物語のボスはどこにいる⑧

 通称として魔女の森などと言われているとしてもその存在の意味する本命を識る者など決して多くはない。

「どうだっても解決しない。それに目の前に光景はまだ精神に優しい」

 魔女の森なんていう区域からのを考えれば現在立っている場所なんていうのは所詮外周部である。

 更に言ってしまえばこの森は大きく生きてしまっている。だからこそあの人物は森を焼き払ってしまう冒涜的な芸当が出来たわけだ。

 それをしたところで元気な状態であるのなら一瞬でとはいかなくとも再生してしまうのがこの魔女の森なんて通称でも呼ばれている理由か。しっかりとした名だってあるはするがそれで呼んでいる者など………………結構多いな。

 そんな生えている群生しているモノを怪物の森とでも呼ばれておかしくないのだがだとしても常人が返ってこれないわけではないはずだ。というよりは帰ってきた者を常人と評することなど出来やしない。

(いくら外周部だとしても正気ではいられない。これだけに命を懸けているわけではないけれど。それにしても全力で万全であっても深部には気軽に挑めるわけではないけれど。というか死にたくない)

 どうしても………………謎というか隠し事が多すぎる勢力としても有名だ。外周部に我々にとって欲しい物があるからこそか。

 勝手に戦えというのはいっても面倒な想いが乗っかってしまうだけ。欲しい物があるとしても手を伸ばすことなど諦めなければいい。

 それでレザナイという異形の怪人が求めているのはちょっとした遺跡であるのだよな。

 森をかき分けて進んでいくことをしてみればそこにあるのは美麗なまでにデザインを施された石を積まれ立っている遺跡であった。どこか異国情緒溢れるところではなく知らない民族がここらに住み着いてしまったのではと………………いうよりはどこかに勝手にタイムカプセルを埋めてきやがったのが正確な認識としてあるかもだ。

 そして周囲を一応として見渡していく。そしたら多少の視線はあれど何かしらを見つけることは出来なかったか。ということははっきりとこちらを把握して追いかけている者などはいないということだろう。………………だが悲しいことに上には上がいるというのをたくさん目にしてきたレザナイとしては諦めもつくというもの。

 ぼちぼち頭を搔きながらも正面の大口を開けているその遺跡にへと入っていく。その中を覗いていた際には見られなかった空間が広がっていたモノか。

 綺麗なというか眉目秀麗なデザインにはいくらでもネタがあるのかと観念するばあかりだ。感心というのが正しいのかこれは。

 まぁそのデザインでの芸術品というのが素材を選んでこそだと思うのだが。素材からして選んでこそ芸術というモノではないだろうか。

 であるのならこの金で全てが埋め尽くされているのは恐怖というよりは悪趣味というのが勝つ。とんでもなく目に悪いように感じてしまう、精神にも悪影響が見られてもおかしくはないのか。

 だがそんな考えを持っても進む行動というのは変わり映えしないモノ。この遺跡の造りというのはどこか記憶にある特段特別なものではないことを知っている気もするか。

 こんな不確かなのでいいのかと言われてもこう答えるしかない。

「ほら、実際にこうして見つかったのだから文句はないでしょう」

 とかしかないのでな。


 ドカーンという大爆発が一発を見せてきたのはその遺跡の一角である。正直に言えばこの大爆発という原因というのは手を伸ばしていくしかなかっただけである。それで手に入れた宝玉が割れたかと思ったらそこから出現した一品によってぶち破っていくことをしたのが現実だ。

 物騒なことこの上ない。………………ただその常識の前に立っている面倒な怪物を無視するわけにはいかなかった。それの度肝を抜くだけのインパクトを与えなければ怯んでくれはしない。

