帰路というのは………………⑥

 壊すと対象を定めたのであれば一撃で仕留めていけ。そうでなければ危険をぶち破っていくことでもその覚悟が要求されることだとなるから。

 いくらでもその防御を突破できると思っているはずもない。その勢力の強さでも図りながらどうにでも全て焼き払ってしまうこと、それを望むだけである。

 遠くもその怪物というのを殺戮に血祭にでも上げてしまうことで目的のための手段となるのであれば、それを示されたらしないという選択肢なんてあるはずもない。

 神にでも近い存在だが、それは通常時ではとても脆弱であるというのを聞いたことがある。だが、だとしてもそれまでの防護の突破というのをしてでも今回の目標というのを達成せねばならないこと。

「だが首に掛けた刃物をそのままに振り下ろしていかない時点で仕事人としての決意など出来てないのは明白だ」

「………………………………」

 だがそこでバッサリと切断されてしまった片腕。それがすぐさま繋がってくれたのなら、それはただの人間が起こす様ではないと誰もが理解できることだろう。

「そうでもしなければここにあるあの女の身柄でも手に入らないだろうからな」

「………………………………………………」

(よく喋る奴。こちらはそこまで寂しくないから迷惑だ。闘う相手にでも自分の寂しさというのを埋めて貰おうとするな)

 ゴリアテ・サンドロニアとしては目の前にへと、このだだっ広い広場にへと現れてきた謎にローブの男を相手にしている。周辺から民間人と呼べる者達を排除してまでだ。

 隊長から居残りくらった時には何故だろうかとかも考えたが、まさかこういう事態を想定しただとは。話でも聞く限り向こうでの戦闘は終わったらしいが、であればこいつはいきなり脈絡もなく現れてきた謎の人物であるということになるが。

「だがまぁあれを素直に手元に置いておくのもそれはそれでリスクが高い。やはり己自身が心底願ってこそだ。その想いというのが成就するのは。だからこそ、彼女の抱えてしまった誰に対するでもない嫉妬というのは決して他者が気安くに触れられるわけもなし。あれはシュレディンガーかブラックボックスにでもしておくのが一番だよ。どうせ直接誰かが死に到達するわけもないしな」

「………………」

 そしてフードの男の頭上にへと展開される大量の光弾。それを一斉にでも放たれてしまえば対応だっても難しいなんて。

(偶然たまたま大楯でも持ち歩いていたのがこれだけ幸運に感じるほどに響いてくるなんて)

 しっかりその大楯というのを構えて全弾防いでみせた。着弾の際の衝撃によって砂埃というのが舞うがそれで視界が塞がると叫んでしまうほど未熟でもない。

 それに近くを見ればしっかりとその背中を狙いすましてその光弾というのが飛んできていて………………。

『48、57、28ッ!』

 なんだ今の声は。直接この場にでもいて飛んできたそれではないようにも感じたが。若い女性の声か。咄嗟に呼びかけていくようなことであったが、それがどうして離れたところから見えてここまで声を届けてこられるのか。

 そもそもとしてこの数字の意味とは何だ。思わず出てきたそれだというのならば相手とする他人に理解できるようなそれにしてくれと。

(どこで範囲を指定してその中での位置を示しているのか)

 あぁ、であれば簡単だ。この広場のどこを0とでも置いておくべきかという話にもなってくる。そしてその0というのは有名な1か所があって、そこから1がどこかというのを決めてしまえばいい。それでしっかりと既に杭の一本でも位置を確認してしまえればこれでようやく決められた。知らない誰かにでも宣言を受けてしまったとしたらその座標にへと一気に走り出していく。

 そうすれば方角として正確に正しくその光弾の回避を成功させていく。ただの1回にでもではない。タイミングで回避が難しいことがあるがその多くというのは大楯で叩きこまれてくるそれというのを流していくことで堪える。

 うっかり流れ弾でも誰かに当たってしまわないようにと注意はしている。だがそれでも慎重にでもなる。気を付けていなければ一瞬で勢いが持っていかれてしまう。

『24、45、52ッ』

 これまた苦労する位置取りを指示してくる。それで実際に攻撃を防いでいられるだけまだましだともいえるのだが。だとしてもキリがない。地元の部隊がどうしてここまで来ないのか。遠巻きにでも眺めているのだろう。だがそうだとしても気が遠くなるだけの戦いだ。

(これが戦いなんて呼べるのかというのにもなってくるが)

 傍からみればただの蹂躙。ただ一対一であるというのにボコボコにでもされているのが不思議なくらい。それほどまでに力の差というのが………………ない。

「恥にでも思わないだけ君らのその実力というのが心底感想として挙がってもくるということだ。貴様のその実力は惚れ惚れするがまだ若すぎる。残念だなぁ」

 そこで一気に火力を、一発の威力というのを更に強くをぶつけてくる。人間というのは巨大な何かに恐怖やら畏怖やらというのを感じるのがある。それが主だと考えている。だがそれでもその全てというのを消し飛ばしていくことなど楽ではないだけ。

