東京から瀬戸内の田舎町に引っ越した小学五年生、〈斎藤花〉は、そこで人々から姫様と呼び慕われる名家のご令嬢、〈羅城門真綾〉と出会う。
本好きだけど小柄で運動がアレな花と、勉強はアレだが長身で武芸の達人である真綾、親友になったふたりは、修学旅行先の京都で〈百鬼夜行〉を見たり、〈貧乏神〉と対峙したりという不思議な経験をしながらも、楽しい日々を送っていたのだが、中学生になったある日、真綾が食べ物に釣られて、戦前の豪華貨客船〈熊野丸〉と召喚契約を結んでしまうのだった――。
その後もまったりとした日々を送っていたふたりだったが、中学二年生になったある日、真綾が突然、異世界へ転移してしまう。もともと武芸の達人だったのに、〈熊野丸〉と召喚契約した彼女は、戦艦並みの力と防御力を始めとする異能を貰っているうえ、異世界の魔法攻撃が効かないらしい……。
これは、真綾が異世界転移する前の、ちょっと不思議で優しい日々と、転移後の、魔物が跋扈する異世界でマイペースに無双し、行く先々でやらかしまくる真綾の姿、そして、異世界のためにも早く彼女のことを取り戻そうと焦る、ちっさい親友を描いた物語である。……誰がちっさいだ!
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