誰が無念の帰還を望んだか⑥
どうせこの部屋だって後で片付けてしまうのだろう。そういうのは既に自分で大体のことは決めている………………なんてはずもない。それこそ好き勝手にでもしてしまえばいいだけのことであるのだが、それだけの余裕などあるはずなどない。
これは気分の問題なのだろう。どうせやれることなど限られている。彼はかなり趣味の多いことだったが。それのおかげでかなり荷物があるのだが。これらの処理をどうしようかと頭を悩ませるのが自分たちの役割だということだ。達成できるものならやってしまえということ。
だがそういう問題でもないのだ。世界にはどれだけの世界が広がっていて、それにまで参加していくのはどこまでの実力が要求されてしまうのか。それの想像などというのをしていけば………………その作業量にでも憂鬱になってしまう。そもそもとしてのことを考えればどうしようもなく消し飛んでしまう気もしてくる。
とりあえずは後のことは考えずに直近の仕事でも片付けていくことをしようか。そうでなければ命をすり減らしてしまう危険が多いにある。ストレスで死に絶えましたなんていう冗談は聞きたくもない。
そしてとりあえずはやってきたのが静かなスタジオ。その外である。そうでなければいけない理由もないが、どうせ他に誰もいないわけであって。だがそれでもここでなければ迷惑にでもなってしまう。静かなのが大体ここら辺にでもなるわけなのだから自覚すれば奮闘もすることか。
どうせここでやることなどパソコンでも立ち上げてモニター画面眺めてカタカタとかしてキーボード叩いていくぐらいしかない。他にやれることなども思いつきはしないもんだ。そこまで狭い気もしないが、外となればそれは当然ながら廊下である。
身が引き締まるとかいってもここでやることではないと自分も思う。だがそれでも落ち着いて仕事ができる場所など他に思いつかなかったからこそだ。
こうやってでも必死こいて少しでも仕事を減らしていかなければ、堪った分を更に越えて積もっていくのみである。そしてオルトス・ダイアモンドが黙々と画面上にて行える作業をしていたところにやってきたフェイクであったか。
「あの、空いてますか」
「空いてますよ。音響室だろうと何だろうと。こんな世も更けようとする中で熱心なことですがこの時間帯にとなりますと徹夜でもするつもりですか。それは成長を阻害して老化を促進するだけですから」
「それはかなり暴論なんじゃあ」
「………………言葉の綾ですよ」
そしてフェイクは音響室に入っていこうとした。その前にて振り向いてしまえばそこでは襟元を掴まれて情けなくも引きずられるオルトス・ダイアモンドの姿があったのだが。更にいえばそれを実行していたのは
「え、なんで」
「静かなところで作業がしたいなぁって思ったらちょうど同じことしているヒトを見つけたからそのまま一緒にと思って」
「いやそれでも何でですかそれは」
なされるがまま、意に介さず作業を続けているオルトス・ダイアモンドには軽く引いてしまうのだが。
「えっと、それでその作業っていうのは」
「溜まっていたメールのチェックだったり。少し予定が空いていたからと無茶なことをしたけれど、それでも数日分のが溜まっていたりするから。早めにでも確認しておかないと叱られてしまいそうになるからかなり怖いのよ」
そこですぐさまパソコンを立ち上げてこの数日に来ていたメールの確認をしていた様子がうかがえる。
「………………でもそれって携帯でもできるのでは」
「これはヒトの趣味に入るんじゃないかしら。あたしはいつもだったら携帯で済ませてしまうのだけれど、流石に量が多いとね」
ちなみにいうと
帰ってきたばかりでどうにも気分が昂ってしまう。では起きていて部屋で何をしようかと思えばそれはかなり困ったことだ。テレビでもつけてみたがこの時間帯ではちょうど好みとは噛み合ってくれない。それで窓を開けようとか思ったが流石にそれはやめておいた。思わず風にでも吹かれてしまうのはお笑い種にもならない。
なので自分のやれることを、声の調整にでもしようと思う。それでこの部屋を出ていって下層にまで降りていくことを選択する。そして音響室にまでやってきたらなんとまぁオルトス・ダイアモンドがそこでパソコン開いて仕事していたのだが。
「な、どうしてそんな」
「ただ仕事をためていただけです。メールの確認くらいはすぐに終わってくれたのは嬉しく自分を褒めたい限りですが情けないことに自分がいない間の自分しかやれない仕事が滞っていたのが非常に心苦しくも申し訳ない気持ちで一杯で。冷や汗でも掻いて必死にならなければ終わってくれず、明日から関係各所にでも頭を下げにいく所存でありますよ」
「ちなみにその仕事の期限っていうのは」
「自分が期限を過ぎているから叱られるなんてことをすると思いますか。当然どうせ相手も無理だろうと思うような期限を自信たっぷりに提示してそれでしっかり過ぎてますよ」
「馬鹿ですよねそれって。流石にそんなことはしませんよね」
「こんなこともあろうかともしもの場合は
それでぞろぞろとToodの皆がこの音響室にして集まってきている。何でか聞いてみたら全員が同じ理由だったのでそれはもう怖くなった。なんで私までその同じ理由というので来たことになるのか。
「いくらなんでもレッスンスタジオがどこにあるか忘れて迷ってしまったからって流石に音響室での練習にしようとはならないと思うのだけれど。それはなんというか」
「いや見取り図があるからそれでも見て確認すればいいのだけれど横着してこっちに来てしまっただけ。この疲れている中でレオタードに着替えるのもどうかと思ってもしまったから」
