終焉など来ない④

 我らが神にでも祈る行為というのは、それでいたる結論さえも遠くにある未知の領域に飛び込んでしまった場合にはそこから抜け出すのも難しいそれであるのか。

 どうせこの世の中にあるモノの全てを破壊してやろうとか思ってもそれが叶わないことは既に知りえてしまっている。であれば自分の役割というのもどうにか理解すれば行うことだって、決して少なくないそれ。その結論にまで到達してしまえばいくらこの身を神にでも復活させられたとはいえその全てを支配されてもその範囲内にでもどうにか足搔いていくことはやめない。どうせ………………アジダハーカだって敗北をしたことはあるのだろうし。であればこの決断が間違っているとしても選んだ価値はあると信じていくしかない。それで失敗してしまえば、うまくいかなければ皆に謝罪でも送っていくしかないだろうし。

 ただ、それでも申し訳ないと思うだけではいけない。それでせめて暴走でもしてしまわないようにと丁寧に仕事をこなしていくだけ。これに関しては全部が成功するなんて己惚れているつもりもない。失敗してしまえば被害を受けるのは多くの人々であるが、それを今更に気にするほどのザッハークでもない。ああでもしなければ生きていけなかったのが当時のザッハークであったから。あれを愚かだと吐き捨てることなんていうのも振り返ってみればそれでも難しい。

 色々とできることなんていうのも、結局僕には惨殺ばかりだ。それを許容できる国家などあるはずもなく一度は滅んでしまったというわけだが。というか敗北の数で言えば恐らくは両手両足でも使っても足りないのだろうなぁとか考えてしまうばかりでもあるか。いろいろとあって命を失ってしまうほどであれば流石に幾つも片手程度で収まってくれるとも信じたいところでもあるか。

 敵が僕以上に強すぎた結果だ。これは甘んじて受けようとも思うが、それによって起こる信頼というのもあるものだ。決して一瞬で敗北どころか消滅までなってしまうとすれば違うが運よくか運悪くかそのような事態にまでなってしまったことはないはずである。本当にワスレテイルだけとか自覚する間も一切与えらずになんてことであれば今までの行動も計算の仕方を変えた方がいいかも知れない。

「だがそれでも今回再びの敗北を受けてしまったことには変わらない。まぁそれでもいろいろと準備が、人員の方が足りていなかったのが大きいかな。まさかあんな危険な………………複製蛇風竜フェイク・ザ・ズメイが飛んでくるなんて思ってもいなかったというのがあったりするけれども」

 本当になんで来たんだか。あれがなんのために行われたものであるのかということまで疑っていかなければいけないのか。あれがどれだけの強さであるのかというのはある程度は理解しているつもりだ。だがそれでもあれを現在所持しているのが誰なのかという話にもなってくる。何しに現れてきたのかなんていうところまで疑っていかなければいけないのかということ。本当に、本物が生み出す最大出力とかには及ばないが汎用的に誰にでも使いやすく整えられているということを考えればまだ相手にするのであれば楽だということか。………………単体であればなんだがそれも。

(普通に複数あってもおかしくないんだよねぇ。あれだけ強い複製の分を用意してきたことを考えてみれば………………あれ一点のはずがない)

 課題としては他にもたくさんあるがそんなことを気にしていたらきりがない。あの雷撃ばかり放ってくる馬鹿どもの集団か。それと、確かに預かっていたはずの五十嵐惣賀と蘭虎らんこを失ってしまったことは痛すぎる。心苦しいがあの場で自分が出来たことなんてそれこそ限られている。だから今回も負けた。

『そうは言うが貴様はようやった方だと思うがな。実際にあれに肉薄しようなんていうのが間違っているんだ。本物ではないとはいえズメイが現れてそれで済んでいるだけまだましだ』

 こんな風に慰めて貰える義理などないのに。実際に今までの事に対しての責任を感じてしまっても飄々とした態度を取られるのが気に食わない。今更何のためにということもある。別に負けた後では………………はぁそういうことか。

「まだ終わるなと、そう言いたいわけか」

『イエェェス‼そういうことだよ。つまり君の戦いをするのであればラスボスであろうとヒーローであろうと再び立ち上がるのがお約束でしょ』

 こいつは何を言っているんだか。それは僕の役には、相手が悪すぎる。どう考えても向こうに義があるのだからその月というのは振り向いてくれない。月なんて出てくれはしない。誰かの乱心とかいうのであればぶん殴ってやればそれで済むのが日常のはずだ。その場合にも思考が働いて対応にしっかりと演算能力を行使しているのが更に面倒にもなるわけだけれど。