「毛餉餉餉餉餉餉餉餉餉餉餉餉餉餉餉餉ッ‼いいものが釣れたことには喜んでいいのですかねぇ。ですがまぁこれでこちらの勝利は更に近づいている」

 四足の重心を低くして姿勢を強くしている怪物の頭に乗っているレザナイである。

 彼の顔にはそれこそ勝利を確信したような笑みが張り付いていた。だがこれも虚勢を張っているに過ぎない。自分が常人以上であるのは理解していても………………いや恐らく常人以外と呼ばれるものかもだ。

 それでも同格以上を相手させられるのであればいくらでもハッタリをかましていくべき自信というで今までやっている。

 だとしても物騒な気配を漂わせているのは明らかなまでに脅威にかならない。絶望というのは敗北かもしくは勝利の更に先へと進んだ後に見られるものだ。

 

 とんでもない遺跡を見つけてしまって正直困っている。相手が探していたのもこの遺跡だったらしいがそれよりもこちらとしてはその遺跡を破壊するというのがなによりもとは言わないが重要なことがあるというのに。

 まぁ失敗しても気楽に許してくれるのでなんの問題もないが。どうせ後に残ってしまうのは置かれた状況にて対処が出来なかったという己の不甲斐なさでしかない。

 そんなものは塵ほどに役に立たないのだが自分が侮られるのは避けたいと思うのはオンナとしてはおかしなことではないじゃないか。どうせすることもなく部屋に籠るばかりよりはまだ体を動かしての運動は健康にいいだろう。今更健康などを気にするような肉体はしていないはずなのだがそれでも。

 健康を求めるといって戦場に送り出されるのは自分で選んだとはいえ違うのではなんて言ってはキリがない。

 スペックルドキングスネークの刺青の入ったオンナはそんなことを考えながら目の前に登場した怪物を木の上から見据えることをする。

「どちら様ですかと名を聞くものではありませんね。誰かの名など聞いたところで役に立つとは到底思えない事実ですか」

「興味はないと言いたいが聞かせてもらえるのなら聞いておきたいのが人情というものではないだろうかな。だが有象無象の相手などではないことを証明のために一応は名乗っておこうか。レザナイという一介の戦士である。我らがザッハークの尖兵にしか過ぎないので覚えてもらっても次に会えるのはいつになりますかは予定されていませんが」

 どうやらこちらの声が聞こえていた様子でどうにも芝居がかった調子にてこちらへと慇懃無礼に名乗りを上げてきていた。だがそのプルプルと肩を震わせている仕草からもわかってしまうものだ。

 恥ずかしいだろうなぁ。あそこまでに調子のいいこちらを嗤っているとしか見えない動きを見せてしまうのは。理由などを求めたところで相手の羞恥心を煽るだけになってしまいそうか。それで下手に怒りを買ってしまうのはリスクが高いものか。身体に傷を負うのは避けたいモノ。敵意は痛いでは済まないから。

 だからすることなんてこちらを襟を正して返答をさせてもらうだけ………………といいたいが、あぁ忘れていた。直接顔を見たのは初めてか。

「こちらは名坂璃乃といいます。期待していてくださいよ。全力で討伐させてもらいますからね」

 そう宣言を行っていけば一瞬で凄まじい勢いが木々の間をぶち壊していくことをして周辺にへと叩きつけられていく。これには周囲の木々に止まっていた鳥や虫なども一目散に逃げだしていくことになったか。

 足元に散らばる花たちだって頻繁に墜ちてくる爆風によって吹き飛ばされてしまうのが事実としてある。

(現実を呪うのはもう私には出来ない。その呪うべき現実に自ら選択して残ったのだから。だから今は生き残って目的を出来るだけ達成することをッ‼)

 そう叫んでも掻き消えてしまうからそんなことはしない名坂璃乃だ。




 冗談でも世界が滅んでしまうことを望むのは決してやってはいけないというのをよく知っている………………はずだったか。

 だというのに命懸けで呪いをというのは馬鹿げたことだ。なぜそれをしたのか問うたところでどうしようもない。

「流石に深海に潜るのは無茶だというのはよく知っているはずなのに。深い池に潜るのは理由があってこそか」

 ゴーストリット公国の軍人としての仕事だがそれにしても。こんな物騒な地域に潜るのは出来るだけ避けていきたいのが正直な本音だ。特別なのを知っているだけに自分をただの人間としか評価出来ないらしい。