「まぁそれはそうだけど、というかそこまで気合入った練習を遠出してから帰ってきてすぐにしようというのがかなりおかしいって。自主練習なら艦の中でもやっていたのを忘れているでしょ絶対」
そこで後ろからやってきた
そしてそのパソコンを立ち上がて作業を始めていく。
「あれ?本当にここで始めてくるなんてかなり落ち着きがないなんて」
しばらくしてみればすぐにでも終わったのか立ち上がっていった
それで本当にToddの全員が音響にまで入っていってしまえば気づかされてしまうことがある。
「………………狭いだろうなぁ。非常に申し訳ないのだが。そうでも、この皆だってもこれ以上を求めることは過ぎた贅沢であると………………そもそもここにこんなもんが立ち上がっている時点でかなりおかしいのだが」
そんなことを考えながらもオルトス・ダイアモンドだってやるべきことは一応済んだことになる。ある程度の余裕はあれどこれ以上は急ぎではない。精々がちゃちなパソコンに反応速度でも求めてしまう時点でかなりおかしいか。なのでこれから行うべきことなど、どうせ暇つぶしだ。こんなつまらないことが役になど立ってくれないことを祈って。
「あぁ、プルート・オルコットがいないとこれだけ静かなんですね」
いや、彼だってそこまでうるさくはしてやれない。派手なことがあろうとも騒がないようにと空気を読んでいくだけのことはしているけれど。
そしてひと段落すればパソコンを閉じてしまう。そこから一応はちゃんとやっているか確認でもしようかと音響室に入る決断をした。
そこで行われたのは、騒がしい若い女性の集まりであった。酒など入っていないというのにこうなるのか。
「………………お願いですから早くに寝てしまってください」
オルトス・ダイアモンドがそう告げてしまってこの場は解散となった。何気に大真面目な練習にでもなっていたのが一番に恐ろしいと思うべき点だろうか。
どうせオスの蜜蜂から襲撃を受けてしまうだけの機会など滅多にないことだろう。
対処に困るのはこういうことか。集団を相手にするのは面制圧でも圧倒が一番なのだろうが。そうでもないのか。そもそもとして多くの敵を相手にするのはそれこそ滅多になく苦労をする。
「それなどまさか屋敷にまで帰る前に振り切れることを祈るばかりだ」
まさか宇宙からどこかの衛星にまで落下というのをしてしまう。悲しいことに一人だけでだ。他全員の帰還などは達成されていることを祈る。無事で済むか不安で自分のエネルギーをかなりの割合まで消費して送りだしたというのに。
これで今に至るまでの事象を思い出せば、バタバタとうるさい音を響かせているだけに思えるのだが。オスの蜜蜂をマジで軍用ヘリみたいな動きと音を聴かせられてしまってのが気持ち悪い。生理的に受け付けない。単体ならどうにかなるが、これだけ集まっていれば危険な印象を人間に与えるのかと感心する。自分にもまだ人間らしい情緒が他にもあったのだというのをだ。
杖剣ヴェルナントでも振り回して炎槍を放っていたりもするのだが、ただ一切尽きてくれる気配もなく湧きだしてくる。
「ここまでの攻撃性を見せてくれているのなら喋ってくれてもいいだろうにッ‼」
どれだけ叫んでいても数多くの襲われてしまっていることには変わらない。
そしてこの風雷神龍のド頭でも狙って攻撃を仕掛けていこうとしていた。それのための対応として一気に炎槍を展開していって放つことをする。この一発でどうにか破砕を完了されてしまえば、すぐさま散っていってしまう。
「あっという間に終わってくれたかと思うが」
そこで飛んでくるのがミサゴみたいな姿を群体でしてきたオスの蜜蜂なんだが。そこで更に強くも襲撃というのも仕掛けてこられてしまえば対処に非常にでも困ってしまう。
『ひゃらひゃラひゃらひゃラひゃらひゃラひゃらひゃラひゃらひゃラひゃらひゃラひゃらひゃラひゃらひゃラひゃらひゃラひゃらひゃラひゃらひゃラひゃらひゃラひゃらひゃラひゃらひゃラひゃらひゃラひゃらひゃラひゃらひゃラひゃらひゃラひゃらひゃラひゃらひゃラッ‼』
どうしてここまでの騒ぎを、悲鳴を羽音というのを響かせてくれるのか。夢ばかり見ているからこその事象か。普通に火をつけてしまっている時点でかなりの摩擦を出しているわけか。
「なんでそうもなるのかよぉ‼」
必死こいて叫んでもいるが、それで解決するのならいくらでも叫んである。そうならないからこその戦いだ。戦闘だ。単独でのそれだ。一人残されてただ視界に映る怪物を粉砕し続けていれば精神だっておかしくもなる。
「ふざけていられたらこっちだっても堪忍袋の緒が切れるということだというのに」
火力でねじ伏せてしまおうとする努力は見習ってほしい。突破できるのであればだが。
これで実際なんとか一通り片付いてしまえば息を切らしてしまうだけ。終わってしまえばあっけないことだという感想が浮かぶ。これで浮かぶのはただ一つ。
「………………帰るか」
そして風雷神龍は屋敷にまで戻っていくことを決めた。生身でだ。自分の旗艦とするべき艦を今回持ち出していない以上は………………あのボート一台が破壊されてしまった結果として帰還方法を失っている………………マシンでのだが。
別に自分の努力で達成は出来るからいいんだ。実際彼女たちだってそうやって送ることをしたのだから。だがそれでも他者を送るのと自分が転移をするのではまた違うストレスがかかるのだが。まぁそれは門でも開けてしまえば変わらないということで一つだ。
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