代々木上原の思い出。

すずには、渋谷区の代々木上原に住んでいた時期がありました。


木造の二階建てのアパートで、雨が降ると雨の音が部屋中に響き、寝る時はなめくじが畳に敷いた布団の隣を這っていました。


私はこの仮住まいを、とても気に入っていました。ただ、音を立てると、アパート中に響いてしまうので、夜中に音楽やラジオが聞けないことだけは残念でした。


そんな仮住まいで、すずが一番気に入っていたのが、バランス釜のお風呂です。

ガスの炎で熱くしたお湯を、浴槽に入れるお風呂を、バランス釜と言うそうです。

実家のお風呂はぬるかったので、バランス釜の熱いお湯が、すっかり好きになりました。

クナイプの入浴剤を入れて、夜だけでなく日中も、湯船にじっくり、ゆーっくり浸かっていました。


そのあと病気が再発して実家に戻りましたが、あの時しか出来なかったサバイバルライフを、時々ふと思い出しては、懐かしんでいます。


すず

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