「貴様ならば圧倒されてしまうだけの火力など当然。それでこそだろうが」

 ここからこの野郎というのは姿を消してしまった。そのために全身の震えというのがゴリアテ・サンドロニアにも感じて伝わってきてしまう。これの意味など容易いわけでもなしか。

 ろくでもないろくでもない。姿を消して火力でも当然ある光弾というのを放ってきているのだから堪ったものでハナイ。これで対象を正確に撃ち抜いていくなんて芸当がしっかりと更に鋭くも可能となっているのだから気が遠くもなる。

 実際にこの大楯など精々が20㎏を超える程度の重さで、その密度というのも硬さというのも凄まじく強い。だがそれで色々と叶うのであればそれでいいではないかよ。

 いくらくれたとしてもやりたくはない。勝利から遠すぎる戦場などは。そんな博打などやって当たるものではないからこそ。この大楯だっても貫かれてしまっていて結果破片が飛び散ることにでもなる。それでかなり破片というのが足元にでも転がってしまえば、そこから一気に連続での貫通攻撃。ここから突破されてしまうだけの余裕のある体力などしているわけもない。

 なんでもかんでも心臓すれすれを掠ってでもいきそうなほどの勢い。というかその直後にてごっそりと心臓を貫かれてしまうことになってしまう。たった一撃の業で命でも持ってかれてしまうなんて………………。そういうことでもないか。

僅かでもその命が保っていられるのであればこの世界で何とか生存となる。流石に多くの犠牲を払ってでも侵入を許してしまうのと侵入すらも許さずに全てを回避して奥まで飛び込んでいこうともされるのとでは意味とか解釈というのが変わってくる。

 だがそれでもこの場にへと駆け寄ってくる者がいるなどがいるくらいの幸運。それを考えてみれば、そいつは不運とも解釈できるだろう。

 体勢の崩れてしまっていて更なる追撃を掛けていこうとする光弾の多くを、体をどこか遠くまで蹴り飛ばしてしまうことで、どうにか致命傷から更に遠くまで死に近づいて帰るのが困難にでもなってしまうのを、それで生き残る手段として防いでいけたからこそだ。

 ここまでの消耗をしてしまえば意識を失ってしまったゴリアテ・サンドロニアなど転がしていくしかない。であればたとえここまで偶然にでも間に合ってしまったズイガーラ・ギリスとしてはどうするべきか。そんなことなど決まっている。

「現場検証でもして彼をベッドにでも送っていくことでしょうね。離れたところでも覗き込んでいる馬鹿な野次馬も結構な数が揃っているようですし」

 ズイガーラとしてはレイゴリンを心配してしまう。彼の身など、誰かに攻撃を受けて敗北にでもしてしまうわけもない。それ以上のこと、彼が自らのエネルギーにより崩壊してしまうことの危険を心配しているのだ。


 で、実際にそれでレイゴリンが今どこにいるのかといえば、それはだ。

「悪いがただ人間を甚振るだけが趣味の野郎を放って置くわけにはいかない。虐殺でもしていないとしても、ただ悪戯に痛みを与えて部位を破壊していくのは相当に気分が悪い。のちの生活を思えばこそ影響も大きい。なぁ、そんなに他人が嫌いか」

「………………そうでもない。これでも人生の多くを過ごしているだけに不安でたまらなくてな。一撃で終わらせられるのをわざわざ時間をかけているのは蘇生をさせるためのエネルギーを用意させないため。時間を掛ければかけるほどにその身は腐っていく。そしてそのにくたいというのを捨てザロウ得ないことだろう。だがそれをしたところですぐに代わりとなるだけの肉体など他にあるはずもない。死に戻りなどされるとしても最高出力を知られないことで答えなど出させない。これがこちらの出せる戦場での答えだ」

 このフードの男というのが異常だ。徹底して足元にでも転がしてしまう怪物。謎の影をしてそれを実行している時点でただの人間としていても異形のだともいえる。

 死に戻りとか言いやがったが、それで実際死に戻りなんて特にそういう仕草も見せたつもりもないのに想定しているのは余計な遊びだ。であればこいつは猟奇趣味だともいえる。下らない。どうして自分よりも格上であるはずの者達を多く地に伏せることをしておいてどうして自分が五体満足で生き延びていられるのか。

 それに、死に戻りではなくてリセットとかをされてしまうのではまた違う意味というのを………………そもそも現状で状況が打開出来てなくてその現状が続いている時点でそれは………………。

(もう哲学の域だそれは)

 降ってくる一撃。それはとてもではないが威力の大きいでは済まない火球。高火力の球をぶつけられてしまえばそれで………………一度鉄の塊でもその火球の中心にでも投げ込んでいけばそれが落ちてくる気配もなし。

 鉄の融点がいくつだったか。1600℃を超えるほどではなくても後で他に落ちてくるモノがないとすればそれを認識して、沸点が3000℃を超えてこないはず。であればつまりに相応に馬鹿な熱量を抱えてそれを維持しているということか。

(もしくは火力を高めるために時間をかけているというであれば、実はそこまで強くもないのかもしれないな)

