第106話 異物
“実は、少し前に妙な気配の怪しい輩の襲撃を受けまして、その時に……”
そう言うと、聖獣メルヴィルは何かがささっている尻尾の方に視線を向けた。
(やっぱりあれが原因か)
何というか、パッと見ただけでも分かる禍々しい気配を放っているからな……
「少し見せてもらえませんか」
“ええ、是非お願いします”
そういうことで近くでそれを見せて貰ったのだが……
(モリみたいなものか? かなり深く刺さっているな)
聖獣メルヴィルの巨体からすると大した大きさではないが、これはなにか嫌な予感がするな……
(よし、〔超鑑定〕!)
何か分かるといいが……
◆◆◆
苛虐の魔槍
刺された相手の魔力、生命力の循環を乱
し、弱体化させる。時間経過と共にその効力
は高まる。外すためにはまず苛虐の魔槍の化
身と戦わなくてはならない。聖属性の相手に
は特に効果が高い。
◆◆◆
な、なんだこれ。
(“時間経過と共にその効力は高まる”ってヤバいな。早く抜からないと!)
だが、まずは二人に説明しないとな。
「メルヴィルさん、ミア、実はこれ……」
俺は〔超鑑定〕で得た情報を二人に話した。
「なっ! では、これがメルヴィル様の不調の原因!?」
「多分な」
「そうですか……」
驚くミアとは対照的に聖獣メルヴィルの反応は静かだ。もしかして、俺が話すまでもなく、何となく分かっていたのかな。
「こいつを抜くには、この槍の“化身”と戦わなきゃいけないらしい。力を貸してくれるか、ミア?」
「勿論です、マスター!」
ミアもやる気満々だな。よし、いっちょやってやるか!
「お待ち下さい、ミア様、そして偉大なパラディン様!」
聖獣メルヴィルが慌ててるな。一体どうしたんだ?
「私めのためにお二人が危険を犯すなどあってはならないことです! 奴らは恐らく魔王の手先! 抜けば大王烏賊(クラーケン)を凌ぐ災いがお二人に……」
「マスターは偉大なパラディンです。きっとメルヴィル様も救って下さいますよ」
ミアの言うとおり、俺は危険があっても聖獣メルヴィルを助けたい気持ちになっていた。勿論同情もあるが、それだけじゃない。聖獣メルヴィルが弱ったままではまた大王烏賊(クラーケン)が現れる可能性だってあるからだ。
「まあ、やれるだけやってみるよ。ここで怖気づいたら寝覚めが悪いしな」
「……何とお礼を申し上げたらよいか。では、せめて我が力の一部をお持ち下さい」
その瞬間、聖獣メルヴィルから白い光の玉が飛んだ!
(!)
びっくりはしたが、害意はなそうだ。俺がじっとしていると、光の玉は俺の胸に吸い込まれていった。
(〔白鯨の加護〕……これはスキルの名前か?)
俺は二人に“ちょっと準備させて欲しい”と断ってステータスを開いた。
◆◆◆
Lv 93
Hp 178306
Mp 13355
Str 5068
Vit 5523
Int 4790
Mnd 6124
Dex 4791
Agi 4883
luk 5341
スキル
〔グランドクロス〕
〔クロスフラッシュ〕
〔デュアシールドアタック〕
〔デュアカバーガード〕
〔励声叱咤〕
〔デュアシールドカウンター〕
〔ホーリーライト〕
〔ターンアンデッドクロス〕
〔クルセイダー〕
〔ピュアヒール〕
〔ピュアフレッシュ〕
〔ピュアリザレクション〕
〔守護者の心得〕new!
〔アンデッド超特効〕
〔聖属性攻撃超強化〕
〔近接攻撃超強化〕
〔盾防御超強化〕
〔回復魔法強化:特大〕
〔白鯨の加護〕new!
スロット
1〔アイテムボックス+〕
2〔超鑑定〕
3〔オートアイテム〕
◆◆◆
な、何だこれ!?
(大王烏賊(クラーケン)を倒したからか?)
それにしたって……いや、大王烏賊(クラーケン)は多分S級の魔物。それを倒したらこんなことになるのは当然か?
(みんなのLvも大変なことになってるかもしれないな……)
まあ、それは後で確認するか。
(後はスキルだな)
◆◆◆
〔クルセイダー〕
盾で防御するなど敵の攻撃を防ぐ度に攻撃
力が上昇する。特に仲間を庇うと大きく攻撃
力が上昇する。
◆◆◆
これは豹炎悪魔(フラウロス)戦後に覚えていたスキルだ。他のスキルとのシナジーが良くて使えそうなスキルだ。で……
◆◆◆
〔守護者の心得〕
対象者が攻撃されそうな時に自動的に移動
し、代わりに攻撃を受けることが出来る。
◆◆◆
これが新しいスキルか。便利そうなスキルだな。
(で、聖獣メルヴィルから貰ったスキルは……)
◆◆◆
〔白鯨の加護〕
幻を作り出す。幻と自分の位置を交換することができる。
◆◆◆
このスキルをどう使うかだな……
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