第18話光の君、両親の所業に怒り心頭
ドスドスドス。
今、蔵人の中将と一緒に寺の客室の向かって歩いている。
最初、僧都が案内すると言ってくれたけど、それは拒否した。
嫌だったからじゃない。
申し訳ないからだ!
寺でナニやってんじゃ~~~~!
あの後、
僕も蔵人の中将もどれだけ恥ずかしかったか!
父帝は、朝から晩まで桐壺の更衣とベタベタとイチャついているそうだ。
呆れる話だけど、蔵人の中将が訂正するまで
逆に謝られてしまったよ。
「二の宮様をお産みされた桐壺の更衣様とは露知らず、失礼な事を申してしまいました。お許しください」
天下の帝に苦言をいう訳にはいかず、女房だと思っていた母更衣に苦言を呈していた。が、その女房は人の話を聞いていないのか、それとも聞く必要がないと思っているのか反応が全く無い有り様。
そのため寺院の僧達の
『こちらに返事一つ返さない
『天女のように美しいが機転が無さ過ぎる、帝の手が付いているだけの下女ではないのか』
『もしや耳が聞こえておらぬのか?』
兎に角、評判が悪い。
なんでこんな山奥まで来て敵を増やすかな。
父帝は何してんだ?
自分の妻のフォロー位しろ!
「主上は、にょうぼ…桐壺の更衣様に苦言を呈する僧に大層お怒りになられ、『この女人に近寄るべからず』と申して、一室に囲い込まれておしまいになられました。それを見ていた僧達が益々桐壺の更衣様を『下級の女官』と判断したようで……」
さもありなん。
ず~~~~~~と母更衣と性交してる状態だ。
それを秘めてればいいものを、声が漏れまくって、寺の風紀を乱しまくってる。
獣か!
相手が帝じゃなきゃ、とっくに追い出されてるわ!
しかも、
「やりたい時に出来、したい時に出来るとは、
とか宣った。
ちげぇ!
やべぇ。
僧兵が討伐にきそう。
『神聖な寺院を汚す不埒者どもに天中!』とか言って。
うん。僧兵が動く前に両親を連れて戻ろう。
――
「桐壺の更衣の
蔵人の中将が口を開けたまま固まってしまった。
無理もねぇ。
セックス中毒者の戯言を聞いたんだ。
「桐壺の更衣と一刻も離れたくはない。離れるくらいならいっそのこと、この刀で一思いにやっておくれ」
ふん!
「二の宮様なにを!!?」
<<ブスッ>>
「なじぇにじぇるの?(訳:なぜ逃げるの?)」
「ひ…光。本当にするとは……」
真っ青な顔の父帝と蔵人の中将。
なにを驚く。
「ぼくはいちゅでもほんきゅでしゅ(訳:僕はいつでも本気です)」
「ひかる……(絶句)」
刀をもう一度持ち直して振り下ろそうとすると、
「二の宮様!早まってはなりません!!!」
待ったがかかった。
◇◇◇◇◇
庵室:僧尼の住む仮屋。
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