終焉など来ない⑥

 バタバタとしている間もない。そんな間も一切なくこの世界を揺らしてしまっている衝撃というのはとてもとても凄まじいことであるから。脅威とでもなってしまった建造物を破壊しなければいけないこの気持ちにはどうしても複雑な想いで一杯だからなぁ。

「いくら何でもくだらないと吐き捨てられるほどの戦場ではないから」

「………………というか何なんですかこれは。さっきから爆発に次ぐ爆発とかで散々に散っていっているんですが。これはとてもではないですが………………なんという映画ですか」

 重永えなが滝舞ろうぶはこの光景にも思わずつぶやいてしまうことをしてしまった。目の前にあるこの景色というのが余りにも現実味がなさすぎるほどに派手が過ぎるものだ。どうしてこうなってしまったのかとか思うがそれでどう返したらいいものかという困りごとまで上がってくる。

「だけれどこれが俺たちにとって今のところ変わらない現実だから」

 バーデス・ウィードとしてはこの景色なんて散々観てきたことだ。だがそれでも流石にここまで巨大な戦場というのを経験するのは滅多にないことだから。

「ゴチャゴチャいってないで収容準備は」

『もうしっかりとしてますよぉ』

 そして届いてくるのはリリィジュとフィーダス・エルパイヤの声であったか。それそれはとても嬉しい限りで済ませていいのだろうか。誰を収容していくのかといえばそれもわかり切っている事。どうして彼のことをなどとは思うつもりもない。

「遂にようやくデスパレードにOMFが帰ってくるなんて。そんなしばらくこの場にないとなれば不安であいつらを困らせてしまうのも申し訳ないっていうものだけれどもッ‼」

「どうした何か不安かよ。あのバーデス・ウィードがそんな苛立っていても仕方ないということだっていうのに。せめて落ち着いて行動をしてくれとしか思えないけれどもッ」

 そこでグレイシアさんのこの叫びというのを上げてしまっている状態である。確かにちょうど間を開けて二人が座席にまで座っているのを見せられてしまえば重永えなが》だってもこう思う。

「お二人ってよく似通っている者ですね。これだけ苛立っていても仕方ないと思いますが」

「うるせぇ。こちとら逃げ惑って戦争でもしているのがたくさんやってきてそれこそ飽きてしまってッ⁉………………飽きてしまったとかいう話でもないっていうのに」

 そうやって叫んでいくバーデス・ウィードであったとさ。


 これで実際に収容を受けたOMFではあったがそれでどうにかそこに乗っている者達の気が楽になるわけではないというのを忘れてはいけないことだ。それでも少しは命の危機から脱することが叶ったのであるが。

「安心なんて出来ようもないって」

 どうにかこの機体から出ていけば息を整えていくことをする咲乃深礼である。それで叶うことは本当に呼吸を整えていくしかないのが悲しいだけのこと。

「よくここまで戻ってきたものだ。こういう時にはちゃんとしたやつでもいればお帰りなさいとでも言ってやれるのではあろうが私はそこまで馴染んでいるわけでもないしな」

 そして駆け寄ってくるどころか当然のように近づいてきていたフィーダスであったか。これであればこそという調子で元気に呑気な面して自分たちの武器でも握っているのがその姿の目立つこと。

「まぁそうやってでも出迎えてくれる方がいるのは安心感があるということ。私たちだってちゃんと生きて帰ってくれるだけの強さがあってこそここまでやれたんですから褒めてもらってもばちは当たらないと思いますが」

「そうかい、だがなぁこっちだってそこまで馴染んでいるわけでもないとはさっきもいった通りだっていうのは………………ってこの子がぶっ倒れている様子なんだが」

 フィーダスが眼元を細めていって握りしめているそのエビフライというのをそこへと翳していくことをする。そこで特に変わるわけでもないが物差しとしては非常に便利なそれである。

「………………やっぱりどこかで見たことがあるような気がするんだけれど」

 一度周囲にへと視線を配っていくことまでしていけばそこで他にも見覚えのない女の子というのを見つける。それが少女としても幼く見えるがそれが気のせいでもないことを祈る………………が。

(それで面倒なことになってでもなんて。レスティラなんていうのは大体ろくでもない厄介ごとが集まってくるか持ち込んでくるかというので大変なことしかやっていないだけ。ここらにいる女たちというのはとんでもないことを抱えてしまっているのでしょうし)

 そうでなければそもそもこんな場所にまでやってくることもなかっただろうということ。生きて帰ってくるなんて………………あれ?

