ジェリド・メサは強いのか?
『機動戦士Zガンダム』の新訳劇場版が出た時から、危惧していたのです。
ジェリド。メサの評価が、下落するのではないかと。
新訳劇場版でのジェリドの扱いときたら、ヤムチャより酷かったし。
ひたすらに、負ける姿を描かれるだけ。
まあ、敵方でも上から五番目くらいの強さだし、善戦して負ける為に出されるようなキャラだけど、テレビ版を視聴した者としては、切ない。
今回は、ジェリド・メサの「強さ」に焦点を当てます。
意外と、強キャラ描写は多いの、コイツ。
一話では失言でカミーユに殴られ、嫌なキャラとして強烈な印象を残しつつ、一話の最後に「実はガンダムMk―Ⅱのパイロット」として登場。
声が井上和彦さんなのは、伊達ではない。
初見は「こんな嫌な奴が、ガンダムを任されたのか?! しかも墜落させとるし?」と衝撃を受け、続く二話ではハイザックで出撃。
声優が井上和彦さんなのに、ハイザック。
1980年代は、井上和彦さんはヒーローを演じる声優さんの筆頭だったのに、ハイザック。
当時感じたこのギャップが、今は通じるのだろうか?(笑)
今時で喩えると、花江夏樹がガンダムで役を得たのに、嫌なキャラで乗機がジムだったと想像してみてよ、ギャフンとなるでしょ?
いかん、話をジェリドに戻そう。
シャアの攻撃でハイザックの脚部を破壊されて中破するという初戦闘を披露し、「なんだコイツ? ガンダムMk―Ⅱのパイロットに選ばれたのに、この弱さは何事?」とドン引きしますが、これは初見の印象が悪かっただけ。
大人になってから、客観的に二話の戦闘を分析すると、
「コロニーから出たシャアの小隊を、的確に追跡している」
「アーガマからの艦砲射撃で僚機は撃墜されたが、ジェリドのハイザックだけは回避している」
「シャアの攻撃を少しだけ回避して、脚部だけの破損で済ませている」
という、平均以上のパイロットである事は、示されています。
以後、ライラに宇宙での戦闘方法を教わり、機体をマラサイに乗り換えると「ガンダムMk―Ⅱを任されていても納得の強さ」を示し始め、ジャブローでの戦いではカミーユを押していました。
この時は「カミーユは地球の重力下での戦闘は初めて」という条件と「ジェリドは地球の重力下での戦闘に慣れていた」という条件が重なっていましたので、パワーバランスが珍しくジェリドの方に優勢でした。
最後はお互いのビームが激突し、既に中破状態だったマラサイだけが戦闘不能になるという脇役補正が働いてジェリドは一時退場しますが、「ジェリドの戦いぶりは見応えがある」という評価は高まりました。
ただ、この回以降、マラサイは完全にヤラレ役。
そこは悲しいです。
後半、ガブスレイに搭乗すると、俄然奮戦シーンが激増。
カミーユのMk―Ⅱとエマのリック・ディアスに圧勝し、マウアーとシロッコの評価が高まりました。
あ、ついでにジェリドも。
Zガンダムが登場すると、さっきの圧勝はなんだったんだと言いたくなる程、あっさりと撃退されちゃいましたけど。
あれ、不自然ですよ。
主人公補正が、酷い。
Zガンダムとガブスレイを比べると、ガブスレイの方が性能良いような気がするのは、俺だけ?
そしてここから数話。
カミーユやシャアと互角に戦い、他の機体には無双して暴れまくるジェリド&マウアーのガブスレイ組という、短期だけど鬼強な名コンビが活躍しました。
シロッコのジェリドへの評価も、高いですね。
部下の面倒見が良いし、苦戦しているのに援軍を送らなかったシロッコの腹黒さに対し、恨み言とか言わないし。
シドレが戦死した事への当て擦りを受け流し、アポロ作戦で捨て駒(シャア&カミーユへの壁役)にされた事へも異存なし。
殴っても、よかったような気もするけど(笑)
作戦上仕方がないリスクを負わされただけだと割り切る、意外と器の大きいジェリドに、シロッコも手駒にする事を断念。
いや、マウアーに嫌われたから諦めただけかもしれないけど。
ティターンズからも「あれ? 百式やZガンダムと戦って生き残っているジェリドって、実は凄い奴?」と認識され始めましたし。
評価が決定的に高まったのは、キリマンジャロ戦でバイアランに搭乗してから。
フォウがカミーユを庇ったからという事情はありますが、「サイコガンダムを撃破した男」という、トンデモナイ肩書きを身に付けちゃいました。
ティターンズから見たら、「治療の為に地球に戻って来た怪我人が、試作機でサイコガンダムを倒しちゃった」訳で、ジェリドを見る目が「連敗して帰還してくる微妙な人」から「機体次第で、無双するかもしれない不死身の軍人」に変わっちゃったようで…
ジャミトフがベタ褒めして護衛に指名するわ、ハマーンが実力にビビって警戒するわ、アポリーが撃墜されちゃうわ。
バイアランに乗ったジェリドは、間違いなく最強のカテゴリーに入っていたのに…
最後の戦いに臨んでジェリドが乗ったのは、バウンド・ドック。
度重なる戦傷で、バイアランが使い物にならなくなったのか、ロザミアのお古のバウンド・ドック。
初見では「えええええ?? 最終話前なのに、乗るのが、それ?」と呆れたものですが、最近になってからバウンド・ドックが対ビームコーティングしてある機体だと知って、納得。
ロザミアがビームを弾いた時は、てっきりサイコバリアだと思っていたのですが、機体特有の効果だったとは。
カミーユが攻めあぐねて手間取りまくり、ラーディッシュの爆沈に巻き込まれる形でなければ、決着が付かなかったかも。
あそこで死なせずに、ZZに出しても…未練かな?
でもほら、同じように艦の撃沈に巻き込まれた百式は、中身が無事だったし…
未練!
ジェリド・メサの強さが、多少はご理解いただけたでしょうか?
現代で喩えると、『邪神ちゃんドロップキック』の邪神ちゃんのポジションですね(微違)。
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