さあ、明日は第百階層ですよ!!

 夕食後のデザートはモンブランでした。

 果物は第二階層で収穫し放題なので、ミアラッハのお菓子作りが捗ります。


 腹ごなしにリュートを引いてから、ミアラッハに「おやすみなさい」をして、いざ第三階層へ。

 今晩はバトルマスターを鍛えます。

 武器戦闘全般に補正があるので、剣を使ってオーガ先生を斬り殺していきますよ。


 夢中で〈次元断〉を繰り返していたら、夜が明ける時間になっていました。

 さてレベリングの成果は?

 バトルマスター88レベルです。

 みっつの【?】がありますね。

 新しいスキルは?

 【剛力】と【無刀取り】と【才気煥発】です。

 剛力は両手武器を片手で扱うことができるようになるスキルですね。

 無刀取りは素手で刃物を止めることができるようになるスキルです。

 才気煥発は入手する経験値と熟練度が増加するスキルですって。


 ふむふむ、つまりアダマンタイトの魔法の剣を片手で扱えるようになるわけですね。

 二刀流もあることですし、〈ディメンションソード〉でも持って攻撃していくと効率が上がりそうです。

 才気煥発は経験値20倍と熟練度20倍と重複するらしいので、成長が加速しますね。


《名前 クライニア・イスエンド

 種族 人間 年齢 15 性別 女

 クラス バトルマスター レベル 88

 スキル 【日本語】【レクタリス地方語】【ルテイニア地方語】【算術】

     【礼儀作法】【宮廷語】【全属性魔法】【闘気法】【真闘気法】

     【聖闘気】【練気】【仙術】【呪歌】【魔曲】【舞踏】【馬術】

     【騎乗】【人馬一体】【錬金術】【魔法付与】【鍛冶】【量産】

     【人形使役】【剣技】【剣術】【葬剣】【剣理】【槍技】【槍術】

     【葬槍】【槍理】【鎚技】【剛力】【二刀流】【多刀流】【武器伸長】

     【霊鎧】【聖殻】【素手格闘】【投げ】【関節技】【無刀取り】

     【格闘術】【回避】【対人戦闘】【先の先】【後の先】【魔法斬り】

     【鎧貫き】【手加減】【突撃】【気配察知】【罠感知】【罠設置】

     【魔力制御】【魔法範囲拡大】【魔法収束】【魔力自動回復】

     【同時発動】【多重魔力腕】【消費魔力軽減】【多重詠唱】【無詠唱】

     【魔法武器化】【魔力強化】【耐性貫通】【怪力】【宗匠】【俊足】

     【跳躍】【魅力】【気品】【美声】【カリスマ】【威厳】【獅子心】

     【幸運】【夜目】【鷹の目】【心眼】【第六感】【過去視】【未来視】

     【夜の王】【毒無効】【不眠不休】【誘惑】【威圧】【畏怖】【指揮】

     【鼓舞】【士気高揚】【戦技教導】【福音】【変身】【光輪】【光翼】

     【飛翔】【不滅】【絶対命令】【聖戦】【魔法創造】【剣術創造】

     【槍術創造】【創世神信仰】【神託】【シャルセアとの絆】

     【ルマニールとの絆】【ヨルガリアとの絆】【アルマルドとの絆】

     【小型召喚】【騎獣強化】【迷宮管理】【迷宮帰還】【迷宮の申し子】

     【迷宮外設置】【迷宮介入】【迷宮破壊】【才気煥発】【経験値20倍】

     【熟練度20倍】【転職】》


 よし、朝食を摂ったら迷宮都市に向けて出発しましょう。

 第八十階層からのスタートです。

 雑魚にグレーターデーモンが現れました。

 これは厄介……。

 ですが〈次元破壊〉を習得したミアラッハの魔槍がグレーターデーモンに大穴を穿ちました。

 私の方もアダマンタイトの魔法の剣と〈ディメンションソード〉の二刀流で、〈次元断〉と〈砕破〉を撃ちまくってとにかく数を減らしにかかります。

 グレータードラゴンには〈ドラゴンスレイヤー〉〈砕破〉で斬首して〈ストレージ〉に。

 大精霊は〈エレメンタルスレイヤー〉〈砕破〉で一撃死させます。

 忙しい!!


 ともあれミアラッハが戦力になるので、これは攻略に期待が持てます。

 第八十五階層の中ボスは?

 ゴーゴンですか。

 神性を持つメデューサの上位種ですね。


 蛇髪で、石化の邪視を使ってくる怪物です。

 〈マインドプロテクション〉をミアラッハと私にかけて、聖戦を発動します。

 私はアダマンタイトの魔法の剣と〈ディメンションソード〉の二刀流で臨みます。

 ミアラッハは縮地から〈次元破壊〉を叩き込みました。

 よしよし、ダメージを与えられていますよ、これなら行ける!!


