12.クエストクリアと動画配信
始まりの村に到着すると、俺は改めて自分のステータスを確認した。
■名前:レヴォ ■レベル7
■職業:ノービス
■HP170/170
■MP170/170
■筋力16(+10) ■敏捷44(+45)
■知能16(+15) ■体力16(+25)
■精神力16(+15)
■ステータスポイント0
■スキルポイント25
■装備:隼の短剣、漆黒の外套、闇精霊のズボン、黒蛇革の靴、幻惑の指輪
■アクティブスキル
・瞬歩 2/5(5メートル以内の場所に一瞬で移動する。5回分のストックあり、3時間でストックが1回復する)
■パッシブスキル
・敏捷上昇(5%)
PK集団を倒した時に上がったレベル分のステータスポイントも敏捷に振り、俺の敏捷は装備補正も加えると100手前まで増加した。
これだけの敏捷があればどれだけ強いモンスターでも一般級であれば確実にワンキル判定を狙っていけるだろう。
ユーザー同士で戦闘になったとしても、始まりの村付近にいるユーザー相手なら絶対に負けない自信もあるし、しばらくはレベリングを中心に行いつつ伝承級以上の装備を手に入れられる機会があれば積極的にチャレンジするを繰り返すか。
「……っと、その前に」
「サブクエストの完了だにゃ!」
ニャーチの言う通り、サブクエストを完了させなければならない。
俺は祠の近くに立っているサブクエストをくれたおじいさんに声を掛けた。
「おぉっ! ゴブリンを討伐してくれたのじゃな、ありがとう! これが報酬の10ゴールドじゃ!」
【サブクエストクリア!】
目の前にサブクエストが完了したことを告げるウインドウが現れる。
これで俺はワンアース内で1000円の稼ぎを得たことになるんだが、これはワンアースで使うことにしよう。
生活費を稼ぐのも大事だが、序盤で生活できるだけのゴールドを稼げるクエストに出会えるはずもない。
まずはコツコツとクエストをこなしていき、装備を充実させる。
そうして機が熟した時に乗っ取り野郎を叩き潰すのだ。
「俺は一度ログアウトしようかな」
「ログアウトするのかにゃ?」
「あぁ。……さっきのPK集団との戦闘をしっかりと録画していたからな。これを配信すれば、少しくらいは生活費の足しになるだろうからさ」
「わかったにゃ! 次のログインを待っているのにゃ!」
名残惜しい気持ちもあったが、今の俺が生活費を稼ぐには動画配信しか手がない。
俺は一度ニャーチの頭を撫で、ワンアースからログアウトした。
◆◇◆◇
「――……ふぅー、久しぶりに楽しめたなあ!」
俺はゴールドの時には忘れていた解放感についつい笑みを浮かべてしまう。
VRカプセルから出て大きく伸びをしたあとも、俺の笑みは消えることがない。
このウキウキとした気持ちのままパソコンの電源を入れて、そのまま動画編集とアップを行おうとイスに腰掛ける。すると――
「……うん? なんだ、これは?」
俺はインターネットのホーム画面にワンアース運営が管理している動画サイトを登録している。
だから、最初に問い合わせを送ったのもこちらのサイトだ。
そこには動画だけではなくワンアース内のイベント告知やメインクエストの進行状況、アップデート情報なども載っている。
さらに挙げるとランカー情報も取り上げているのだが、そこに見たことのある名前が堂々と取り上げられていたのだ。
「……な、なんだよ、この記事は!」
【ソロで獲得できるランキング1位をほぼ独占中のゴールド、ついにギルド発足か!?】
「…………乗っ取り野郎! 俺だけじゃなく、他のユーザーも騙して稼ごうってのかよ!」
ゴールドがギルドを作るとなれば、多くの有力なユーザーが集まるだろう。もしかするとギルドに入っていないランカーが加入する可能性だって少なくない。
そして、運営はゴールドのギルド発足を皮切りにギルドイベントを積極的に行っていく可能性も出てくる。
何せ、ゴールドはいわば金を生み出すアカウントの一つになっていたからだ。
直接話があったわけではないが、ゴールドでメインクエストを進めれば、その先で大きなイベントを企画したり、一つの都市に留まってサブクエストや自動生成クエストをこなしていると、その都市でしか参加できないイベントを打ち出したりしていた。
俺としては楽しめたし、配信で稼がせてもらっていたので何も言うつもりはなかったが、さすがに今回は頭にきてしまう。
「ちゃんと調査もしないで、なりすましだと決めつけて、今度は運営管理の動画サイトでこうも大々的に取り上げるのかよ!」
…………よし、またログインしよう。さっさと動画を編集してアップしたら、すぐにでもログインしよう。
レベリング動画はそのままアップで問題はないな。
PK集団返り討ち動画に関しては、相手の顔やユーザー名にはモザイク加工を入れるつもりだったが、面倒だ。というか、迷惑極まりない奴らなのだから晒しても問題はないだろう。
大半の場合は報復を恐れてモザイク加工を入れるのが普通だが、あいつら程度なら簡単にあしらえるしな。
「……動画アップ完了。そうだ、口座はどうするかなぁ。一応、新しいネット口座は作ったし、そっちを登録しておくか」
今までお世話になっていたネット口座とはおさらばだ。大金を預けていた俺がいなくなって、さぞ後悔するだろうさ!
……俺の大金、今はどうなっているんだろうなぁ。
「…………はっ! 違う、違うだろう! よし、もう一度ログインするぞ! 待っていやがれ、乗っ取り野郎!」
俺はVRカプセルに飛び込むと、再びワンアースへログインしたのだった。
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