第4話
翌朝
蓮はあんずの隣で目を覚ます。
(寝顔も可愛いなぁ)
あんずの顔を見ている蓮。
「うーん。蓮君おはよ」
あんずが目を擦りながら起きる。
「おはよう」
「起きて用意しなきゃね」
「俺も仕事行かないと」
「ハハッなんか夫婦の会話みたいだね」
あんずが目を細めて笑う。
「そ、そうだね」
(なんか照れるな)
「よいしょっと」
あんずは起き上がり顔を洗いに行く。
(俺、今めっちゃ幸せかも!)
蓮は幸せに浸っていた。
蓮はそのまま事務所に向かう事にした。
「おはようございます」
蓮が挨拶しながら入ると、すでにアイビーは来ていた。
「昨日帰ってないの?」
アイビーは一応聞いてみる。
「色々忙しくて帰れなかった」
「そう」
分かってはいたものの、本当に帰らなかった事に落ち込むアイビー。
「おはよう、蓮君。ちゃんと家には帰らないと、アイビーが心配するから」
潮田が横から割り込む。
「はい、すいません」
「分かってるならいんだけどね」
「アイビー、蓮君と、この調査行ってきてくれる?」
所長が言った。
「はい、わかりました」
アイビーは返事をし、出掛ける準備を始めた。
「行くぞ」
「うん」
二人は事務所を出発し、調査を始めた。
「俺は何すればいい?」
「ただの監視だから、蓮は一緒にいるだけでいいよ」
「分かったー。ふわぁ〜」
蓮は大きなあくびをした。
「寝不足か?」
「うん、あんま寝れなくて」
「そぅか」
(あんずさんの隣でぐっすり寝れるわけないよ)
蓮は昨夜の事を思い出していた。
「顔赤くなってるぞ」
「えっほんと?」
「お前、あんま隠し事すんなよ」
「す、するわけないじゃん!」
(やばい、アイビーにバレると面倒臭そうだからな)
「ったく」
イラつくアイビー。
二人は無事その日の仕事を終え、事務所に戻る。
「おい、蓮。服返せよな」
「あっそうだね、取りに来る?」
「そうするわ」
その時蓮の電話が鳴る。あんずからだ。
「ちょっとごめん」
蓮はそう言うと外に出て行った。
「もしもし、あんずさん?」
「蓮君?今日暇?」
「暇っていうか今仕事終わったとこだよ」
「今日来れない?」
「えっ今朝帰ったばっかじゃん?」
「すぐ会いたくなっちゃって。無理かな?」
「無理ではないけど、今から行ってもあんま一緒に居れないよ?」
「それでもいいよ」
「分かった、じゃあこれから行くね」
「うん、待ってる」
蓮は電話を切ると中に戻りアイビーに言う。
「ごめん、用事出来たから適当に取って帰って」
「また用事かよ」
「そうゆう事だから、おつかれ!」
蓮はそそくさと帰ってしまった。
「気になる?」
潮田が言った。
「あの!前にも言いましたけど、心配なんですよ」
「そんなに心配なら調べてみたら?」
「何をですか?」
「蓮君が会ってる子の事」
「ただのボランティアで知り合った女の子ですよ」
「でも気になるんでしょ?あっごめん、心配なんでしょ?」
「からかわないで下さい」
「あの子どっかで見た事あるような気がするんだよね」
「そうなんですか?」
「でも忘れちゃった」
「なんだ」
「なんか臭うんだよね」
「えっ臭いですか?」
「アイビーの事じゃないよ!」
潮田は笑っている。
「あぁ」
「俺の記憶を辿ってみるよ、分かればアイビーも少しは安心でしょ?」
「そうですけど」
「幸いうちの事務所は自由が効くから、明日早速調べてみよう」
「ありがたいですけど、潮田さんも自分の仕事があるんじゃないですか?」
「あるけど、片手間でも出来るから」
「はぁ、意外と優しんですね」
「なんかアイビー見てると妹みたいでほっとけなくてね」
潮田が笑ってみせた。
「なんで妹なんですか!」
怒るアイビー。
「ごめん、ごめん!」
「もー」
「まぁとくにかく、明日な!じゃあ」
そう言って潮田は帰る。
「服はまたでいっか」
アイビーも今日はそのまま帰る事にした。
その頃、蓮はあんずの家に向かっていた。
ピンポーン
「はーい」
「遅くなってごめんね」
「いいよ、入って」
「今日は泊まれないけどいい?」
「来てくれただけで嬉しいよ!ありがとう」
「あんずさんも勉強で忙しくないの?」
「うん、私勉強は出来る方なんだー」
「あんずさんは完璧だね」
「‥‥完璧なんかじゃないよ」
あんずの顔が一瞬曇った。
「ん?どうしたの?」
「蓮君好き!ずっと一緒に居てくれる?」
そう言って蓮に抱きつくあんず。
「俺はずっと一緒に居たいよ」
「何があっても離れない?」
「うん、離れないよ」
「約束してくれる?」
「約束するよ」
「ありがとう」
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