「未熟だからといって侮る理由にはならないがッ⁉」

 そこでこのフードの男が火球の制御の手放してしまった。そしてレイゴリンの首元を狙いすましてその攻撃で同時にぶち抜いて脆弱な体を破壊してしまうだけ。

 たった一撃で沈んでしまえば、後方にある食堂が丸ごと焼き焦げてしまう。残念にでもなってしまうなんて、それでは残されたものが意地として済まないことだ。

 だがそこで覗き込んでくる馬鹿がいれば、そしてに意識が向いてしまうのも致し方なし。確か彼女はレビィアタンとやらだったか。これからの一発衝撃で対象を粉々にでもしてしまうだけの能力はある。能力とではなくて、それを自覚して運用できるだけの精神とか人格とかが適正に揃っていればつわものとして戦場で派手に成果を上げられることだろう。ただ、彼女が憧れたのはオルトス・ダイアモンドの放浪の料理人としての姿。

「別に誰もその未知を進む先を他者が強制するなんてあって下らぬと然るべきか」

 だとしてもここから火力で以て焼き払われてしまうのは忍びない。というか火球を消滅させてしまう時点で意識しないということが出来るはずもないか。

「誰の仕業だろうなぁ。もしかしてそこのお嬢ちゃんだったり」

「今のは普通に俺のだ」

 本当にレイゴリンの隠し玉、使用を躊躇っている切り札の一つ。躊躇っているということは使い慣れていないことだが、それで充分にでも実戦で使えはする。

「いい加減にでもして欲しいなぁ。ここからその全てをなんて躊躇ってしまっているからこその甘えた実力。必要以上に警戒をするのはいけなかったことだろうか。わざわざ囮を自身でやってからに」

「俺自身のとれる手段としてはそう多くはない。だが別に俺だけで闘っているわけではない。戦場を駆けて、戦争をするのは相手がいてこそだ。ここから既に貴様へと追い詰めた攻撃というのは頸につけられている」

 強力に突き付けられている一撃。それはもう圧倒するだけ、そこから捻じ伏せられるだけの針、それは蜂だともする姿。

「悪いがこれでもザッハークとかとも縁があるのでねぇ」

 そして現れてきた者をみてしまえばそのフードの男が纏う気配の色ちうのが明確にでも変わる。正確に異常なまでの姿と成り果てるほどのこと。彼の為すことなど多くはなく、それでも戦えるだけの力はある。

(そして実際に死に戻り等をされてしまえば悔しくもなる。それまでの全ての過程をすっ飛ばして定位置にでもたどり着こうとするだけの………………信じられないほどの能力だが、それが未熟にでも放浪をして日雇いバイトでもされてしまっているというのであれば)

「なんでこんな場所にでもいるのだろうとか思うわけだ」

 そのフードを剝いでもいこうとするが、遠すぎる。これはこれは、後少しのところで回避されてしまう。だがその後方を捉えている蜂がいる。そこから突破でもしていこうとすれば横か上下に動くしかない。それはかなり強引な手法にもなる。

 で、それを実際にやられてしまえば驚きもする。蹴り飛ばされてしまって顎から頭を揺さぶられていく。強烈にも二人して圧倒されて脳をシェイクされてしまえば受けた業がそのために衝撃が走ることにでもなる。

 この勢いのままに転がされてしまえばそこから草でも刈るための鎌でも持ち出してきて正面のドアでも破っていこうとしていたフードの男であったか。だがそこで動きを止めることになってしまう。

「この私を相手にして身体に力が入らないほどとは。どうやっているのか。免疫機構の暴走を起こして己自身にやらせてくるとは。常人が行える芸当でもない」

「お褒めに預かり光栄だ。そうであっても貴様の勝利は私がこの場に立っていられる証明によって不完全にでも達成はさせられない」

 蜂の彼の周囲には倒れ伏せていたはずの多くの人物が既に万全の状態でその脚というのをしっかりと伸ばしていた。そしてフードの男を全員で囲い込んでいる状態であるか。

「そうかそうか。もしかして私はハナから騙されていたということか。相手の方が数枚上手であったと。ハハハハハッ、笑えないなぁ。ここは素直に去るとしようか」

 フードの男は手を振ってでもいけばその場から姿を消してしまう。煙に乗るように視界からそれをなくしてしまったあっという間の出来事。これは、もう限界かなぁ

「ウボッ」

 こうなってしまえば冷淡に足元に頭をぶつけて落としてしまわなければいけないだろう。そうでもしなければ、これ以上己の意識を保って現状の維持でもしようとすれば死どころか人格丸ごと消し飛んで帰ってこれなくなる。死んだらどこにいくのかでは済まないことだ。どうせそこから更に越えて進めば消滅するだけ。人格以外も魂の全てが塵になって消えサルだけ。

 ここに倒れてしまえば周囲の光景は霧となって掻き消えてしまう。それからすぐさま現れてくるのは命の危険のあるほどに傷を付けられていた兵士共だ。いくら自分たちの強さに自信があって過信をしないようにと気を付けていてもこっぴどく負ける時はある。それが今回のこと味わっただけの話だ。

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