「さては貴女らは私が調整しておいた機体をぶっ壊したのでしょうし。私のこの苦労というのを台無しにでもされてしまったら悔しいでは済まないってこと」

 そしてへんてこな工具ばかりを構えることをしていくことをするフィーダスであるか。それは多少の怒りというのも含まれているのだろうが、ポーズとしての要素が大きいのだろう。大仰にでも感じられるそれであるのか。

「別に壊したくて壊したわけでもないですよ。必死になってでもやれることなんていうのは限られていますから。あの場で機体から逃げるのを決して間違っているとは思いませんので」

 咲乃深礼は自分の抱えたとストレスというかゴリゴリとすり減らした精神が痛くて頭痛が痛いとか言ってしまうくらいの倦怠感とかが積み上がってしまっているので倒れてしまうそうな状態だ。

「そんなことを言われても結局壊したのは私だけではないですし。今までの苦労というのがあったからこそ何とか生き延びられたというのですから」

「………………まぁ機体がお前らの命の代わりにでも代役にでも散ってしまったというのであれば特に不満はないが。もっと丁寧に扱えと怒ったり叱ることはあれどそれは後学のための指摘とかのつもりなんだが。お前らはこれを本業として行っているわけでもないから文句なんていってもその後というはないように祈るべきなんだってことだ」

 フィーダスのこの言葉というのは本心なのだろう。咲乃深礼の胸にすうっと入ってきてくれる。それはそれとして言いたいことなんていうのは彼にはまだあるらしい。

「で、フロウリアの野郎はどこに行ったんだよ。彼と一緒にいるところを見たけれどいつの間にかいなくなっている様子であるが」

「あぁ、あの人なら探したい人がいるからってこの近くまで送ってもらったすぐに飛び出していってしまって。どうせ逢えないだろうしそれであったらあの怪物の相手の応援にでもしてやるって」

 顔をちょこんと出してきた青木あおき后河こうがであったか。その表情というのはげっそりと体力が持ってかれている様子。それとギラギラと光り輝く眼元というのはかなり何かしらを求めてしまっている状態であるのか。

(おいおい、これじゃあいったい何を求めているのかなんてわかり切ったことじゃないかよ。わざわざ危険な戦場に行こうなんて若い少女の考えというのはわかりもしない。………………いいや、わかっているからこその恐怖ということか)

「ろくでもない女子おなごであることだ。だがせめて時間いっぱい休んでからにでもしたらいい。飯ならちゃんと用意できるし。というか注文通りの物は既に手配してあるが」

 機体から降りてきたと思ったらバタンと床にでも倒れて身体を引き摺るようなことをしてしまっている村岡菜否であったか。姉と違って貧弱な体でよくまぁ今まで生きて居られたなぁとか自分でも常日頃から思うばかり。どうにか鍛えていてもこればかりは相対的に直ってくれるものでもない。

 青木あおき后河こうがはそちらに目配せしてでも一応フィーダスにへと視線を送ることをする。

「こんな状態で飯なんて食べられると思えませんが。普通の人間以外のことを期待されても」

「なぁに、どうせすぐに元気になって………………おいバカそんなもんにでもフラフラの躰で乗ろうっていうのかよ」

 フィーダスが視界の端にへと見つけてしまったのは先ほどまで咲乃深礼が背負っていた少女がゾンビかというほどに力なく、だがそれよりも何かしらに突き動かされてしまっているかの如くだ。そうやって動いていくだけの体力なんて誰よりもないはずなのに。

 思わず駆け寄ってでもいこうとしてしまうがフィーダスではそれを止めようとなんてできるなんて気がしない。それほどの圧力を纏ってでも先ほど自分が降ろされた白と桃色と黒という配色をされている機体にへと戻っていこうとしていた。

(そういえばあの機体の名前って変わったんじゃなかったか。確かOMFって前の仕様における名じゃなかったけか。それであれば今の名前っていえば何だったのだろうかって)

