれのしっかり妨害に対して構えていくような準備をだ)


 あぁ風が吹く。ベランダに出れば風が吹くのは当然のことだ。ティアマット・グレイドだってそれはわかっているのだ。この春のそよ風が心地いいとは思うよ。

 色々と頼れることが少ない。別に頼るというよりはこちらが頼って欲しいと勝手に思ってしまっているだけなんだが。

「それでもあたしだって同僚が頑張って働いているっていうのに何もしていないのはなんか違う気がして」

「どうしたんだ?またバイトでの悩みか。だったら聴くぞ」

 隣から声がかかってきたかと思えばそれはよく聴き馴染んだ声であった。隣に住んでいる時谷等介からの声か。

「別にあたしはそこまで悩んでなんていないわよ。どうせ世界の滅亡なんてされてしまってもあたしに近い人たちが無事であれば充分に納得する。それこそあたしは人間らしく平和に過ごせればいい」

 強盗殺人なんて何度も起こされてしまえば最近物騒なことだと感じる。それこそあたしとか父さんとか善知鳥さんとかみたいな馬鹿みたいな強さを持っている人たちしか生き延びていけない。そんな殺伐とした世紀末世界というのが近くなっているような。

「んな馬鹿なことがあるわけないだろ」

「あたしとしてはこれで生き延びられるだけの自信があっても、アンタまで守っていけるだけで精一杯になってしまうだけの危険がたくさんあるから」

 時谷等介からは変なことを聞こえてくるが、それに付き纏っているだけの体力的な余裕がある自信なんてそれこそない。自分がやれることの多くをして。

「どうせ俺らは一般人だ。特に何かできるわけでもない。そっちは喫茶店の看板娘でしかないのも変わらない」

「………………ぁッ」

(不味い。なんか何もWORLDのことを聴かせたはずなのになんか忘れている感じで対応されているんですけど。あれ、もしかして聴いていなかったんですか。それとも本当に忘れているだけ………………なんかどっちでもおかしい気がしてるんですが)

 この楽園の巣にはいろんな人たちが来る。それこそどんな人たちでも驚いている間など与えてなんてくれないほどに。なのであたしは疲れてしまってまともに聴く気なんて失せてしまった。それで現在となっては………………あたしは姉を失っただけのただのどこにでもいる少女にしか過ぎない。

「どーしたんだよ。そんな涙流して。そんな悲しいことでもあったのか」

「べーつに。あたしだって唐突に泣いたりもしますから」

「いやそれの方が不安になるんだがよぉ」


 どうせ俺には平和な日常を守っていくことぐらいしかない。この時々戦地にも歩いてしまうような少女とか、近くの街とか学校が守れるだけであればそれでいい。

 ただのまつろわぬ兵でしかない。それこそ、俺のあるべきことをすれば、今に至るのか。どうせ………………俺は、あぁそうか。忘れていたよ。

「だいたい俺って巻き込まれ役じゃんかよ」

 ふと、隣を振り向いてしまえばそこには、ベランダには既にティアマット・グレイドの姿はなかった。驚いた。もう寒くなってしまったのか。

「まぁそうだよな。いくら何でもずっと外になんて寒くあぁ寒いわこれ」

 時谷等介は自分の部屋にまで戻っていくが、それでも寒いことは変わらない。

 何だろうなこれは。冷たく温かい春の陽気だ。暖かい、もう桜が散っていておかしくはない。これこそ美しいと感じる頃合いか。

「………………これから平穏無事に過ごせるといいなぁ」

 とりあえず誰にも心配を掛けないようにしなければ。こっそりにでも危険な目に遭いませんように。命が脅かされることがないように。主に俺のを。いや、多分自分よりも他の誰かがとなれば駆けつけていくことなんてしている。それこそいつものことなのが………………人のいいことだよ。自画自賛で。


 どうせここから何度も強盗が続く予感はしている。それも殺人込みで。

 書類仕事をしていれば、どうしてもそんなことを思ってしまう。だがそれで美しい景色というのが見えてくる。

「あぁ私も遂に幻覚というのが見えてきたのか。早めに寝た方がいいな」

 綾川あやかわ陽亞はるあは真剣に今抱えている事件と向き合っている。だがそれでも、到底解決する目星は立たない。せめて手がかりさえあればとは思ったのだがそれも見つかる兆しはない。だったら、多分助力を頼むべきなんだろう。

 いくら忙しいとかいっても情報の共有がなされていないのであれば不安にもなるはずだ。どうせ欲しければ取っていきそうなところがこの付き合いの危うい部分ではあるのだが。

藹堵あいどはいろう變禪へんぜんをあそこに向かわせたのは危険だと思ったが誰かがやらなければならないのも事実。だとすれば自分でなくて同僚に任せる場合には他にいない」

 別に他が信頼できないというわけでもない。だが、色々なことを考慮したうえでの主観での判断だ。遅れてくるような奴には普通の仕事なんて残っていないことを思い知らせただけ。特におかしなことはない。

「それにしてもコンビニとか銀行を相手にした強盗の後に薬局とかアパートでしっかりと殺人とか模倣犯とか憧れて自分の色を出してみましたとかそういうのではなさそうな。どちらかといえばやっぱりマニュアルがあってそれをなぞっているような。だがそんなマニュアルが出回っているのならもっと多くの頻度で行われてもいいはずだと思われる。だとすると、これも何かしらの意思によるものだというのか」

 どれもこれも犯人捕まえて前後横上下を洗いざらい吐かせるしかない。だが犯人一人を捕まえてみても放心状態。

 というか、ついさっきも変死体が見つかったとかというので通報があった。それが雷に打たれた様子で詳細は司法解剖の結果を待つことになるが恐らくその通りのことだろう。雷撃に打たれてしまって全身炭になっていないだけましか。

 後で自分も現場に行かなければいかないか当然ながら。これはただの自己満足にしか過ぎないかも知れないが。

「私にだってやりたいことはある。ただそれがこれだというだけだ」

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