 池というかこれは湖であるのを思い出した。あぁ広さでいえばそこまで大きくないと思うのだが以前はもっと広かったのだろうか。とりあえず自分の頭にへと訂正をしておく。

 このエス湖とかいうふざけた名前の湖にはエッシーとかいう首長竜がいたらしいのだよ。なんてふざけた名前だとも思うのだが現実として写真にも撮られてどこぞの誰かに拐ことをされた映像が出回ったこともあったか。その個体が今はどこにいるのかなどあらゆる組織が探している。それで見つかっていないのなら隠匿しているのが想像されるもの。

「それで水中探索をして来いだなんてお偉いさんも大変な無茶を押し付けてくるものだ。それこそザッハークがよっぽど過激なことをしているからこそか。同時進行で対処に負われるとか明らかに異常だ」

 ということは世界を再び敵に回してくる、それでびくともしないザッハークの強靭な組織力が強いだけかよ。正気を疑うのはいつものことだ。

『だったら真面目に働きなさいよ。それで自軍が一掃されてしまったら責任なんて取れるはずもないでしょう。アンタが一番この機体を扱えるんだから気張っていくのが基本でしょうが』

 相棒のイストランがそんな風にイライラしながらこちらを蹴飛ばしてくるのあったが残念ながら姿勢が崩れるほどの威力にはなっていない。蹴りを出して立っていられるアルンサーの姿勢制御に感動してしまうものだ。

「わーたよ。とっとと潜っていけばいいのだろうて。元気に生きていたら帰っていきますてな」

 そうして勢いをつけて飛び込んでいくことをしていったラサノーアである。だが残念ながらそう事態はうまくいってくれない。水しぶきを立てたつもりはないはずなのに驚いてしまったのか。どうにか見つけてきたのはザッハークが組織としてかつて使用していた基地であった。かなり懐かしいものだが確か破壊されてしまったのではなかったのでは………………。

 というか自分がこの破壊された作戦に参加した覚えがあるのだが。地獄みたいな悲しい出来事が多かったがそんな理由を言っても仕方ない。目に映るのが全てだ。

 だと思っていたらその視界のよこで何かへんてこな動きを見せてくる眼球みたいな光が見つかってしまう。

「………………何だっていうのか。下手な遺物を見つけてしまうのは正直避けたいのだがなぁッ⁉」

 そこから首を伸ばしながらこちらにその眼球を持った頭がこちらに向けて降ってくる。

「チぃっ⁉為してこっちに飛んでくんだよッ」

 蟹みたいな姿をしていたアルンサーはその腹にへと強烈な頭突きを喰らってしまうことになる。別に痛覚の接続は流石にしていなかったのが幸いしたがそれでも装甲が凹んだ気もする。

 それどころではなく打ちあげられてしまったラサノーアはお空にまで飛んでいく破目になってしまった。

 これを見上げることをして眺めているイストランでした。思わず手を伸ばしていこうとするのだが悲しいことはくるモノ。何故か腹にへんてこな、とんでもない大きさと脅威をする首長竜がついてきていたのだから。

 どこまでもこの類の首長竜というのはどこまでも住み着いてくるものか。どうしてかは知らないが討伐すればいくらでも湧いて出てくるのかと常識を疑いはじめた。

「ぼさっとすんな‼痛いのが振ってくんぞ」

 へぼーなんていう調子でこちらを眺めているばかりだったイストランに咄嗟に声をかけることをしておく。聞いていなかったらあいつが悪い。

 足腰を動かしていき変則の側転を見せてきていくアルンサーにはもう言葉が出てこないもの。それでその首長竜からの回転攻撃を受けてきて吹き飛んでいったイストランの強さというか図太さには相も変わらずの目を見張るものがある。