「でも今回、僕が行ったことには敗北するに充分な理由だ。貴方の足りない部分なんてないと思うのは、それは証明するのに僕は出来ない」

『そりゃあ、我と貴様というのはよく似通っているからこそだもんなぁ。であるからこそ後継とするのに不安があったのだけれど。恐らくはそれしかないと決断でも迫られて預けただけ。箱とカギというのは揃えておかなければ開かないからこそ一緒に並べる場面にへと到達する瞬間がある。だから重要だというのであればそれを誰にも見られないようにと注意しなければいけないというのに。だからこそ、死を待つばかりである君のその状態であればその問題というのも大きくはないだろうってね』

 そしてザッハークの元にへと送られてくる逸品。それを素直に受け取ッていくのがザッハークではあるが。それでそのまま躊躇なく使ってやるとは誰も口にしていないだがなぁ。

(すいませんが、この段階でこのカードでも切ってしまうことへの危険の方が大きいので。切り札をここでというのは躊躇いもある。だからこそ、使える物を未だに置いたままに振るっていないのであればそちらを先に使ってこそだろう。いろいろと失いたくもないものがあったとしたら既に運び出していてもおかしくはないことだろうということ。であるからこその選択)

「このまま全部を宇宙支配として呑み込んでッ‼肥大化させてでも消滅させてやろう云うんだからさぁ!歓喜しろッ震えろッそして潰れちまえってなぁ‼」

 そこから行われていく現象。それは正しく宇宙が広がるよりも、世界が創造されるよりも、更に更に遠くに手を伸ばしくのがこの建造物であるのか。というかそもそもとしてリースを一瞬で破壊してしまったことで大きくも喰われ続けてしまっているだけのが大馬鹿な野郎。リースの破壊をしたのはザッハークではあるが、それの手順を整えたのはアインドローグだ。やる方も指示する方もというところか。

 それでその残骸というのを呑み込んでしまい、それで繁殖領域というのを確保することに成功させたということ。それで実際に何ができるのかは分からないが達成した分だけ、それは質量としてただぶつけてしまうので十二分な威力を発揮する。

 結局はここにある素材の全てでも使って練り直していくしかない。このままに敗北をしてしまうのはとてもとても気に入らないことだから。恐らくはアインドローグもラサナーデもちゃんと対応できるだろうし………………他の者達も同様のことなのだろう。であればここに一気に呑み込んでしまえばそれでバッサリと残されてしまっている怨念ばかりの想いというのも含めて食らいつくして素材としてしまう。

「乗っ取られる可能性もあれどそれは素直にそいつを褒めてやろうか。さて、厄ネタのいくつでも埋まっているかなぁ」


 そしてこの自身の立っている大地というのが揺らいでしまっているのを感じれば不安になるというのだが。そんなことよりも普通に周囲にへと出現してきている蛇やら毒虫やらが更に凶暴で襲い掛かってくる現状。それの対処にでも火炎放射器とかでも使っていけばどうにか排除は出来ている。それに生半可なものはそもそもとして攻撃は通ることもない。

 その理由なんていうのは機械越しでしっかりと閉め切っているから。そしてその装甲というのも相応に頑強であるからこそだ。

『だとしても体力の限界というのもあるし。どうやって脱出をするんだという話にもなってくる。あいつはもう限界を超えて倒れてしまっていて、それで俺はそこまて向かっていくだけの余裕もない。であれば誰かに助けて貰えってことかよ。本当に情けねぇ』

 プルート・オルコットとしてはこの場にいる怪物共を討伐してしまえば終わりだと思いたいがそもそもとしてザッハークを倒したはずなのだからこいつが制御を失っているというのでハナイかと考えるのが当然だ。心臓部まで落としてしまえば誰が制御をしているのかともなるが………………そんなものはないと答えるべきなんだ。

 だというのに今現在襲い掛かってきている集団というのはやたらと攻撃的で統制が取れているのだ。それに対しておかしいとか思わなければいけないのだがそう思ったところで何ができるのか。

「この分だと内部から出てきたのは失敗かどうなのか難しいところだけれども」


 まさかこんなバラバラと砕いていればそれでうっかり誰か斬ってしまいそうになるなんて想像もつかないことだった。何でここにいるのかなんていうのを聴いたら恐らくはいけないのだろう。だがフロウリアはそこまで頭が廻っていないので聞いてしまう。

「なんでお前らがここにいるんだよ」

『なんでってそれ………………ってどうしてこんな離れているのに声が届いているのか』

『それはたぶんこの宙域にでもばら撒かれている粒子に影響して起こる事象なんじゃない?専門じゃないからはっきりとしたことは言えないけれども。というかこれに専門とかっているのかしら』