 そこで体力がボロボロであるのがこの桃色少女であるのはその周囲の誰もが理解していることだろう。だがそれで動いていこうなどというつもりなどないらしい。というよりはとっくの昔に呆れてしまって他にやることなどないみたいな顔をしている。

 それで誰がいくのかとお互いに様子を窺っている様子であるのか。そこで一番にでも進みだしていったのは御影餡手であったか。

「ドあっふッ⁉何するんですかッ」

 頭に平手でも当ててみれば特に力でも込めたわけでもないのにその膝というのを落としてしまった地海王ちかいおうくろうである。思わず振り返ってみれば張り詰めた調子というのもぱっつり緩んでしまうくらいには和やかになってくれたらしい。

「であるからこそ嬉しいわよ。クロウがそうやってでもまだ往きたいところがあると願ってくれるのは。だからこそ皆心配ばかりしているから無事に帰ってきなさい」

 地海王ちかいおうくろうだって意地というのがある。こうもはっきりと言われてしまえばなさねばならないじゃないか。ふと、笑みが零れるのを自覚する。

 狂気には程遠い。自分の役割に準じて、それでいてそれすらも破砕する存在にへと完成するという気概はある。歯を食いしばってでも立ち上がっていけるだけの体力はある。だからどうにか………………あれッ?

「降ろして貰ったからどうやって上がっていけば」

 ここまで気合を入れてもこんな泣き言を言ってのける馬鹿というのには思わず神経にでも障って苛立ってしまうのも当然の事だ。せめてしっかりと体力のあるやつがついてやればいいだけなんだが。そうやって名乗りを上げてやれる奴なんかこの誰もがそのつもりで、その能力というのは失火ありと積み上げられている。

 だからこそ、ここから突き進んでいくのであれば全員でなんてことが叶わないのは重々にでも承知している。服とかがも襤褸となってしまっているが同様の様式というのは既に部屋にでも用意されているはずだ。それであれば安心してこそ進んでいけるということ。

 であればここで勢いよくぶん投げてくる大馬鹿の存在というのも確かにある。それは兇頭わると乃蒼のあによること。幼いだけに気合を入れてでもまだ元気ともなっている。それで地海王ちかいおうくろうを掴まえていって、この重力なんてない空間というのを制御して脚を床から離していく。

 が、そこで声がかかってしまうのだが。

「ようやく今から行くぞと気合入っている所悪いが整備とか点検とかでもしていかねばならないから。流石にそんな傷だらけの状態で飛び出していくのは技術者として整備やっている者としてはとてもではないが認めたくねぇよ」

 ということでフィーダスは強引にでも兇頭わると乃蒼のあ地海王ちかいおうくろうの二人を機体から引き剥がしていったとさ。まぁこれを見てしまえばなんというか呆れてしまうしかない。

「………………じゃあこっから皆で飯にでもしようか」

 もう思い出したように強引にでも行動に移していくフィーダスが怖いとか思ってしまった青木あおき后河こうが。ぽーいとでも放り投げてしまえばそれで様々な工具とタブレット端末でも持ち出してきて機体との接続というのをしてでも状態の確認というのをしていくフィーダス。それで予備パーツとか推進剤とかがあってどうにか助かったとかいうべきだろうか。こんなこの戦いが終わったら次に出撃をするのはいつになるのだろうかとかも考えて。

「となればいずれは博物館いきか。それとももう一機でもどこかに同じようなことを思われながらもこの艦に控えている機体があるというのか」

 そうは思ってもきっとそれを見る日は来ないのだろう。そんなことをしている余裕などない。それよりも優先するべきことは我が儘を言っている少女を押しのけてでも突きとおすと決めた自分の我が儘。

「うっわっ、前もってデータだけは見せて貰っていたけれどもこれって普通じゃねえな。どうしたらこんな機体が出来上がって真っ当に操縦できるんだか」

 これは際限のない可変機能を付けているらしいとかなんとか。このようなモノを扱うのにどれだけの狂気が必要なのか。最早人間の肉体にとらわれないということをしなければ可変の限界に挑むなんていうことをしている異常性。

「これを操縦しようなんて、命令する方も実際に操縦する方もおかしい。これは肉体に囚われない高次の生命体がやることだよ」

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