 何せあくびをこちらに聞かせながらもゆっくりと砲撃をその首長竜にへと突きけて行く。

 一発放ってみればそれは頭にまで誘導をしていき口で喰らっていきバリバリボリボリと顎で砕いていくことをしていた首長竜だったのだ。

「………………は?ちゃんと撃ったよな」

 目の前で起こった現象には理解を諦めてしまおうかと思った。かなりの高出力で撃ちだしたビーム砲だったはずだ。

 そもそもアルンサーは相手から隠匿して海中から這い出ての奇襲を主としている。

 そしてこの高出力のビーム砲が主に使われている。旧式の機体であれば大体一撃で破壊できるはずだ。

 だというのに普通にビームを喰われてしまえば手持ちの兵器で相手できるか怪しいのだよ。

 そこで一つ考えた。

(あれっ?これって倒していい個体なのか)

 地元で湧いて出てきた、住み着いている愛されているのであれば下手に討伐してしまうのは余りにも危険なことだ。これで恨みを買えば本国が一瞬にして消し飛んでしまう………………かもしれない。常識的に考えればそんなことはないと分かるが世の中何が起こるか分からないと言われている。

 感情を通ってしまうのは全部恨みや憎しみといった全滅しか呼ばないのか。

(だからといって感情を消し去ってしまうのはまた別の話だろう。全部欲しいと願えば手に入るのなら他を滅ぼして自らをもか)

 ザッハークの使用していた施設の後にエッシーなどと呼称されていたのとはまた別の個体がいること自体がおかしい。それの背にその施設が乗っているのもだ。

 そんなことで首を傾げていたらガラガラと転がしてくる音が耳に入ってきていた。

 それは施設の窓を開けてくる白衣を頭から被っている寝ぐせの酷い誰かであったのだが…………………………………………………………………………………。

「「なんじゃそりゃっ⁉」」

 イストランとラサノーアの二人はアルンサーの中で叫んでしまった。それがお互いの耳に入ってしまって煩いと罵り合うまでがセットなのが面白いところ。

 窓から出てきた誰かというのが口をぽかんと開けてしまっているのが非常にしゅーるではある。


「いやあまさか君たちみたいな呑気な軍人さんがいるとは。軍人といえばもう少し大暴れをして強奪をしてくるような粗暴なモノを想像してしまうから驚いたよ。何も奪う気がないというのを聞けばまぁそれで納得はするよ」

 もう面倒になって機体から降りて殴り合おうかという姿勢を取った際に、窓から出てきたという人物が声を上げてきたのだ。その誘いを受けてどうにか首長竜の上に乗っている施設の正面にへと向かっていく。そうすれば迎えてくるのはその人物だったのだ。

 で、やはり思うのだ。身だしなみくらいは整えておけと。研究者というのはどいつもこんな感じなのかと自分の認識を酷い方向にへと持っていく。

 だが素直にこの建物に入れてくれて応接間に案内してきたと思えば紅茶を入れて出してくるのだからまぁ戸惑ってしまう。二人は顔を見合わせながらも一拍をおく。そしてタイミングを揃えて一気に飲み干してしまう。喉が焼けるほどとはいってはいけないがかなり熱かった。だがゆっくり飲むのであればこれくらいがちょうどいいかもだ。

 白衣の方から心配する声がかかるがそれで多量の水を持ち出してくるのは流石にどうかしていると思うのだが。

 それは必死に遠慮しておくのは当然の行為だと思う。それで頑張ってどうにか理解して貰えたのはホッと息をつくことが出来た。

「それにしてもよかったですよ。この湖は狭い癖に深いとかいう入るな危険の看板が付けられているのに気づかなかったのですか」

 こんなことをエストア・ロクノットから言われてしまった事実は変わらない。

 面倒があっても………………やっぱり不思議なことばかりだ。

(なんでこんなところにやってきたんだったか。不味いな)

 自分の記憶すらも心配になる自分は怖くなってくるもの。ラサノーアだって怖いのはあるものですから。

 

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