 咲乃深礼の疑問に答えていくことをした青木あおき后河こうがであるがその答え方では誰も自分も納得なんていうのはしてくれないのは当然だ。

「まさかどうにかしてこいつらの救助なんていうのをやれとかいうのか。そういう細かい作業も苦手なんですけれども」

 フロウリアが持ち出していく槍でどうにか丁寧に彼女らの声が聞こえて来ている区画というのを見つけてそれを測っていく。いやぁコンピューター類は苦手ではあるがどうにか使いやすいようにと調整されているおかげでどうにか理解が追いついているくらいか。

 丁寧に取り出してでもいかなければ彼女のいる区域に穴でも開けてしまって空気が出入りして普通に気圧で死にかねない。そんなことをいつもいつも考えて仕事をこなせというのだから堪ったものでハナイ………………が実際にやれているから凄いものだともいえる。


 実際にガタガタと揺れているような、それでいて狂った悲鳴というのが狭い響き渡る現象を前にしてしまえば身体が重く潰れてしまう。だがそれでもどうにか気合でも入れていけば立ち上がっていられるだけ強者ともいえるわけなのだろうが。

「それでもろくでもない実験の資料でも回収していけるのであれば問題もない。贅沢をいえばここにある全部を欲張って自分のものにでもしたいという欲求はあるけれども」

「独り占めしてどうするんですか。それでまさか自分で試しに実験してみようとかでも思っているんじゃないでしょうね」

 どうやら青木あおき后河こうがは普段の言動に対しての信頼というのが無いらしい。別にそんなちゃらんぽらんなこともしていないつもりなのだが。それでも咲乃深礼からはそう見えているということだろうし。

「でも助けが来るというのであればよかったですね。これで皆で」

「そう都合よくいかないのが、どうせまた一仕事くらいは要求されるのが俺たちだというのは知っている。忘れてはいけない。それを怠ったらどうなったのかを。特に変わらなかっただけ。そんな不甲斐ないままではいられないと俺は思いますから」

 藤樹とうき礼那らいなとしてはそのままに縋っていいはずだと思うのだがそれで解決するとは思ってもいない様子の常磐美利である。この事象として外の様子を観ることの出来ていない四人としては不安もある。どうしてこの奇怪な現象が行われているのか。だが青木あおき后河こうがが連れてきた少女というのが体調のよくない状態となってしまって苦しみながらもいる様子でベッドのうえで寝かされている状態。これはとてもではないが褒められていいことではない。

 ドアがどんどんと叩かれてしまっているのを見れば、その音だけでも震えてしまうのに事足りる。まぁそうこうしている間にもバッサリと大きくどこか脚を踏み外したようなずれの感覚というのを憶える。それが何かといえばフロウリアが切り離しを成功させた結果。

 だがこれでまだ安心はできない。どうにかユニットに絡みついているドロドロに溶けかかっている固形物というのを払っていくことをしなければ生理的に触れるのは難しいというくらいには嫌悪する。

 それで気になるのがどうしてこのユニットが無事に変わらずにこの形を成立させているのかということ。確かリースはザッハークによって破壊されてしまったのでないのか。そうであるのならそもそもとしてここにあるのはなんだ?ザッハークが持ち込んできたまた別の逸品であるのか。それともコピーアンドペーストでもしてきたということか。どちらにせよとんでもないことだが。………………まさか放った攻撃というのが徹底して人命のみを刈り取る砲だとでもいうのか。

「だとすればどこまで非人道的な兵器であるのか。たった一度何かおかしいと思わせるためだけにこんなことまでするかよ」

 フロウリアとしてはこれを理解できてしまうその不安定な精神。自分がただ私情で動き続けている身分だからこその身勝手。だがザッハークの今回の行いというのはどこか感情の嘆きと呼ぶには違和を憶える。歪で理屈に合わなくて、目的というのが読めない。なんのために今回立ち上がったのかが未だに分からないでいる。

 そもそもとしてなんで復活をしてまで声明を出さずにいたのか。起こる現象を眺めていて恐らくはという推測でもするしかなかった。しっかりと声明でも出していればこんな悩まずにいられたのに。

(というか同時期に活動をしているのがザッハークの勢力だけではなさそうなのが一番に恐れるべき事かも知れないけれども)

 であれば今行っている行為なんて放り出して兄貴を探すのに走り回った方がいいのではないのか。………………それにあの野郎の存在も気になる。なんのために現れてきたのか謎でしかない、なんの忠告なんだか相手に理解出来ないことを言うんじゃないって。

「そうじゃないよな」

 とりあえずはこのユニット部分を担いでデスパレードにでも戻っていくことをするフロウリアであったとさ。

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