 しかしパキリ、と何かが割れるような音とともに〈マインドプロテクション〉が破壊されました。

 ヤバい、こいつ魔法を石にして破壊してくるようです。

 改めて〈マインドプロテクション〉をかけ直しました。


 しかし視線を向けられる度にパキリパキリと〈マインドプロテクション〉が石と化して破壊されてしまいます。

 ええいキリがないな!!

 何度も〈マインドプロテクション〉をかけ直します。

 ミアラッハが攻撃に集中しているので、ダメージは徐々に蓄積していっていますね。

 私は二刀流に意識を割かれるのを嫌って、アダマンタイトの魔法の剣を両手持ちに切り替えました。

 〈次元断〉を繰り出しながら、〈マインドプロテクション〉をかけ続けます。

 ふと視線が合う瞬間に魔法が破壊されていることに気づきました。

 そうです、見なければ対処できるのでは?

 そう思って私は目を閉じます。

 心眼スキルがあるので、目を閉じていても視ることができるのです。


 心眼で視るようにしたら、途端に〈マインドプロテクション〉が破壊されなくなりました。

 ただし私の分だけですが。

 ミアラッハの分は相変わらずかけ直す必要があります。

 それでもかなり負担は軽減されました。


 戦闘時間は長かったようではありましたが、実際には五分程度です。


「ふう。厄介でしたね」


「クライニア、途中から目を閉じて斬ってたけど、あれ見えてたの?」


「ええ。心眼スキルというものがありまして」


「相変わらず器用ね。でも石化から私を守ってくれてありがとう」


「いえいえ。仲間を守るのは当然ですよ。ところで〈次元破壊〉はどうでしたか?」


「うん、いい調子! これで亜神の化け物も怖くない!」


「それは重畳」


 うんうん、前衛が攻撃に参加できるようになったのは大きいですね。

 さあ今日中にあと五階層、進みましょう!!


 相変わらず雑魚は鬱陶しいですが、神域にある魔物は現れないのでなんとかなっています。

 私は忙しいですが。

 とはいえドラゴンと大精霊を一撃死させられるだけマシなんですけどね。

 これ普通の冒険者はどうやってもここまで来れませんよね。

 破壊もやむなしというものです。


 さて第九十階層の中ボスは?

 セイレーンです。

 上半身が人間の女性で、下半身が鳥になっている神性をもつ魔物です。

 その歌声は聴く者を魅了し、海に引きずり込むとされています。

 まあこの中ボス部屋には海、ないんですけどね。


 ともあれ魅了は危険なので、〈マインドプロテクション〉をミアラッハと私にかけます。

 聖戦も発動。


 セイレーンは空中に昇ると、歌を歌い始めました。

 魅了の呪歌でしょう。

 しかしこちらには〈マインドプロテクション〉があるので、魅了はされませんよ!!


 ミアラッハは空歩で、私は光翼で空を駆け上り、セイレーンに攻撃を仕掛けようと試みます。

 しかし風が渦巻き、セイレーンの身を守るように展開。

 どうやら簡単には殺されてくれないようですね。


 セイレーンの下半身の羽毛が散り、刃のようにこちらに目掛けて飛来します。

 ミアラッハは縮地で距離を取って回避と防御に徹します。

 私も第六感がこの攻撃はマズいと直感して、〈縮地〉で距離を取って回避しました。


 羽毛による攻撃は連続して行えるものではないようで、一度避けるとしばらく撃ってこないようです。

 ただ接近しても原理不明の風の盾をなんとかしなければ攻撃ができません。

 第六感と未来視で打開策を練ります。

 幾つかの推測を交えて考察した結果、あの風の盾は呪歌に伴う特殊効果だと判明しました。


「ミアラッハ、今から私、呪歌と魔曲に専念するので、風の盾が消えたら攻撃してください!!」


「え? 呪歌と魔曲って……」


「いきますよ~……ラーラーラー♪」


 アダマンタイトの魔法の剣を〈ストレージ〉に仕舞い、代わりにリュートを取り出して魔曲を奏で、呪歌を歌います。

 セイレーンの魅了の呪歌を止めるべく、私も魅了の呪歌を歌い上げなければなりません。

 不協和音。

 ふたつの呪歌がぶつかり合い、うねり、空間が歪み始めます。

 風の盾は消えていました。


 ミアラッハ、今ですよ!!


 ミアラッハは風の盾が消えている事に気づき、魔槍で〈次元破壊〉を叩き込みました。

 セイレーンの腹に大穴が空き、絶叫とともに呪歌が途切れます。


「よし、やりましたね!!」


「ええ。セイレーンに歌で対抗するとは思わなかったけど」


「これしか風の盾を打ち消す方法がなかったんですよ」


「そうなの?」


 疑い混じりの視線を受け流しつつ、セイレーンの死体を〈ストレージ〉に仕舞いました。


 手を繋いで転移魔法陣へ。

 さあ、明日は第百階層ですよ!!

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