ヘブン ~HEAVEN~

白瀬隆

在日韓国人

 僕は韓国と日本のハーフだ。だが人にハーフだというと笑われる。「お前は『ハーフ』じゃない。『在日』だ」といった言葉が返ってくる。そこには嘲りも添えられている。この国ではハーフというのは崇高なる白色人種と日本人の間に生まれたものに与えられる称号であり、アジア人、特に朝鮮半島の人間と日本人のあいのこは、日本に住み着いた下等生物として扱われることを、小学五年になった今の時点ではっきりと認識している。


 母親は僕が国際的に活躍できるように、「琉生」という字を当て、「ルイ」と名付けた。この日本人らしくない名前と、混血が相まって、僕は子供たちに物心がつく頃から虐められ続けた。


 在日韓国人の何が悪なのか。パチンコのせいだという人もいれば、ヤクザになるものが多いからだという人もいる。しかし十一歳の僕にはパチンコもヤクザも関係がない。それにも関わらず僕をからかうことを先生ですら止めないということから、在日という烙印がいかに浸透したものであるかを感じる。


 僕はこの国に不要な生き物なのだろうと、疎外感を感じる。そして、父親の血を、国籍を憎みながら、いくらか子供を演じて生きている。迫害の中で育った精神は同い年の子供たちのものと比べて大人だ。そのため、大人たちの前で子供になる事がとても窮屈だ。


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