第3話 二限目

教師寺田が最初に口にした言葉は最悪だった。


「まず、女子の加藤二人に。加藤って同じ苗字じゃん?内申書、逆に提出しちゃった、てへっ⭐︎」


反対に男の『加藤君』については


「いや、ぶっちゃけ生理的に無理だから、全部の科目の評価を一つ落としといた」


ムンクの叫びのような顔になっている『加藤君』に、クラスメイトは声をかけることができずにいた。それよりも女子の『加藤さん』は二人とも死んだ魚の目をしていた。一方の加藤さんは成績優秀で指定校推薦も選び放題なはずなのに、何故か指定校で行ける大学が少なかった。休み時間には友達に、そのことをよく愚痴に溢していた。逆に、下から数えたほうが早い成績のもう一方の『加藤さん』は、下から数えたほうが早い成績なのに、中堅大学に指定校で入ることができた。これは学校が廃校になるから温情では……ということで生徒間で決着がついていたが、まさかそんな事情があったとは……。


何事もなかったかのように教師寺田の『サプライズ』は続く。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る