第20話 母、来いよ。

そっと窓を開けてごらん


真夜中に泣く鳥の声が聞こえて来るはず


その鳥は別の巣にある卵を蹴落とし


自分の卵を其の鳥に育てさせる


生まれた鳥は本当の母を知らない


それでも生きて


やがて別の鳥の卵を蹴落とし


そして自分の産んだ卵を育てさせる


繰り返す生き方に


彼女は泣いている


母よ何処に居るのですかと

泣いている


「カッコー 母(かぁ)来いよ」

と泣いている


やり直す事のできない習性に


今夜も彼女は泣いている

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